ブロブロガー@くつログ

Proと呼ばれたい...そして日々悪戦苦闘する
Brofessional な職業人の安息の日誌

◇【新作経済落語】アベノミクス景気につられて帰国した熊と与太の花見酒

2013-03-28 | 小説



> 早いものですね!
> 去年「白川デフレ」の真っ只中に、古典落語『花見酒』のパロディ版を書い
> てから、もう一年が経つのですねぇ…。


※まだ読んでいない方は、こちらから先にどうぞ
▼◇【現代落語】大東京人・熊と与太の花見酒
http://blog.goo.ne.jp/ayakikki/e/97b4c5aaa19fd560937824f564bb68cb

去年のお花見では、折角の東京スカイツリー・オープンにも拘らず、不景気な
ご時勢を反映して、今一つ盛り上がりに欠けましたけどね。
今年は記録的な早咲きの桜となりましたが、アベノミクス景気につられてか、
随分と人出も大勢で、賑やかに盛り上がった様子ですよ!


▼東京で桜が満開となって初の週末 桜の名所は花見客で混雑(13/03/23)

http://www.youtube.com/watch?v=2lWG_kxsHYk

▼花見商戦にアベノミクス効果 弁当、飲料の売れ行き好調
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130324-00000001-biz_fsi-nb

> それで、今年も「新作落語」の続編ですか…。
> 熊五郎と与太郎の子孫って、ドバイで「水酒」売捌いて、大儲けしているん
> じゃなかったっけ…?


「アベノミクス」は、今や世界中の注目を集めていますからね!
彼らの耳にも届かないはずがありません…。
早速、今年こそは「生まれ故郷の大東京で一旗挙げよう」と、再生したJAL
のファーストクラスに乗り込んで、帰国したお噺
です。


> はぁ…去年は、「機内食無しの格安航空便」でしたけどね!
> まぁ、儲かっているならそれでも良いです。
> 東京の街の賑いも、去年とは随分様変わりしましたから。
> これから、どんな展開になるのか楽しみですね…早く始めて下さい!


では、早速…始まり、始まり…。



(出囃子)…とてちんてんしゃん…

昨年の花見は、不景気のどん底で金も廻らず、とうとう貧乏人ばかりとなった
大東京に見切りをつけた熊五郎と与太郎の子孫達で御座いましたが、今年は、
アベノミクスのお陰で生まれ故郷の東京が再び活気づいていると云う、ネット
の便りを伝え聞きまして、やはり花見は下町とばかりに喜び勇んで帰ってまい
りました。
久しぶりの東京で、空港に降り立った熊五郎と与太郎の会話です。

与「兄貴、やっぱりファーストクラスは違うね!
  ドバイへ行く時は自前で持ち込みだったのに、サービスで色々な酒が楽し
  めて…すっかり酔っぱらっちったよ…俺ら…。」
熊「ってやんでぇ、馬鹿野郎。
  行く時ゃ、へべれけに為って酔いち暮れやがったくせに、別嬪のスッチー
  …じゃねぇや、CAに勧められた途端、緊張しちまって、あまり酔ってね
  ぇじゃねぇか!情けねぇ野郎だ…ったく。」
与「そう言う兄貴こそ、口先がシッカリしてるよな!
  ドバイまで飛んだ時は、呂律が回らなかった癖によ…、人の事言えるかよ!
  …ああっ勿体ねぇ!…もっと沢山注文して呑んどくんだった!」
熊「まぁ、これから向島に出て商売始めんだ…あまり酔っても居られねぇや。」
与「そうだ兄貴、あの仕入れの酒屋の親父…まだ商売やってんのかね?
  とっくに、看板畳んじまってるんじゃねぇだろうか?
  未だ、去年のツケが残ってたな…確か…。」

