> 今日は落語ですか,Bro?
『粋』と『野暮』を理解するにはね,落語が一番だと想いまして。
> でも,「痩せ我慢と貧乏」を自慢にしていた江戸っ子達からでは,デフレ脱却
> の処方箋は学べませんよね。。。
有名な「花見酒の経済」の話は知ってますか?
> たしか古典落語を題材にした,経済論説でしたよね…かなり古い…?
原本は,日本の高度成長時代に朝日新聞の論説主幹だった笠信太郎氏が論じた
ものらしいですが,面白い話なので,結構いろいろとアレンジされて語られています。
▼『古典落語/花見酒』は,こちらをご覧下さい。
http://www.nicotwitter.com/watch/sm6184834
> では,今日は『@くつログ流の現代版花見酒』のお披露目ですね!
まぁ,読んでみて下さい。。。
(出囃子)…とてちんてんしゃん…
「東京スカイツリー」のオープンで賑う東京の下町に,古典落語で勇名を馳せた
熊五郎と与太郎の子孫達が住んでいました。
彼らは,超有名なご先祖様にあやかって,日頃「熊と与太」のニックネームで,
皆から親しまれて居ります。
熊「おいっ与太郎。今年の向島の桜は,きっと花見客で賑うぜ!
何せ,東京スカイツリーと桜が一緒に見られんだから,無駄が無えやな。」
与「兄貴,今年も移動酒屋やりましょうよ。俺達が酒を我慢すれば,客は居るんだ…
きっと倍にも十倍にも儲かるに違いねぇ!」
熊「でもよ与太…俺達は酒屋の亭主に借金こそあれ,信用なんぞは空っきしねえんだ。
仕入の酒はどうする。まさか水酒売る訳にもいかねぇだろう?」
与「今年はね,金貸しの棟梁の黒川って旦那が,景気づけに銭配って廻るって噂だよ。
俺達にだって一万円ぐらいの銭なら貸してくれるだろ?
ご先祖さまみたく,自分達で呑んじまう訳じゃねぇんだ。
商売する銭だからよ…。」
熊「そいつぁ良いや!よしっ,じゃ俺がひとっ走り行って借りてくらぁ!」
そんな案配で首尾よく一万円を借り出した熊五郎と与太郎は,直ぐに顔見知りの酒屋に
駆け込んで,仕入れの酒を売ってくれと注文致しました。
しかし,酒屋の主人も此の処の不景気のせいか,手元に現金がありません。
まずは…と言って,貯まった「ツケ」の清算を要求して,なかなか肝心の酒を売っては
くれません。
熊「困ったな。。。折角借りた虎の子の一万円でツケの清算を遣っちまったら,
肝心の花見酒は水酒になっちまう。。。おいっ,どうする与太?」
与「こんな事なら最初から二万円借りとけば良かったんだ,後の祭りだけどよ。」
熊「黒川の奴,需要量は一万円だとか何とか訳の分かんねぇ事ぬかしてよ,一万円
ポッキリしか貸さねぇんだから仕方ねぇよな。」
与「そうだ,兄貴!ここはひとつ酒屋の亭主の言う通り,ツケの清算を遣っちまってさ,
肝心の仕入れの酒代は,改めてツケでお願いする手はどうだい?」
熊「おいおい,与太よ…この銭は『仕入れの酒代』として借りた銭だ。てめえのツケの
支払いに使ったら駄目なんだよ。ウソつき呼ばわりされちまう。」
与「なぁに,金は天下の廻りもの…後から辻褄合わせりゃ何とかなるさね。」
そんな危ない橋を渡りつつ,何とか首尾よく花見酒を手に入れた二人は,早速酒樽
を担いで向島の桜の名所へと急ぎました。
与「兄貴,腹減ったなぁ…。」
熊「おいおい,与太!今年こそは,この花見酒で倍も十倍も儲けるんだろ。
ちっとは我慢しろよ…何せ売れちまえば,倍にも十倍にも儲かるんだからよ。」
与「それで想うんだけどな,兄貴。。。」
熊「何だ,与太。向島に花見客が居ないとでも言うのかい?」
与「いや。。。昨日行ってみて,大勢,陣取りやっている姿を見たんだ。」
熊「おう!ご先祖さまと違ってなかなか気が利くじゃねぇか!
