
ヘンリー王子 Photo: Shutterstock
ヘンリー王子の「黒歴史」が、ドラマに登場する可能性が浮上している。
現在、シーズン5まで公開されているネットフリックスの人気ドラマ「ザ・クラウン」。イギリス王室を舞台に、エリザベス女王の治世を基にしたストーリーで、チャールズ国王やダイアナ元妃といった実在の人物たちの姿が描かれている。
このたび、The Sun紙が報じたところによると、最終シーズンとなるシーズン6には、2005年のハロウィンで起こった、ヘンリー王子の「ナチスコスプレ事件」のエピソードが含まれる可能性があるという。
「ナチスコスプレ事件」は、2005年、当時20歳だったヘンリー王子が、友人のハロウィンパーティーにて、ナチス兵が身につけていた黄土色のシャツとズボンに、ナチスのシンボルマーク「かぎ十時」が記された腕章を身につけて参加したというもの。
このときの写真がスクープされるやいなや、ヘンリー王子は世界中からすさまじい批判をあびた。その後まもなくして、王室が謝罪の声明文を発表した。
また、ヘンリー王子は当時、「不快感を抱かせてしまい申し訳ない。コスチューム選びを誤ってしまい、謝罪したい」とコメントしていた。
なお、ヘンリー王子は今年1月に発売した回顧録「SPARE/スペア」の中で、このスキャンダルの後に、ロンドンでユダヤ教指導者と面会したこと、この訪問が「大きな衝撃」となったことをつづっている。
さらに、この回顧録では、問題となったハロウィンパーティーの日、ナチスのコスプレをするようすすめたのが兄ウィリアム皇太子と当時まだガールフレンドだったキャサリン妃だったことも明かされた。
ヘンリー王子はのちにこのスキャンダルについて、「人生でもっとも大きなまちがいの1つ」と表現している。
The Post紙はこの件についてネットフリックスにコメントを求めたが、返答は得られていない。
tvgrooveをフォロー!

コリン・ジョイスEdge of Europe
2023年03月01日(水)13時30分

EU残留派はコロナやウクライナ戦争の影響などそっちのけで、イギリスの苦境の原因は全てブレグジットにありと訴えている(写真は2022年10月、ロンドンで行われたEU再加盟を求める人々によるデモ) Toby Melville-REUTERS
<イギリスの現在の苦境を全てブレグジットのせいにする論調があるが、これは典型的な「EU残留派」のやり口だ>
最近、とあるジャーナリストがブレグジット(イギリスのEU離脱)の悲惨さを書いた記事がたまたま送られてきた。僕はその日のほとんど、この記事の数々のおかしなところを考え込んで過ごしてしまった。
そのうちいくつか、例えば今のイギリスよりも、ロシアの侵攻を受けているウクライナのほうがよほど仕事をしやすい環境だった、などといった奇妙な記述は独特のもので、他にも例えば、今のイギリスでは(サプライチェーンの問題で)ジャガイモも卵もひどく不足しているなどといった奇抜な新事実も書かれていた(僕はその日、住んでいる町の食料品店を5カ所回ってみたが、どこもたっぷり並んでいた)。
でも、それ以外の主張の多くは、典型的な「EU残留派・再加盟派の戦略集」そのまま。そこにはいつだって彼らが繰り出すお決まりの主張がある。
EU残留派のやり口その1、「ブレグジット後のイギリス」の暗黒面を描き出す。
