再演中の舞台「クロードと一緒に」を観て来ました。
初演も拝見させて頂いていますが、劇場も違い、セットも違うので、これまた違うお話として世界が出来上がっていました。
お芝居冒頭は初演と違って”観やすくなった感”がありましたが、やはり物語の肝に差し掛かって来るとそうは甘くはないわけで、「ああ、来た来た・・・・この感じ・・・。」とずしーんと落ちてゆきました。
なので、お芝居の初めの方にある鈴木ハルニさんの”ラトレイユ劇場”とも言える、親父ギャグ的ボケを存分に堪能し吸収しておくのが良いと思われます(笑)。
初演と比べるとボケるラトレイユにツッコミがきちんと入ったり、ギィの台詞が沢山あったりとかなり初演とは違います。
なので、ギィと刑事と関係性もよりハッキリとし、分かりやすかったと思います。
アタシが拝見したのは、「Blanc」です。刑事役を唐橋充さん、ギィ役を山口大地さんが演ずる方。
唐橋さんの刑事は台詞の言い方に独特のリズムがあり、慣れるのに少し時間がかかりましたが、彼の言う事や表情を追っていると長い髪を振り乱し自分の感情に素直に時折キレる佇まいとは裏腹に、正義感が強く熱い人となりが見え、真実にある「人の弱さ」に共鳴する繊細さがある様に感じました。
思うように喋らない”彼”に大爆発を起こしそうになっていて、理解の出来ない事柄が散らばる部屋の中にあり、しかしながら彼が何故殺人をおかしたのか、そう突き動かす根源はなんだったのか、誰よりも知りたい、知って理解したいと思っている様な所もあるんじゃないかと・・・。
山口さんの演じるギィは、非常に冷静で冷たい感じがしましたが、のぼせやすい刑事とのバランスを考えると「相棒」としては
山口さんの演じるギィは最適に思いました。
感情に押し流され、焦点を見失いかねない刑事にはこのギィの冷静さは必要です。
客席に向かって正面に執務室のドアがあるので、そのドアが閉じてしまうと向こう側に立っている警備官ラトレイユは完全に観客からは見えません。でも、話の流れでたびたびドアが開く時があり、そんな時のハルニさん演じるラトレイユの表情を観るのも楽しかったです。
刑事と「彼」が激しくぶつかり合った直後にドアが開かれた時、向こう側に居るラトレイユの表情が部屋の空気の全てを物語ります。
もう冒頭の様な”笑い”のかけらすら消え去ってしまっているのです。
うなだれるしかないラトレイユなのでした。
「彼」=「イーブ」役は松田凌さん。初演の相馬圭祐さん、稲葉友さんとはまた別人のイーブでした。
松田さんの演じるイーブはもしかしたら一番、幼いイーブかもしれません。一番本能に素直すなわち、自分ではコントロールの効かない男の子。
一番”その世界でしか生きられない”と言う雰囲気を持った「イーブ」だったかもしれません。
これしか出来ない、こうしてでしか生きて行けない。
何故だか分からないけれど、その世界で生きてゆく才能を持って生まれてしまった綺麗な男の子。
きっとそれは不幸で悲劇的な事です。
でも、そんなどん底で彼の出逢った「クロード」は、ありのままのイーブを何の躊躇もなく受け入れ愛してくれます。
それがどんなにか奇跡的な事なのか、自分がどんなに幸せだったのか、イーブは必死に訴えます。
でも、常識的な世界で育った者たちにはイーブの言う「愛」が理解したくとも、理解が出来ない。
イーブはイーブで、殺人へと駆り立てた真実の愛を言葉で表現する術を持たない自分に苛立ち、髪をかきむしります。
世界でたった一人、イーブの愛を理解してくれたのは「クロード」だったんだと思いました。
少しだけ気になったところがありました。
観客が聞きたいと思う台詞を噛んでしまう事が何回かありました。
観客は怒涛の様に放出される言葉に必死でついて行っているので、噛んだりしてしまうと一気に演じ手が何を言わんとしているのか分からなくなってしまいます。
感情の昂ぶる演技であっても、観客の欲する言葉を落とさないていてくれると、もっと客席との空気を濃くする事が出来ると思いました。
そして、今回は初演に比べて机の上の物が色々と跳んだり散らばったり、落ちたりしてました(笑)。
激しい演技なのでそれも良しと言う感じでお芝居としては成り立っていましたが、どうやらそうしてるうちに松田さんが怪我をしてしまったらしく・・・。
独白場面の後半、イーブは机の上に乗っかりペタンと座って話すのですが、アタシは松田さんの顔に一筋の赤い線が見えた気がしたのです。よく目をこらして見てると、その線は見る見る太くなって行くではありませんか!!