それこそ専務と呼ぶに相応しい働きってもんよな,それっ善は急げだ!」
与「それがな,兄貴。。。ちっと,聞いてくれ。。。」
熊「何だ,言いたい事在るならさっさと言え,水臭ぇじゃねぇか?」
与「どうもな…向島で花見遣ってる連中観てると,水酒飲んで痩せ我慢してる
様なんだ。あいつら銭持ってねぇんじゃないかな?」
熊「けっ。花見客に銭が無いから,自分に百円で呑ませろって魂胆だろ?
まったく,てめぇは進歩しねぇな!
駄目駄目,てめぇ同様,呑兵衛の花見客は呑みたくて仕方ないんだ。
俺達が来るのを今か今かと待ち望んでいるんだよ。」
与「そりゃ俺だってさ,さっきから良い香り嗅がされて,腹減ったまま担いでるんだ。
呑みたいよ。でも,手持ちの銭が無いから呑みたくても呑めないんだ!
花見客の呑兵衛達も同じだろ?
呑みたくても,銭が無いなら痩せ我慢するしかない。」
熊「そう言や金貸しの黒川の旦那が,『需要が無い』としきりに言ってたな…?
俺はまた,てっきり酒呑みが居ないと心配していると想って,酒好きなら
大勢知ってますよ,と言って銭借りて来たんだが,あれはひょっとすると
呑兵衛達が銭を持っていない事を心配していたのかな…?」
与「たぶん黒川の旦那は,酒代が無くて痩せ我慢している呑兵衛達を観て,てっきり
酒を止めたと勘違いしているのじゃないのかな??」
熊「需要量って,俺には分からなかったけどよ,呑兵衛の呑む酒の量の事なら,
まず奴らにたっぷり銭持たせてみないと量り様が無いよな!
たぶん銭の心配さえ無ければ,とことん呑んじまうと想うよ…何せ,奴ら
呑兵衛だからな!」
与「兄貴,やはり商売てぇのはよ,銭持ってる奴の処に商品担いで行かないと
駄目だよな。文無しの呑兵衛相手に商売しても儲かる道理が無いよ。」
熊「そうだな,与太…大事な元手の酒だ,これは銭持ちの処に担いで行って,
そして売り捌こうじゃないか!」
そんな遣り取りの後,しばらくして二人の姿は,上海経由ドバイ行きの格安航空便の
機上で見られた。
与「兄貴,腹減ったなぁ…。」
熊「そうだな,与太郎。。。それにしてもこの飛行機,安いと思ったら機内食も
付いて無ぇらしい…。」
与「そう言えば,飛行機代借金して,まだ百円残ってたよ,兄貴。」
熊「じゃ与太郎,腹が減っては仕事はできぬ。。。その百円で一杯売って遣ろう!
俺達自身の商品なら原価で飲めるんだ,無駄が無ぇよなっ!」
どんなに痩せ我慢していても,呑兵衛のDNAは江戸時代も現代も脈々とつながって
御座います。
ドバイに着く頃にはすっかり「出来上がっていた」二人でしたが、肝心の酒樽の商品が
不思議にも「売り切れ」ている事に気がつきまして、仕方なしに酒樽に水酒を入れて、
「江戸の名水酒」として売り歩いてみたところ、これがご当地では大変な評判になりました。
今では「ドバイッ子」の熊と与太と言えば知らぬ人の無いほどの超有名人で御座います…。
落語の世界では稀有な「サクセス落語」として語り伝えられる羽目になり果てましたが、
後の世のビジネス・スクールなどでも、「イノベーションとは、好きこそ物の上手なれ!」
とこの話が語られているそうで御座います。
御あとが宜しい様で。
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