メアリーが即位を宣言し英国には一瞬、ジェーンとメアリーと言う二人の女王が存在していました。
メアリー軍の兵士は戦いのさなかジェーン軍の兵士に、「無駄な血は流したくない、こちらの軍につけ!」と言います。
大衆も支持するメアリー女王の率いる軍。それに比べてジェーン女王率いる軍は明らかに劣勢であり、勝ち目がないのは目に見えていました。
こうしてその人数を増やし、メアリー軍は大きくなってゆきます。
とうとうジェーンとギルフォードの所にも、メアリー軍の兵士がやって来ました。
若い夫婦は両腕を兵士に掴まれて、離れ離れに。
思わず、「あなたっ!」と緊迫した声で叫ぶジェーン。
良い夫の条件とは。
そばに居るだけで、その存在が心の支えになる人。
小さな事でも何か危機に直面した時に、ただそこに居るだけで精神的な安らぎと力をくれる存在。
それが良い夫です。
ジェーンにとってギルフォードはそんな存在になり得たんですね。
ギルフォードにとっても、すでにジェーンはかけがえの無い存在になっていました。
父のジョンと共に兵士達に引きずられる様に連れて行かれながら、「ジェーン!ジェーン!!」と姿が見えなくなっても叫び続けていたギルフォード。
舞台の暗がりの中に消えて行こうとも、彼の妻を呼ぶ声はこの世で一番切なく強く響きわたって聞こえて来るのでした。
戦いは激化し、ジェーンの父・ヘンリーと母・フランシーズも捕らえらます。
コの字型をした舞台は兵士達、そして農民達が激しい戦いを繰り広げる戦場でありながら、動きながらその形を変えてゆき、観客達の前にかなり奥行きのある舞台を出現させました。
そこはジェーンが幽閉されているロンドン塔でした。
吹きすさむ風の音がして、ジェーンが舞台の一番奥からゆっくり歩いて来ます。
乳母のエレン、そしてギルフォードが連れて来たローズも舞台手前に開いた「穴」から出て来ます。
エレンはギルフォードが、エドワードの遺言書を見つけ、父のジョンがその内容を書き換えたと突き止めたらしいとジェーンに話します。
合点のゆくジェーンでしたが、そう分ったとしてももう何かが変わる事は無いようです。
幽閉されたジェーンの元へエリザベスが姿を現しました。
「私の母が処刑された場所はどう?」などといきなり言うエリザベス。彼女の母アン・ブーリンはロンドン塔で処刑されたのです。
ギョッとするエレン。
「思う他落ち着きます。最期が見えたからでしょうか・・・。」と返すジェーン。
なんて恐ろしい会話なんでしょう。
ゾッとします。
乳母エレン役・銀粉蝶さん。
お芝居の最初の方で、ヘンリー八世の妻達が死刑や離婚を繰り返した経緯を「死刑!離婚!死刑!離婚!!」と高い声で言うのが、面白かったですね。
そう。その妻達の中でアン・ブーリンは死刑を言い渡された妻でした。
アンの娘、エリザベス1世役・江口のりこさん。
開幕前に笑福亭鶴瓶さんの「スジナシ」と言う番組ゲストでに出ていらっしゃいましたね。
メチャメチャ面白くて、爆笑しました。
エリザベスはジェーンに正面きって「あなたが嫌い。」と言います。
こんな最期に来てまで、そう言うのです。
しかしそこには、エリザベスの不器用な気持ちの表現があった様な気がします。
自分でも「何を言いに来たのか分らない。」と言う彼女でしたが、16歳の少女の処刑と言う現実はどう考えたっておかしいと思っていたのかもしれません。
「なにも処刑することは・・・」ぐらいは思っていたのかも。
だからせめて最期にジェーンと話しに来たんじゃないかと・・・アタシはそう思いたいですね。
エリザベスとジェーンがお互い生涯最後の会話をした後、エリザベスは去ってゆきました。
