Chef's Note

『シェフの落書きノート』

ワイン・テイスティングとコルクの関係

2012-07-15 | 美味しいお話
レストランでのワイン・テイスティングのお話です。

ボトルワインを注文した時
ワインを選んだ人のグラスに少し注ぐあのテイスティング

勘違いしている方も沢山いらっしゃると思います。

実は、あの味見は…
「お好みの味ですか?」
…と聞いているのではありません。

『ブショネ』というワイン用語をご存知ですか?

ブショネ[Bouchonne]というのは…
コルクの汚染などによってバクテリアやカビ、悪性の菌などによりボトル内でワインに化学変化が起こり、ワインの品質を変えてしまうことをいいます。

ワインを選んだホストにそのワインのブショネなど品質に問題はないですか?
…という最終確認をしていただいているのです。

コルクチェックをした後、ワインホストのテーブルにコルクを置くのは、コルクを一応ご確認くださいという意味です。

昨今、ブショネ防止のためにコルクを使わず、スクリューキャップやプラスティック製コルクなどにしているワイナリーは年々増えています。
なのでアウラでは…
コルクスクリューやプラスティックコルクを採用しているワインは、テイスティングしていただく意味がないので、そのままグラスに注いでいます。

ワインを抜いてコルクチェックした時に…
もし、異常を感じた時には、そのワインをご提供することはありません。
テイスティングとしてグラスに注ぐこともありません。

高級ワインには、スクリューキャップなどはまず使われません。
コルクを通してワインが呼吸して熟成を促すためだと言われています。
スクリューキャップをしたワインとコルクで栓をしたワインを同じ時間ねかせた場合
コルクを使ったワインの方が熟成度は高いそうです。

アウラのご常連のお客さまでテイスティングされる方は何故かいません ^^;
信頼されていると思うとやはり気が入ります。
おまかせのワイン選びは、ワインの好みやその時のお客様の雰囲気、そして料理にあったもの
グレード、その人だけの好みではなく他の人達も楽しめるものを選ぶように心がけています。

あの儀式とも言えるあのテイスティング
ワインを少し注がれてどう対応したら良いのか?
どう答えたら良いのか?
皆の視線はおごそかに集中するし、苦手だと思われている方は…
悩む必要はありません。
「テイスティングは良いので、宜しくお願いします」
…と答えれば何の問題もありません。
そう振舞ったほうが逆にカッコ良いとも僕は思います。
なので、僕はいつもパスしています(^^)v


星の数ほどあるワイン
美味しいワインを選ぶのは難しいかもしれませんが…
アウラのワインセレクトの基準は、『ワイン造りに情熱を傾けているワイナリーを選ぶこと』

やはり最終的には人
あまり天候が良くなかった年の葡萄でも情熱を傾けているワイナリーは必ず水準以上のワインを造り、品質管理を徹底しているので、例え有名でなかったとしても…
そんなワイナリーのワインを選ぶように心がけています。


もし、お客様がテイスティングして「NO!」とNGを出された場合はどうなるか?

その場合は、一般的に…
ソムリエやワイン責任者がテイスティングをして異常だと判断しなかった場合
そのことを伝え、そのまま提供されます。

そのまま提供されることを不快だとして拒否したとしても…
お店側が認めなかった場合は、そのワインの代金は恐らく伝票にのって請求されると思います。

アウラでは、1度だけNGをだされたことがあります ^^;
再度、ワインチェックをしたところ、全く問題はなかったので…
それを伝えるとNGをだした人は不満そうでしたが、他の人はそのワインを気に入ったようで全く同じワインをその後2本追加でお飲みになりました。

ワインは、ブドウ品種、産地、熟成度、年代、生産者などにより、香りや味も様々
開栓したばかりの時と空気にふれて時間が経過した時とでは同じワインでも味や香りは大きく異なることはよくあります。

日本でワインは高価なお酒というイメージがまだつきまとっている傾向がありますが…
ワイン生産が盛んな国々では、ビールなどと同じように気軽に飲める楽しいお酒です。

ソムリエ人口が世界一の日本
ソムリエさんは、形式や格式などにとらわれず…
もっともっとワインの楽しさを広めていってほしいと思います。





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