場面としては部屋中を移動しまくったり、寝転がったり、大きな身振り手振りでの独白ののち、判事の机の上に力なく座ってトーンダウンした声でポツポツと喋る感じでした。その頬に赤い涙の様に血がすーっと・・・。
場面と合っていると言えば合っていたし、松田さんの美しさに救われて舞台に戦慄はありませんでしたが、なんだか心配でドキドキしてしまいました。
拍手が続いていたのにも関わらずすぐに客電がつき、カーテンコールが無かったので余計と心配に・・・。
終演後、公式のtwitterで松田さんの怪我について、大した事はなく御本人は元気とお知らせがありました。
良かったです。
明日は千秋楽です。勿論うかがいます!!しかと見届けたいと思います。
あ、それと観劇する際はなるべく食事をとってから来て下さい(笑)。お芝居の最中に「ぐぐ~ぐぐぐ~~~」っと客席で誰かのお腹がなるとやっぱり気になって、気が散ってしまうから(笑)
シアタートラム内は飲食禁止ですが、トラムの周囲には食べる所ありますよ!
あと、劇場は音が極力外へ出ない作りになっているために(役者さんが声を張らなくてもよく聞こえます。)、どんな小さな音でもかなり響きます。しかもトラムは床が木か何かで足音が凄く響くんです。今日はラスト直前に席を立った人が居て、グッと入り込んで観たいのにコツコツと響く足音に気を取られてしまいました・・・・。その方の都合なので、言う事は出来ないけれど、「勘弁してください・・・」と思ってしまいました。
やむなく席を立つ場合でも、足音には充分気をつけて下さい。
あとね、スマホとか、何だかわかんないけど落とす人!!「がんっ!」て凄い音するから、スマホは電源切ったらカバンに入れてね。
そんでカバンを落とさないでね。
落とすの嫌だったら座席の下に置いて下さい。
緊迫する場面が多い舞台ですから、客席が舞台の邪魔をしないよう、よろしくお願いしたいと思います。
初演も拝見させて頂いていますが、劇場も違い、セットも違うので、これまた違うお話として世界が出来上がっていました。
お芝居冒頭は初演と違って”観やすくなった感”がありましたが、やはり物語の肝に差し掛かって来るとそうは甘くはないわけで、「ああ、来た来た・・・・この感じ・・・。」とずしーんと落ちてゆきました。
なので、お芝居の初めの方にある鈴木ハルニさんの”ラトレイユ劇場”とも言える、親父ギャグ的ボケを存分に堪能し吸収しておくのが良いと思われます(笑)。
初演と比べるとボケるラトレイユにツッコミがきちんと入ったり、ギィの台詞が沢山あったりとかなり初演とは違います。
なので、ギィと刑事と関係性もよりハッキリとし、分かりやすかったと思います。
アタシが拝見したのは、「Blanc」です。刑事役を唐橋充さん、ギィ役を山口大地さんが演ずる方。
唐橋さんの刑事は台詞の言い方に独特のリズムがあり、慣れるのに少し時間がかかりましたが、彼の言う事や表情を追っていると長い髪を振り乱し自分の感情に素直に時折キレる佇まいとは裏腹に、正義感が強く熱い人となりが見え、真実にある「人の弱さ」に共鳴する繊細さがある様に感じました。
思うように喋らない”彼”に大爆発を起こしそうになっていて、理解の出来ない事柄が散らばる部屋の中にあり、しかしながら彼が何故殺人をおかしたのか、そう突き動かす根源はなんだったのか、誰よりも知りたい、知って理解したいと思っている様な所もあるんじゃないかと・・・。
山口さんの演じるギィは、非常に冷静で冷たい感じがしましたが、のぼせやすい刑事とのバランスを考えると「相棒」としては
山口さんの演じるギィは最適に思いました。
感情に押し流され、焦点を見失いかねない刑事にはこのギィの冷静さは必要です。
客席に向かって正面に執務室のドアがあるので、そのドアが閉じてしまうと向こう側に立っている警備官ラトレイユは完全に観客からは見えません。でも、話の流れでたびたびドアが開く時があり、そんな時のハルニさん演じるラトレイユの表情を観るのも楽しかったです。
刑事と「彼」が激しくぶつかり合った直後にドアが開かれた時、向こう側に居るラトレイユの表情が部屋の空気の全てを物語ります。