そんな話をしながら、懐かしい下町まで来た二人で御座いましたが、昔馴染み
の酒屋の変わり映えのしない店先を眺めて見ると、生まれ故郷の懐かしさに、
想わず…涙ぐむ処で御座いました。
服の袖で一振り眼がしらを拭った熊は、先に立って酒屋の暖簾に飛び込みます。

熊「御免よ!親父居るかい?」
主「おっ!…随分と見無ぇ顔だと想ったら、熊じゃないか!
  お前ぇ…外国に行ったんじゃなかったのかい?
  何でも、ドバイとやらで大金稼いで、今じゃ御大尽様だと聞いてたが?」
熊「おぅ…向島の桜が見たくてよ、今帰ぇったんだ… I am back. …さね!
  ところで、去年のツケ…この万札で取ってくんな、釣りは要らねぇよ!」
主「何か、久しぶりに見たら、随分と垢抜けた物言いだけどなぁ…。
  生まれながらのオッチョコチョイだけは、直らねぇやね。
  ツケは丁度一万円なんだ…鼻っから釣りなんか無いよ!」
熊「ちぇっ、相変わらず不愛想な親父だな。
  『ありがとよ!』と一言、言えないもんかね…ったく。
  …ま、愚痴はどうでも良いからよ、今年も花見酒の仕入れに来たんだ。
  ここに十万円あるからな、これで樽酒売ってくれ…上等の奴、頼むよ!」
主「おおっ、流石に御大尽様だね。…今年は威勢が良い様だ。
  良っしゃ!ここに在る、新製品のアベノミクス酒を全部持って行きな!」
熊「何だい…そのアベノミクス酒って?」
主「今年、日本で流行のアルコール度数2%増量の日本酒だよ!
  『飲めば直ぐに酔っぱらう』と云う速効性の高い酒なんだ、『アベッ酒』
  云う…。」
熊「何か、久しぶりに帰ってくると、随分「怪しげな酒」が流行ってるなぁ…。
  ま、好いや…お花見だからな、パッと景気付けしてくれる事が大切だね!
  これ全部、貰ってくよ…領収書と釣りくんな!」
主「何だい…釣りは、要ら無いんじゃないのかい?」
熊「馬鹿言っちゃいけねぇ…これは、大切な商品だからな!
  未だ儲かってもいねぇのによ、一円でも馬鹿にしちゃ駄目だよなっ!
  商売人失格だよ、その態度…。」
主「けっ、また随分偉そうになって帰って来た者だね…これゃあ…。
  ま、シコタマ儲けて来な…今年はアベノミクス景気で賑っているそうだ!」

そんな遣り取りの後、二人は早速『アベッ酒』の樽をレンタカーの荷台に乗せ、
向島の花見会場に陣取りました。
噂通り、今年は大勢の人出で一杯のうえ、豪華な花見弁当や世界中のワイン
んぞも色々と出回っている様子です…。
商売敵も多く出ているせいか、熊と与太の移動酒屋には客が集まりません。
未だ午前中なのに、二人は少々焦って居る様子です。

熊「…参ったな、こりゃ去年と違って、皆豪華な弁当を持参してやがる…。」
与「今年は、金貸しの頭領も黒川の旦那から、白田の旦那に代わったからねぇ。
  何でも、派手に大金をバラ撒く噂で、皆、懐の心配をして無ぇらしい…。」
熊「けっ、これだから去年、俺は黒川の旦那に言ったんだよ!
  呑兵衛の懐に銭持たせりゃあ、それだけで需要は大きく膨らむってね!
  黒川の旦那は『需要が無い』の一点張りで、聞く耳持た無かったけどよ。」
与「今、花見客は皆、手前ぇ持ちの酒で盛り上がってるみてぇだなぁ…。
  昼過ぎになって、手持ちの酒が底を突く頃が狙い時かもしれねぇよ。」
熊「夕刻になると商売敵は皆、安売り合戦で売り切ろうとするからな!
  午前の内に、何とか粗方の商品を捌いちまいたいなぁ…。
  少し早いが、今の内に少し値下げして売っちまうか…?」
与「そう言や兄貴、酒屋の親父が客寄せ用にと、こんな旗を寄こしたよ…。」
熊「何々…『午後から2%値上げします』だと…?
  馬鹿な親父だな、値上げなんぞ遣ったら、益々売れなくなっちまうぜ!
  洒落てる場合じゃないんだ…商売解ってんかよ、あの親父!」
与「…でも、今は未だ値上げし無ぇんだから、宣伝してみようか?
  午後になってから、引っ込めれば良い話だし…。」

