ウエスティに猫な日々

日々の料理と外食、趣味の熱帯魚と読んだ本の感想と我が家の犬と猫の話。
ほか、日々のちよっとした独り言。

「 怖い絵 2 」  中野 京子

2016-12-01 16:19:23 | 
        「 怖い絵 2 」  中野 京子

          

20作品が解説されています。
前の「 怖い絵 」は文庫本で絵が見にくかったですが「 怖い絵2 」は新書版で少し大きくなり前より見やすくなっていました。
表紙の画は、作品20の「 アルノルフィニ夫妻の肖像 」ですが、妻の初々しい顔に比べ、彼の冷ややかな表情と冷酷そうな目が印象的です。
これぐらいの大きさの方がもっと表情などがより見やすいのですが。 
絵自体は前ほど残酷なものはないですが、解説を読めば読むほど裏話が怖いです。

作品17のブリューゲル「 ベツレヘムの嬰児虐殺 」は、たくさんの兵士を前に村人たちが怯え懇願していますが、何が起こっているのかはわかりませんでした。
しかし、これは二世によるコピーで、犬、イノシシ、ガチョウ、鶏、ツボ、袋、に書き換えられているが、原画では子供たちが殺されています。
ヘロデ大王は、「 ユダヤの新しい王 」すなわちキリスト生誕を知り、自分の地位が脅かされるのを恐れ全ての2歳以下の子供を虐殺している怖い絵です。

ショックだったのは、作品14 ミレーの「 晩鐘 」
穏やかな夕暮れに畑仕事を終わり夫婦が神に感謝している絵のように見えますが、実際はなんと恐ろしい事実が。

私が一番心を動かされた悲しい作品は、ドラローシュの「 レディ・ジェーン・グレイの処刑 」
イングランドの最初の女王を宣言したジェーン・グレイは玉座に座ったのはわずか9日間。追われて16歳と4か月で処刑されました。
目隠しをしていますが、うら若き乙女は顔立ち、鼻筋、可愛い唇に気品が感じられます。
白いほっそりした身体と、斬首される首を置く台を手探りしている美しい指。その横には死刑執行人が斧を持って立っています。
当時はギロチンはなく、大きな斧は刃が厚く「 切る 」というより「 叩き潰す 」という感じで、失敗も多かったそうです。
だから腰にナイフを差しています。
周りに翻弄されて殺される残酷な運命にも覚悟を決め、凛として死に臨むこの少女を思うと心が痛みました。

2冊読んだ怖い本、あと何冊か出ていますが、このシリーズを読むのはしばらく休みます。


 ぽちっと、ひと押しお願いします。
  にほんブログ村 本ブログ 読書日記へにほんブログ村
  
  ありがとうございます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする