ここでは、社長 (寺川 勲雄) の介護日記を掲載しております。
現在進行中の介護です。はじまりは2007年ですが、近年のものより順次載せております。この介護日記は、みのりホームの 「ティータイム通信」 にて掲載し続けているものですが、ぜひこちらでも紹介したく、掲載の運びとなりました。
※今回は、2008.9月号に掲載の内容です。
彼女は強運の持ち主と言うべきか、それとも口から出まかせに一パイ唱えたお題目が良かったのか、88才にして2度目の手術も無事終了した。
かつてヒザ関節置換手術をしたその上部を金属の添え板に骨を何本もビス止めしている。レントゲン写真で見る限り、全く機械部品の写真を見ている様で、よくまぁこんなことが出来るものと最近の医療技術の高さには感心させられる。彼女の右足は見た目は普通のそれと変わらないが、実態はSF小説に出てくるサイボーグそのものである。
そして、手術2日目からは機能回復のリハビリをすると言う。しかも尿の袋を下げた状態でである。彼女はどう考えているのかわからぬが、この過酷な条件の中で泣き言も言わず黙々とこの作業に取り組んでいる。自分の人生の悲運を嘆き恨み言のひとつも言っても良かろうと思うが、「アリガトウ」「スミマセン」「来てくれたん」「気ぃつけて」の4つの言葉で毎日過ごしている。たまに「足が痛うてイカン」とつぶやくように言うことはあるが、それはごくまれである。年相応に人生を達観しているのか、或いは認知症の為せるワザか。
ふり返って、自分の老後を想像すると、とてもこうはいかぬ気がする。周囲に文句を言い、不平の毎日を過ごし、「厄介な年寄り」と皆から敬遠される老後かもしれない。それならいっその事吾を忘れる事があっても、適度に認知症が進み、愛される年寄りになりたいものである。