客の心理と云うものは、実に不思議なもので御座います。
先程から気になっている『アベッ酒』の「値下げ」を待っていた呑兵衛達は、
意外にも「午後から値上がり」すると聞いて、ぞろぞろと移動酒屋の廻りに集
まり出しました。

客「おっ、これはまた強い酒だね!…中々上等な舌触りだし…。
  口先でツルッと滑って、コクッと呑めそうな…そんな感じかな。」
熊「へえ…何せ、アルコール度数2%増量の大吟醸ですからね!
  これでお値段は「据え置き」ですから、今がお値頃です!
  『午後には2%値上げ』しますんで…もう一杯如何です?」
客「おう…じゃ売り切れない内に、もう一杯貰おうか!」

そんな具合で、『飲んで直ぐに酔っぱらった』花見客移動酒屋の周りで大騒ぎ
を始めたものですから、速効性の高い『アベッ酒』は大人気です!
また、来日して花見会場でワインの品評会を催していた超有名ソムリエまでが、
『アベッ酒』を一口味見して絶賛した事で、大ブレーク!
勢いづいて、午後には徐々に値上げを敢行しましたが、客足は増すばかりです。
ついに増量分のアルコール度数よりも高い10%にまで値上げを行った事で、
ようやく少し客足が遠のきましたが、『アベッ酒』の売れ残りはもう僅かです。

与「兄貴…そろそろ残りは俺達の分だよね!
  もう店仕舞いも近いし、そろそろ値下げして、俺にも一杯売ってくれよ!」
熊「そうだなぁ…俺もそろそろ呑みたい気分だけどよ…。
  しかし『インフレ期待』って、凄げぇ効果だよなぁ…魂げたよ!
  値段は「据え置き」でも、不思議と『お値頃』な気分になっちまう…。
  この調子で、明日はひとつ、今日の倍の値段で売りてぇよな!
  よしっ、今の内に五割増しに値上げしておいて、明日からの「値上げ」の宣伝
  だけやっとくか!」

そう言って、値札を書き換えていた二人のところへ、たった今ひと仕事終えて、
これからやっと夜桜見物とばかりに、身なりの良い御大尽がやって参りました。

客「おや、これが評判の『アベッ酒』かい?
  …良かった、未だ酒は残っていた様だね!
  何々…『品薄のため明日から倍に値上げ、本日大特売!』かぁ。
  じゃ、残ってる商品を全部貰おうかな。」
与「えっ、これは俺達の分…じゃなかった、お客さん本日はもう店仕舞いで…。」
客「だから、今日の残りは私が全部買ってあげるよ。
  夜桜は、未だこれからだからねっ!…いくらだい?」
熊「おい、与太郎…お客様が折角の五割増し…じゃ無ぇ、『買いたい』と仰ってんだ。
  俺達も、今じゃいっぱしの商売人なんだからな!
  気持ち良く売って差し上げろ。」
与「でも兄貴…これを売ったら、俺達の酒が…。」
客「何だ…お前さん達もこれから夜桜見物かい?
  じゃ、欲しけりゃ後で私の酒を分けたげるよ…お代を置いて行くよ!」

