ウエスティに猫な日々

日々の料理と外食、趣味の熱帯魚と読んだ本の感想と我が家の犬と猫の話。
ほか、日々のちよっとした独り言。

「 コンビニ人間 」  村田 紗耶香

2016-12-08 22:08:41 | 
  「 コンビニ人間 」  村田 紗耶香

        

芥川賞受賞作。「 久米書店 」に作者が来店され久米さんとお話しされているのを拝見して早く読みたかったのが、やっと図書館から借りて来られました。
読みやすい文章なので1日で読めました。
最初のコンビニの情景がいきいきとしていて、近所の行きつけのコンビニの顔なじみの店員さんもこんな感じで仕事をしているのかなと情景が目に浮かびました。
作者は今でもコンビニにお勤めとのことで、コンビニの内情と利用されるお客様のことをどのように書かれているのかと読みましたが、予想外の内容でした。

古倉恵子 36歳は大学生の時にコンビニにアルバイトで採用され、そのまま18年間コンビニに勤めています。
子供の頃から変わっった子で、死んだ小鳥を見ると焼き鳥にしたいと言ったり、小学校の時はクラスの男の子の喧嘩を止めるのにスコップで頭を殴ったり、
怒りのおさまらない教師のスカートとパンツを下ろして黙らそうとします。 そのたびに親が呼ばれ、本人はなぜだか意味が解りません。
自分の行動や言動が人に困惑をもたらすので、必要なこと場以外しゃべらず自ら行動しなくなり大学生までそれは続きます。
コンビニの仕事は完璧なマニュアルにしたがって動けるので自分には天職のように思え、完全にコンビニ中心の生活をしています。
そこに新人として白羽という男性が現れ恵子の生活は一変します。

途中までは、少し発達障害が疑われる恵子がコンビニで働くことによって何とか落ち着いた生活をしているようで、どうなるのかなと興味が湧いてきました。
なのに、新人のバイトとして登場した白羽は、作者の悪意もあるでしょうが、180㎝はゆうにあるひょろりとした針金のハンガーのような外見に、
銀色の針金が絡みついたような眼鏡で、仕事は出来ないのに人のことを上から目線で批判し、婚活と称してお客の女性にストーカーするなど嫌悪感しかない最低な男。
馘になった時はほっとしましたが、借金を踏み倒して働かない白羽を、恵子が、餌を与えて風呂で飼いだしたときにはなんだこれはとなりました。
恵子にコンビニを辞めさせて就職をさせ自分の借金を返済させようとしますが、恵子は面接の日に立ち寄ったコンビニで自分はやっぱりコンビニ人間だと確信して白羽と別れます。

私も小さいときに思ったことをすぐ口に出して叱られたり、今でも一言多くて後で反省したりしています。
世間には、変わった人も沢山います。個性の強い人も常識が通じない人も、信じられないことや考えられないことを平気で言ったり、したりする人も。
私は、そんな人たちと、ぼやきながらもそれなりに、折あったり我慢したり、距離を置いたりして生活しています。 普通って何でしょう?
恵子さんも、なぜ周りが早く治ってほしいと願っているのか理解できぬまま、自分を周りに合わせて溶け込み、こんな時はどうしたらいいのか妹に相談しながら生活しています。
一番怖かったシーンは、赤ん坊が泣いているので妹が慌ててあやして静かにさせようとしているのを見ながら恵子さんが思ったこと。
ケーキを切るときに使ったナイフを見ながら静かにさせるだけでいいならとても簡単なのに大変だな~と。 
実行に移さなくてよかったけれど、善悪や道理や常識と言われるものが理解できない景子さんもそれをカバーする肉親も、理解できない他人の中でこれから大変だなと思いました。 
若い人たちが面白いと絶賛していますが、おばさんはいろいろと考えさせられました。他にどんな作品を書いておられるか、もう1冊村田さんの作品を読んでみましょう。 
9月に病院の喫茶店で会った時、「 今コンビニ人間読んでます 」と、おっしゃっていた79歳のご婦人がどんな感想をお持ちか?もう一度お会いしたいですね。 

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  ありがとうございます。

コメント
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