火星の神秘:「火星の蜘蛛」
<前書き>: 火星は、他の惑星や衛星に比べて、地球に似たところが多くある。このことから、NASAは、月の次の遠征先を火星としている。それでも「火星の地表」には地球と異なる多くの特徴がある。機会をとらえてこれらの一部を紹介する。
今回は、最近の火星探査の記事に現れた、「クモ(spiders:蜘蛛)」と呼ばれる地形を取り上げる。このような地形は何故現れるのだろう。
2018年5月13日、火星の南極の冬に撮影されたマーズ・リコネッサンス・オービター(Mars Reconnaissance Orbiter)のイメージ(右)では、この地域を覆う二酸化炭素の氷冠を示している。春に太陽が戻ってくると、この風景のように「蜘蛛」が姿を見せ始める。
「アラネイ型地形(araneiform terrain)」と呼ばれるこの形は、地下の二酸化炭素の氷が熱せられて放出されるときに形成される蜘蛛のような放射状のマウンドである。これは、地球上では見られない活発な季節的なプロセスである。地球のドライアイスのように、火星の二酸化炭素の氷は温まると昇華し、ガスは地下に閉じ込められる。
時間が経つにつれて、閉じ込められた炭酸ガスは圧力が高まり、ジェットとして十分に強くなり、最終的には氷を突き破って粉塵を噴出する。ガスは大気中に放出され、暗いダストが通気口の周りに堆積したり、あるいは風によって運ばれて縞模様になったりする。昇華した二酸化炭素が失われると、表面に刻まれた蜘蛛のような特徴が残る。
ヨーロッパ宇宙機関のマーズ・エクスプレスが撮影した別の例を見てみよう。

<図の説明>: 火星の長方形のスライスが茶色と黄褐色の色調で示されている。地形は左に行くほど暗くなり、右に行くほど滑らかで明るくなる。イメージの中央部分には様々な物質の堆積物の渦巻く片が見られる。この直線的で幾何学的な尾根のネットワークは、何やらインカの遺跡を彷彿とさせる。左端にはインカ・シティと呼ばれる直線的な格子状の尾根と壁の隆起したネットワークと共に、氷の下に「クモ」と呼ばれる特徴が存在することを示す、黒い斑点が散在している重要な特徴が見られる。黒い斑点はフレームの左側の暗い領域内に見られる。イメージの大判から左端を確認しよう! イメージの中心は東経 300 度/南緯 79 度である。
なお、右のイメージは見やすくしたクモの例である。
<ひとこと>: これらは、これまでに「火星探査写真集」に掲載した複数の記事から再編集したものです。大判はそれぞれのイメージのリンクから。
<出典>: オリジナル編集
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