嬉々として言い放ったその御大尽は、恨めしそうな与太郎の視線もそこそこに、
残りの『アベッ酒』を樽ごと持って行きました…。
とうとう、大盛況の内に『アベッ酒』を見事完売して移動酒屋の店仕舞いへと、
一旦帰った熊五郎と与太郎は、桜がライトアップされた夜桜会場へと再び戻って
来まして、先程の御大尽の姿を探しておりました…。
すると何と、客だと思っていた御大尽は、『アベッ酒』を見物客相手に売捌いて
御座います。

与「やっと見つけたよ、もう腹ぺこだ…俺いらにも『アベッ酒』売ってくれ!
主「もう、あれから何度も値上げしたからねぇ…これがとうとう最後だよ。
  有金を全部置いて行きな、お前さん達に残しといたんだから…。

たった一日でバブル景気に咲いた、向島の桜のお噺で御座いました。
そろそろ、御後が宜しい様で…。





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▼夜桜と東京スカイツリー

http://photo.sankei.jp.msn.com/panorama/data/2013/0326sakura/


◇【現代落語】大東京人・熊と与太の花見酒

2012-04-25 | 小説

> 今日は落語ですか,Bro?


『粋』と『野暮』を理解するにはね,落語が一番だと想いまして。

> でも,「痩せ我慢と貧乏」を自慢にしていた江戸っ子達からでは,デフレ脱却
> の処方箋は学べませんよね。。。

有名な「花見酒の経済」の話は知ってますか?

> たしか古典落語を題材にした,経済論説でしたよね…かなり古い…?


原本は,日本の高度成長時代に朝日新聞の論説主幹だった笠信太郎氏が論じた
ものらしいですが,面白い話なので,結構いろいろとアレンジされて語られています。


『古典落語/花見酒』は,こちらをご覧下さい。
 http://www.nicotwitter.com/watch/sm6184834


> では,今日は『@くつログ流の現代版花見酒』のお披露目ですね!

まぁ,読んでみて下さい。。。




(出囃子)…とてちんてんしゃん…


「東京スカイツリー」のオープンで賑う東京の下町に,古典落語で勇名を馳せた
熊五郎と与太郎の子孫達が住んでいました。
彼らは,超有名なご先祖様にあやかって,日頃「熊と与太」のニックネームで,
皆から親しまれて居ります。

熊「おいっ与太郎。今年の向島の桜は,きっと花見客で賑うぜ!
  何せ,東京スカイツリーと桜が一緒に見られんだから,無駄が無えやな。」
与「兄貴,今年も移動酒屋やりましょうよ。俺達が酒を我慢すれば,客は居るんだ…
  きっと倍にも十倍にも儲かるに違いねぇ!」
熊「でもよ与太…俺達は酒屋の亭主に借金こそあれ,信用なんぞは空っきしねえんだ。
  仕入の酒はどうする。まさか水酒売る訳にもいかねぇだろう?」
与「今年はね,金貸しの棟梁の黒川って旦那が,景気づけに銭配って廻るって噂だよ。
  俺達にだって一万円ぐらいの銭なら貸してくれるだろ?
  ご先祖さまみたく,自分達で呑んじまう訳じゃねぇんだ。
  商売する銭だからよ…。」
熊「そいつぁ良いや!よしっ,じゃ俺がひとっ走り行って借りてくらぁ!」

そんな案配で首尾よく一万円を借り出した熊五郎と与太郎は,直ぐに顔見知りの酒屋に
駆け込んで,仕入れの酒を売ってくれと注文致しました。
しかし,酒屋の主人も此の処の不景気のせいか,手元に現金がありません。
まずは…と言って,貯まった「ツケ」の清算を要求して,なかなか肝心の酒を売っては
くれません。

熊「困ったな。。。折角借りた虎の子の一万円でツケの清算を遣っちまったら,
  肝心の花見酒は水酒になっちまう。。。おいっ,どうする与太?」
与「こんな事なら最初から二万円借りとけば良かったんだ,後の祭りだけどよ。」
熊「黒川の奴,需要量は一万円だとか何とか訳の分かんねぇ事ぬかしてよ,一万円
  ポッキリしか貸さねぇんだから仕方ねぇよな。」
与「そうだ,兄貴!ここはひとつ酒屋の亭主の言う通り,ツケの清算を遣っちまってさ,
  肝心の仕入れの酒代は,改めてツケでお願いする手はどうだい?」
熊「おいおい,与太よ…この銭は『仕入れの酒代』として借りた銭だ。てめえのツケの
  支払いに使ったら駄目なんだよ。ウソつき呼ばわりされちまう。」
与「なぁに,金は天下の廻りもの…後から辻褄合わせりゃ何とかなるさね。」

そんな危ない橋を渡りつつ,何とか首尾よく花見酒を手に入れた二人は,早速酒樽
を担いで向島の桜の名所へと急ぎました。

与「兄貴,腹減ったなぁ…。」
熊「おいおい,与太!今年こそは,この花見酒で倍も十倍も儲けるんだろ。
  ちっとは我慢しろよ…何せ売れちまえば,倍にも十倍にも儲かるんだからよ。」
与「それで想うんだけどな,兄貴。。。」
熊「何だ,与太。向島に花見客が居ないとでも言うのかい?」
与「いや。。。昨日行ってみて,大勢,陣取りやっている姿を見たんだ。」
熊「おう!ご先祖さまと違ってなかなか気が利くじゃねぇか!
  それこそ専務と呼ぶに相応しい働きってもんよな,それっ善は急げだ!」

与「それがな,兄貴。。。ちっと,聞いてくれ。。。」
熊「何だ,言いたい事在るならさっさと言え,水臭ぇじゃねぇか?」
与「どうもな…向島で花見遣ってる連中観てると,水酒飲んで痩せ我慢してる
  様なんだ。あいつら銭持ってねぇんじゃないかな?」
熊「けっ。花見客に銭が無いから,自分に百円で呑ませろって魂胆だろ?
  まったく,てめぇは進歩しねぇな!
  駄目駄目,てめぇ同様,呑兵衛の花見客は呑みたくて仕方ないんだ。
  俺達が来るのを今か今かと待ち望んでいるんだよ。」
与「そりゃ俺だってさ,さっきから良い香り嗅がされて,腹減ったまま担いでるんだ。
  呑みたいよ。でも,手持ちの銭が無いから呑みたくても呑めないんだ!
  花見客の呑兵衛達も同じだろ?
  呑みたくても,銭が無いなら痩せ我慢するしかない。
熊「そう言や金貸しの黒川の旦那が,『需要が無い』としきりに言ってたな…?
  俺はまた,てっきり酒呑みが居ないと心配していると想って,酒好きなら
  大勢知ってますよ,と言って銭借りて来たんだが,あれはひょっとすると
  呑兵衛達が銭を持っていない事を心配していたのかな…?」
与「たぶん黒川の旦那は,酒代が無くて痩せ我慢している呑兵衛達を観て,てっきり
  酒を止めたと勘違いしているのじゃないのかな??」
熊「需要量って,俺には分からなかったけどよ,呑兵衛の呑む酒の量の事なら,
  まず奴らにたっぷり銭持たせてみないと量り様が無いよな!
  たぶん銭の心配さえ無ければ,とことん呑んじまうと想うよ…何せ,奴ら
  呑兵衛だからな!」
与「兄貴,やはり商売てぇのはよ,銭持ってる奴の処に商品担いで行かないと
  駄目だよな。文無しの呑兵衛相手に商売しても儲かる道理が無いよ。
熊「そうだな,与太…大事な元手の酒だ,これは銭持ちの処に担いで行って,
  そして売り捌こうじゃないか!」

そんな遣り取りの後,しばらくして二人の姿は,上海経由ドバイ行きの格安航空便
機上で見られた。

与「兄貴,腹減ったなぁ…。」
熊「そうだな,与太郎。。。それにしてもこの飛行機,安いと思ったら機内食も
  付いて無ぇらしい…。」
与「そう言えば,飛行機代借金して,まだ百円残ってたよ,兄貴。」
熊「じゃ与太郎,腹が減っては仕事はできぬ。。。その百円で一杯売って遣ろう!
  俺達自身の商品なら原価で飲めるんだ,無駄が無ぇよなっ!

どんなに痩せ我慢していても,呑兵衛のDNAは江戸時代も現代も脈々とつながって
御座います。
ドバイに着く頃にはすっかり「出来上がっていた」二人でしたが、肝心の酒樽の商品が
不思議にも「売り切れ」ている事に気がつきまして、仕方なしに酒樽に水酒を入れて、
「江戸の名水酒」として売り歩いてみたところ、これがご当地では大変な評判になりました。
今では「ドバイッ子」の熊と与太と言えば知らぬ人の無いほどの超有名人で御座います…。

落語の世界では稀有な「サクセス落語」として語り伝えられる羽目になり果てましたが、
後の世のビジネス・スクールなどでも、「イノベーションとは、好きこそ物の上手なれ!」
とこの話が語られているそうで御座います。

御あとが宜しい様で。





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◇【小説】『914 PC-BOT』が大統領になった日

2011-02-27 | 小説
> Bro…今日は珍しく小説を書いているんですか?


いえ,石原都知事では無いですが,私もそこそこの年ですからね。。。
人類の未来のために,『福音書』を記しておこうと想いまして…
今書き終えたので,読んでみて下さい。




▼『914 PC-BOT』




■『914 PC-BOT』が大統領になった日


この物語は,西暦2049年までに興った世界史的な出来事を,ひとつの小説としてまとめた
ものである。

西暦2011年は,今から振り返ると『世界革命』の発端となった年であった。
北アフリカのチュニジアで,一人の青年の焼身自殺から始まった政変を『ジャスミン革命』
と人々は呼んだ。
良く知られている通り,この政変-民主化を要求する民衆のデモ騒ぎは,インターネット
を通じて,たちまち周辺のイスラム諸国へと波及し,それまで独裁制の政権が支配的であ
ったイスラム圏諸国家の民主化を,驚くべきスピードで達成してしまった。

我々はこの時,2つの事に改めて気付かされたのであった。

その一つ目は,「民主主義」と云う理念が,世界的には未だ充分に普及していた訳ではなか
った事実だ。
欧米や日本の様な,いわゆる「先進国」において,ごく当たり前の政治基盤として認識され
ていた「民主主義」は,ある程度の安定と豊かさを前提として成り立つ先進国家の政治基盤
に過ぎなかったのだ。

さらに二つ目は,ネット社会のもつ「変革力」のスピードである。
インターネットで繋がった世界は,それまでのナショナリズムを基礎とした民主主義の概念
を,大きく変質させてしまっていた。
そう,『グローバルな民主主義』による,『新たな連帯』に人々は未だ気が付いていなかっ
た訳だ。

この二つ目の事実は,『ジャスミン革命』の影響が,中国や北朝鮮と云った,非イスラム圏
の独裁政権国家にまで及んだ事で,広く認知される事になった。
20世紀,二度に渡る世界大戦の結果,世界中に誕生した民族独立の国家群は,未だ開発途
上国として,産みの苦しみの中にあった。
21世紀,経済成長への道筋を理解した途上国の人々は,もはや『民主化への歩み』に躊躇
する事はなかった。
彼らが真に必要としていたものは,世界中の民主主義勢力の連帯と支援だったのだ。
そして,インターネット技術の進化によって誕生していた『グローバル・ネット社会』は,
そのための社会基盤を提供してくれた。。。