僕が読んだこの記事では、筆者は自宅の暖房代を払いきれないから毛布にくるまりながら原稿を書いていると言い、町の中心部の店が次々閉店し、フードバンクには列ができていると言う。
これらはけっこう誇張されているとはいえ深刻な問題かもしれないが、後ろ2つの問題はブレグジットのずっと前から存在していたことだ。
さらに言うまでもなく、エネルギー価格の急騰は明らかにウクライナ戦争のせいであり、世界規模で起こっていることだ(正確を期すために言えば、どうなったら筆者の言うように自宅の暖房を「数時間入れただけで10ポンド(約1580円)もする」ということになるのか、僕にはさっぱり分からない。
断熱の行き届いていない僕の古い家の暖房費は真冬でも1日当たり4ポンドもしないのに。筆者が窓のない大邸宅にでも住んでいない限りあり得ない)。
その2、上記のエネルギー価格高騰の例が示すように、全ての問題をブレグジットのせいにする。
例を挙げれば、イギリスは概して高いインフレに苦しんでいる。でもこの記事のどこにも(あるいはEU残留派の戦略集のどこにも)、英経済には金融緩和で大量のカネが流れ込んでいることは指摘されていない。
コロナ禍で大量の公的資金がばらまかれたことにも触れられていない。英中央銀行がゼロ金利政策をやめるのがあまりに遅すぎたことも述べていない。
この状態が何十年も過ぎ、低金利と低インフレが続くなか、警告は無視されてきた。だからインフレにはブレグジットよりはるかに明らかな理由がある。
それでも説得力のある説は無視され、ブレグジットだけがやり玉に上げられる。
その3、このような残留派の主張に異論が出た場合、彼らはお決まりの「反論」でかわそうとする。
「OK、ブレグジットだけが原因ではないかもしれないが、ブレグジットがなんの助けにもなっていないのは確かだ!」というわけだ。
当初はブレグジットとあまり関係のない、あるいは微妙な関係しかない問題でブレグジットを非難していたことで、「残留派の戦略集」の中ではブレグジットがいろいろな悪条件の中でも重要な要素であり続けることが見て取れる。
残留派のお決まりの反論は、ブレグジットという「最大の原因から目を背けるな」だ。
その4、ネガティブなニュースのみ報じる。
僕が読んだこの記事は、イギリスは2023年、主要国で唯一マイナス成長に陥ると喧伝している。これは事実だし、報道するのももっともだ。
とはいえ残留派は、今のイギリスの失業率がEU諸国の平均よりはるかに低く、EUの経済大国(ドイツやフランス、イタリア)と比べても低く抑えられていることや、ロンドン証券取引所グループのFTSEが2022年に世界の主要株式市場で唯一成長を記録したこと、などを同時に指摘しようとは決してしない。
僕はこうした事実がブレグジット大成功の「証し」だと言っているわけではない。残留派が自分たちに都合のいい「ファクト」だけをつまみ食いしていると言いたいだけだ。
その5、世論調査によればイギリスの多くの人々がブレグジットはうまくいっていないと感じている、というのを指摘するのは理にかなったことだ。でも残留派はそこから理論を飛躍させ、こうした「ブレグレット(ブレグジット後悔)」はすなわちEU再加盟を支持することである、と考える。
でも実際のところ人々は、歴史上の多くの出来事と同じく、「もう少しうまくいっていたらいいのに」と思っている、というほうが正確だ。
コロナ禍とロックダウンの影響は?
