ウエスティに猫な日々

日々の料理と外食、趣味の熱帯魚と読んだ本の感想と我が家の犬と猫の話。
ほか、日々のちよっとした独り言。

「 悼む人 」 上・下   天童 荒太

2018-07-07 01:34:04 | 
新聞やテレビを見て、「 今日は、別段変わった記事がないな 」と思うのが、平和だと思っていますが、このところ毎日見出しが賑やかです。

サッカーは4戦目を3時から観て応援。 夜が明けてから寝ました。 日本代表は立派に戦いました。

テレビでは連日悪質タックル問題に、はたまた裏口入学。 権力者の横暴。
早く洞窟から子供たちを救出してほしい。ダイバーの死は痛ましい。
 
朝から飛び込んできたオウム真理教の死刑囚の死刑執行。
20数年前の事件を思い出し、亡くなられた方々や、いまだに後遺症で苦しんでいる方々を思い、複雑な気持ちになりました。

あちこちで大雨で崖崩れや河川が今にも氾濫しそうで、死者も出て、自然の猛威に恐怖が募ります。
丁度読み終わった本。 よりいっそう、人の死について考えてしまいました。

       「 悼む人 」  上・下   天童 荒太
     
               

第140回直木賞受賞作。 「 家族狩り 」「 永遠の仔 」以来、久しぶりの天童作品。
~~~~~~ネタバレ
新聞や雑誌、テレビなどから死者の出た場所を知り、そこを訪れ、その人たちを悼むため全国を放浪する坂築静人。
その人物の事を訪ね歩き、死の経緯や原因などには関心を持たず、「 誰に愛され、誰を愛し、どんなことをして感謝されていたのか? 」と、聞きまわる。
周りの人たちは戸惑う。  その後、その場所で、右手を上げ、左手を地につけ、両手を合わせて悼む。

偶然出会った雑誌記者、蒔野航太郎。彼のことを調べ始める。
父・鷹彦。母・巡子。妹・美汐。
夫に自殺ほう助を強要され殺してしまった女・奈義倖世。刑期を終え、現場に戻り、偶然、静人が悼んでいるところに出会い、しばらく同行する。
これらの人達の眼から見た静人が語られる。
~~~~~~

何年も全国を放浪しながら、見も知らない人の死を悼んで回る静人に最初は意味が解りませんでした。
やがて子供の頃の出来事から、死んだ者が、生きていたということを覚えておく方法として、胸に刻んでいるのだと知りましたが、それでも放浪の意味が理解しずらい。
本人にもはっきりとは分からず、「 病気だと思ってくれ 」と言います。

父、母、妹は理解のある家族で、帰って来ない静人に代わり、がんで余命いくばくもない母をいたわり看取ろうとします。
私なら、最後に息子・娘に会いたくて、「 早く帰ってきてくれ 」と、出来る限りの消息を訪ねるでしょう。

やさしい夫、可愛い娘、そして今まさに生まれ出た孫の泣き声を聞きながら、静かに生を終える瞬間の出来事。あれは静人に会えたのでしょうか? そうであってほしい。

もし今、静人がいたなら、死刑囚の悼みもするのでしょうか? 「 誰に愛され、誰を愛し、どんなことをして感謝されたのか? 」
 


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