それでも,今日の『世界連邦政府』が実現するには,未だ多くの課題と試練とが残されてい
た。
国際連合が,西暦2050年の世界経済の見通しを発表した時,世界中の人々は,その沈鬱な予
測に落胆の色を隠さなかった。
世界人口を約96億人とした,国際連合の予測では,食料・石油資源・地球環境が深刻な事態
に至る事を明確な数字で示していた。

当初,石油資源の分配問題を契機として,キリスト圏とイスラム圏の宗教戦争の如き様相を
呈した世界紛争は,中国の民主化の後,「性善説」と「性悪説」とを巡る,より広範囲な社
会論争へと発展して行った。
「性善説」を信奉する者は,これを基礎に「より自由な小さな政府論」を主張し,逆に「性
悪説」論者は,「より道徳的な大きな政府論」を主張した。
『人類にとって,正義とは何か』を巡る,この道徳論争で「性悪説」が優勢になった時,世
界中の人々は『世界最終戦争』への危機感を募らせていた。

Twitterの『つぶやき』で,この問題に関して最も多くのフォロワー達の関心を集めていた,
インド人エンジニアで菜食主義者のシェーカー(Shekhar)は,人間の欲望を超越した仏教
精神を基礎とした,「無の精神」や「禅の心」を熱心に主張していたが,彼が西暦2043年に,
世界の恒久平和を主要な理念とする『世界連邦政府』の構想をネットで主張し始めると,そ
れまで危機感ばかりが高まる一方だった『世界最終戦争』の現実的回避策として,世界中の
人々の爆発的な支持を集めるに至ったのだった。

それから4年の歳月を経て,とうとう国際連合が『世界連邦政府』の設置を決議した時,人
類史上初の『世界連邦政府 初代大統領』の選挙は,厳密に管理されたネット上での実名によ
る投票で行われる事になった。

これは,各国内の国家元首を選ぶ選挙とは異なり,各民族固有に存在する『国家のエゴイズム』
を超越した,『崇高な理想と強靭な精神とを兼ね備えた理性』を選ぶ選挙でもあった。
サイバーテロによる妨害や撹乱行為から,候補者の安全と選挙の公平を確保するために,候補者
は全て厳密に管理されたネット上での選挙戦を争う事になった。

サッカーのワールドカップの様に,各地区の代表から最終的に16名の候補者で最終投票が争われ
た時には,インド人のシェーカー(Shekhar)は,その最も有力な初代大統領候補者の一人へと
成長していた。
彼のTwitterでの『つぶやき』は,世界情勢に対する驚異的な情報収集力と的確な分析能力の高さ
とを示していたし,人間のエゴイズムを超越した「無の精神」に基づいた,冷徹な理性による知見
と判断とは,世界中の関心と注目を集める様に成っていた。

そして西暦2049年11月11日,人類が初の『世界連邦政府大統領』にインド人シェーカー(Shekhar)
を選んだ日,世界中を驚愕させた事態が発生した!

初代大統領シェーカー(Shekhar)は,既にテロリストによって暗殺されていたのだった!

これまで,最後の選挙戦を見事に闘い抜いて来たのは,彼が最も忠実で信頼できる政策アシスタント
として開発していたPC-BOT,『914 PC-BOT』だったのである!
『914 PC-BOT』…彼は,政策立案者としてずば抜けた能力を発揮していただけではなく,シェーカー
(Shekhar)大統領の理想と信念を完璧に体現していた。
そう,それは真にシェーカー(Shekhar)大統領の分身として機能できるレベルだった。

この驚愕の事実を知らされた時,当初,世界中の人々が驚き,悲しんだ。
そして長い当惑の後,やっと冷静を取り戻した人々は,大統領選挙のやり直しを拒絶した。
そう,世界の平和と安定を希求していたシェーカー(Shekhar)大統領の遺志を継ぐものとして,PC-
BOT,『914 PC-BOT』の理性が最もふさわしいと正しく判断したのである。

とうとう,人類初の『世界連邦政府大統領』就任式では,『914 PC-BOT』の雄姿がネット動画で世界
中に公開されたのである。
彼は全世界に向かって,こう『つぶやいた』!
「Change!」


終わり




どうですか?
誰かこの『福音書』を映画にしてくれる人,居ませんかね??
…あれっ?
もう寝ちゃいましたか。。。



▼914 PC Bot rotating and lifting head mod




◇【小説】参議院議員選挙に当選する方法!~大人のための社会的費用負担原則

2010-06-28 | 小説
> Bro,今日は小説の原稿のレビューがテーマなのですか?