その6、自分の狙い通りの結果になるよう世論調査を操作する。
これは質問を工夫すれば簡単だ。例えば、インディペンデント紙はある世論調査を実施してその結果をこう報じた──「EU再加盟を問う新たな国民投票の実施をイギリス人の3分の2が支持」。だがご注意を。
人々はEUに再加盟したいかどうかとは質問されておらず、新たな国民投票をすることを受け入れられるか、と聞かれただけだ。何か重要な問題について、再度民主的に検討する権利をあなたは放棄したいですか、と問われたら人はどう答えるだろうか。
本当に巧妙だったのは、世論調査の選択肢の範囲だ。a)国民投票は二度と行わなくていい、b)今すぐ新たな国民投票を行うべきだ、c)今後5年以内に新たな国民投票を行うべきだ、d)今後6~10年以内に新たな国民投票を行うべきだ、e)新たな国民投票は10年以上先に行うべきだ──。
一定の範囲の選択肢をいくつか提示された場合、中間あたりでほどほどのものを選びたくなるのが人間の本質だ。そんなわけで約40%の人々がcかdかeを選択したが、実際には単体で最大の票が集まったのはa、つまり「国民投票は二度と行わなくていい」。でももちろん、それは新聞の見出しにならなかったし、「今後5年以内に新たなブレグジット国民投票を望む人は過半数を超えず」という見出しにもならなかった。
その7、自分が以前に主張していたことを都合よく忘れる。
ブレグジットが実現した時、残留派は、「離脱派は結局、EU問題で票を投じたわけではない」と騒ぎ立てた。「緊縮財政に対して抗議票を入れたかっただけなんだろう!」と。
イギリスの人々は経済苦境に陥っていて、EUの一員であることに責任を押し付けているだけだ。彼らは貧しいから怒っているのだ!というわけだ。
ところが今は、人々が経済状況に憤っていて世論調査でEU「支持」が広がっている(上記で述べた通り)となると、残留派は「人々はしっかりした考えを持っている」と判断する。
残留派の論理はこうだ──人々がわれわれに反対している時は、だまされているから。われわれに賛成している時は、正しいに決まってる。
その8、経済について大げさに騒ぎ立てる。
なにもこの記事だけの話ではない。「より貧しくなるために投票した者はいない!」とは、残留派の有名なスローガンだ。
でも単純に、これは真実ではない。多くの人々が、ブレグジットには経済的なマイナス面もあるだろうことを認めていたが、それでも離脱に投票した。
彼らは主権や民主主義支配など、一連の問題を考慮して投票したのだ。人々はEU加盟がもたらす未来や、それが国家に及ぼす影響に深刻な不安を覚えていた。
当然彼らは、ブレグジットによる経済的影響が限定的で短期に終わることを期待し、EU離脱によるプラス面が出てくるだろうと考えた(EUのビジネス規制は極端に官僚的なうえに、世界経済に占めるEUの割合は縮小し続けている)。
とはいえ人々は、ブレグジットには経済的犠牲が伴うであろうことを承知していたから、今になってブレグジットが「いいことだらけ」でないことに愕然としている、というのは誤りだ。
その9、新型コロナウイルスとロックダウンは消去して考える。
ブレグジットによる損失が何もなかったというつもりはない。でもコロナウイルスほどの国家的災害でなかったことは明白だ。
それなのに僕たちは、残留派に好意的なメディアにつられて、ブレグジットの誤りについては常にくどくど考えるのに、ロックダウンの誤りについてはたとえあったとしてもめったに考えようとしない。
議論の余地はあるかもしれないが、あんなやり方で英経済をシャットダウンし、市民から自由を奪って子供たちの教育や発達に尾を引くダメージを与えたことは大きな間違いだった。でもロックダウンは全て終わったこと、あまり考えすぎないようにしよう......というわけだ。
僕はこの傾向が、ロックダウン下でむしろ裕福な人々が利益を上げられたという事実を反映しているように思えてならない。彼らは快適な家に暮らし、通勤を控え、その子供たちはこの期間に事実上、より貧しい子供たちよりも学力的な優位を広げ、そして彼らはロックダウンに協力することで「世界を救っている」と思い上がっていた。
住宅価格は急騰した。それに比べればブレグジットは、彼ら富裕層の生活に悪影響を及ぼした。
貧しい人々にとっては、ロックダウンは容赦ないほど過酷で、ブレグジットはそれに比べれば些細な問題だった。
「完全に避けられたはずの」ブレグジットで生じた問題については耳にすることが多いのに、ロックダウンが生んだ問題についてはあまり語られていない。
まるでロックダウンが、一定の人々により多くの犠牲を強いる選択的な方法だったわけではなくて、本当に必然だったかのように。
2023年3月21日/28日号(3月14日発売)は「グローバル企業に学ぶSDGs」特集。ダイキン、P&G、ドコノミー、AKQA……「持続可能な開発目標」の達成が今やビジネス成功の必要条件に