もう冒頭の様な”笑い”のかけらすら消え去ってしまっているのです。
うなだれるしかないラトレイユなのでした。
「彼」=「イーブ」役は松田凌さん。初演の相馬圭祐さん、稲葉友さんとはまた別人のイーブでした。
松田さんの演じるイーブはもしかしたら一番、幼いイーブかもしれません。一番本能に素直すなわち、自分ではコントロールの効かない男の子。
一番”その世界でしか生きられない”と言う雰囲気を持った「イーブ」だったかもしれません。
これしか出来ない、こうしてでしか生きて行けない。
何故だか分からないけれど、その世界で生きてゆく才能を持って生まれてしまった綺麗な男の子。
きっとそれは不幸で悲劇的な事です。
でも、そんなどん底で彼の出逢った「クロード」は、ありのままのイーブを何の躊躇もなく受け入れ愛してくれます。
それがどんなにか奇跡的な事なのか、自分がどんなに幸せだったのか、イーブは必死に訴えます。
でも、常識的な世界で育った者たちにはイーブの言う「愛」が理解したくとも、理解が出来ない。
イーブはイーブで、殺人へと駆り立てた真実の愛を言葉で表現する術を持たない自分に苛立ち、髪をかきむしります。
世界でたった一人、イーブの愛を理解してくれたのは「クロード」だったんだと思いました。
少しだけ気になったところがありました。
観客が聞きたいと思う台詞を噛んでしまう事が何回かありました。
観客は怒涛の様に放出される言葉に必死でついて行っているので、噛んだりしてしまうと一気に演じ手が何を言わんとしているのか分からなくなってしまいます。
感情の昂ぶる演技であっても、観客の欲する言葉を落とさないていてくれると、もっと客席との空気を濃くする事が出来ると思いました。
そして、今回は初演に比べて机の上の物が色々と跳んだり散らばったり、落ちたりしてました(笑)。
激しい演技なのでそれも良しと言う感じでお芝居としては成り立っていましたが、どうやらそうしてるうちに松田さんが怪我をしてしまったらしく・・・。
独白場面の後半、イーブは机の上に乗っかりペタンと座って話すのですが、アタシは松田さんの顔に一筋の赤い線が見えた気がしたのです。よく目をこらして見てると、その線は見る見る太くなって行くではありませんか!!
場面としては部屋中を移動しまくったり、寝転がったり、大きな身振り手振りでの独白ののち、判事の机の上に力なく座ってトーンダウンした声でポツポツと喋る感じでした。その頬に赤い涙の様に血がすーっと・・・。
場面と合っていると言えば合っていたし、松田さんの美しさに救われて舞台に戦慄はありませんでしたが、なんだか心配でドキドキしてしまいました。
拍手が続いていたのにも関わらずすぐに客電がつき、カーテンコールが無かったので余計と心配に・・・。
終演後、公式のtwitterで松田さんの怪我について、大した事はなく御本人は元気とお知らせがありました。
良かったです。
明日は千秋楽です。勿論うかがいます!!しかと見届けたいと思います。
あ、それと観劇する際はなるべく食事をとってから来て下さい(笑)。お芝居の最中に「ぐぐ~ぐぐぐ~~~」っと客席で誰かのお腹がなるとやっぱり気になって、気が散ってしまうから(笑)
シアタートラム内は飲食禁止ですが、トラムの周囲には食べる所ありますよ!
あと、劇場は音が極力外へ出ない作りになっているために(役者さんが声を張らなくてもよく聞こえます。)、どんな小さな音でもかなり響きます。しかもトラムは床が木か何かで足音が凄く響くんです。今日はラスト直前に席を立った人が居て、グッと入り込んで観たいのにコツコツと響く足音に気を取られてしまいました・・・・。その方の都合なので、言う事は出来ないけれど、「勘弁してください・・・」と思ってしまいました。
やむなく席を立つ場合でも、足音には充分気をつけて下さい。
あとね、スマホとか、何だかわかんないけど落とす人!!「がんっ!」て凄い音するから、スマホは電源切ったらカバンに入れてね。
そんでカバンを落とさないでね。
落とすの嫌だったら座席の下に置いて下さい。
緊迫する場面が多い舞台ですから、客席が舞台の邪魔をしないよう、よろしくお願いしたいと思います。