そして息をきらしながら、ロジャーがやって来たのです。
つづく。
メアリー軍の兵士は戦いのさなかジェーン軍の兵士に、「無駄な血は流したくない、こちらの軍につけ!」と言います。
大衆も支持するメアリー女王の率いる軍。それに比べてジェーン女王率いる軍は明らかに劣勢であり、勝ち目がないのは目に見えていました。
こうしてその人数を増やし、メアリー軍は大きくなってゆきます。
とうとうジェーンとギルフォードの所にも、メアリー軍の兵士がやって来ました。
若い夫婦は両腕を兵士に掴まれて、離れ離れに。
思わず、「あなたっ!」と緊迫した声で叫ぶジェーン。
良い夫の条件とは。
そばに居るだけで、その存在が心の支えになる人。
小さな事でも何か危機に直面した時に、ただそこに居るだけで精神的な安らぎと力をくれる存在。
それが良い夫です。
ジェーンにとってギルフォードはそんな存在になり得たんですね。
ギルフォードにとっても、すでにジェーンはかけがえの無い存在になっていました。
父のジョンと共に兵士達に引きずられる様に連れて行かれながら、「ジェーン!ジェーン!!」と姿が見えなくなっても叫び続けていたギルフォード。
舞台の暗がりの中に消えて行こうとも、彼の妻を呼ぶ声はこの世で一番切なく強く響きわたって聞こえて来るのでした。
戦いは激化し、ジェーンの父・ヘンリーと母・フランシーズも捕らえらます。
コの字型をした舞台は兵士達、そして農民達が激しい戦いを繰り広げる戦場でありながら、動きながらその形を変えてゆき、観客達の前にかなり奥行きのある舞台を出現させました。
そこはジェーンが幽閉されているロンドン塔でした。
吹きすさむ風の音がして、ジェーンが舞台の一番奥からゆっくり歩いて来ます。
乳母のエレン、そしてギルフォードが連れて来たローズも舞台手前に開いた「穴」から出て来ます。
エレンはギルフォードが、エドワードの遺言書を見つけ、父のジョンがその内容を書き換えたと突き止めたらしいとジェーンに話します。
合点のゆくジェーンでしたが、そう分ったとしてももう何かが変わる事は無いようです。
幽閉されたジェーンの元へエリザベスが姿を現しました。
「私の母が処刑された場所はどう?」などといきなり言うエリザベス。彼女の母アン・ブーリンはロンドン塔で処刑されたのです。
ギョッとするエレン。
「思う他落ち着きます。最期が見えたからでしょうか・・・。」と返すジェーン。
なんて恐ろしい会話なんでしょう。
ゾッとします。
乳母エレン役・銀粉蝶さん。
お芝居の最初の方で、ヘンリー八世の妻達が死刑や離婚を繰り返した経緯を「死刑!離婚!死刑!離婚!!」と高い声で言うのが、面白かったですね。
そう。その妻達の中でアン・ブーリンは死刑を言い渡された妻でした。
アンの娘、エリザベス1世役・江口のりこさん。
開幕前に笑福亭鶴瓶さんの「スジナシ」と言う番組ゲストでに出ていらっしゃいましたね。
メチャメチャ面白くて、爆笑しました。
エリザベスはジェーンに正面きって「あなたが嫌い。」と言います。
こんな最期に来てまで、そう言うのです。
しかしそこには、エリザベスの不器用な気持ちの表現があった様な気がします。
自分でも「何を言いに来たのか分らない。」と言う彼女でしたが、16歳の少女の処刑と言う現実はどう考えたっておかしいと思っていたのかもしれません。
「なにも処刑することは・・・」ぐらいは思っていたのかも。
だからせめて最期にジェーンと話しに来たんじゃないかと・・・アタシはそう思いたいですね。
エリザベスとジェーンがお互い生涯最後の会話をした後、エリザベスは去ってゆきました。
そして息をきらしながら、ロジャーがやって来たのです。
つづく。