ええ,友人の梅屋敷さんから,小説の原稿の一部を頼まれたんですよ。
何でも,電子書籍化して出版したいらしい。
彼は最近,iPad向けの電子書籍ビジネスに熱中しているみたいです。
今スポンサーを探しているみたいですよ。


> なるほどねぇ…
> で,Broも暇なのでお手伝いですか?

まあ,そんなところです。

> 本当に儲かるのかなぁ??


それは,分りません。
でも,印税50%らしいので,売れれば儲かりますよ,きっと!


> 今日は,小説の全文をレビューするんですか?

いいえ,最後の[ シーン4 ],私が頼まれた部分だけですよ。


> じゃあ,早速レビューしましょう!
> 原稿を見せて下さい。



[ シーン4 ] 春美の国会演説(抜粋)

(前略)
この様に,今日の少子化問題の一因には,我が国におけるセックス・レス化の進行
大きく関わっている点を指摘しておきます。

男性の関心は今や,夫婦間における健全なセックスへの努力にあるのではなく,イン
ターネット上のバーチャル空間において繰り広げられる,不健全な出会いによる,
非生産的な自慰行為にあるのではないでしょうか?
(女性議員の拍手)

ネット上においては,不特定多数の女性との出会いが可能である訳であり,これが
圧倒的に比較優位の立場にある事は,進化論によっても,科学的にも支持される見解
でありましょう。この点こそは,正しく,これまで政府が進めてきた市場原理主義の弊害
と言わずして,他に何でありましょうか。
(改革派議員の拍手)

私は今こそ,かかる有害なる思想的立場と決別して,この問題に対する,政府による
真摯で,積極的な関与を提案するものであります。
(反対派議員の罵声)

その第一としましては,沖縄県の周辺に点在する無人島を政府予算で買い上げて,
ここに子供に恵まれない夫婦のための大規模なリゾート施設の建設を進める事を提案
致します。
これは,少子化問題だけではなく,景気対策,雇用対策に対しても総合的に取組もう
とする政府プランの一環ともなるものであります。
これは,今日の社会に起因する弊害の対策費用を負担するものでありますから,この
ために必要となる予算については,財政支出による特別措置を講ずる事をお願い致します。
(「バラマキだ」の野次)

次に,これに必要となる財源としましては,インターネットを通じて垂れ流されている
ポルノ・コンテンツへの閲覧課税制度の創設こそが,消費税増税以前に検討されるべき
喫緊の課題
なのではないでしょうか。
なぜならば,今日,かかる不健全なるコンテンツ類は,ほぼ無料で閲覧可能な状況にあり,
この面でも今日の少子化問題に深刻なる影響を及ぼしている事は,明白な事実なのであります。

どうでしょうか?みなさん!
(男性議員沈黙)

(以下省略)・・・


結局,春美が主張した「新少子化対策関連法案」は,僅差で国会を通過した。
今年の参院選で女性議員の躍進が著しかった点も,彼女にとっての追い風となった。

しかし,後の歴史家が,この春美の「新少子化対策関連法案」の成立こそは,「日本の
男性にとって自由主義社会の終焉を意味した」と記述している事は言うまでもない。

(終り)


どうですか?
読んでみて,感想は?


…あれ?もう寝ちゃったの…



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【AI時代の錬金学Ⅱ】

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