> 今回は、久しぶりに経済学がテーマですね!
> Broが以前話していたとおり、9月以降、景気の下降が顕著な様子です。
> 生活保護受給者も増加を続けているみたいだし、いよいよデフレの深刻化は、
> 末期的な段階に突入しつつあるのではないでしょうか?
▼◇今年の流行語大賞は『売国奴』?~マイナスサム社会の世相日記
http://blog.goo.ne.jp/ayakikki/e/d6765ceb13c477baeac0c83a99ece90b
誤解を受けないように言葉尻を訂正しておきますが、デフレと云うのは単なる
不景気なのではなく、対策も何もしないで放置しておいて、自律的に回復する
様な経済現象では無いのです。
末期的も何も、悪くすれば倒産企業と失業者とがどんどん町に溢れて行って、
最期には、国民経済を壊滅させるぐらいの破壊力があります。
だから、怖いのです。
> う~ん、ようやく政府も事態を重く見て、緊急経済対策を模索中みたいです
> が、何分財源が在りません。
> 現在の民主党政権は、既にレームダック状態ですから、お手上げですよね。
> でも、海外で生産して、海外で販売している企業などは、未だ元気ですね?
世界全体がデフレな訳ではないですから、モノが売れる国で、利益確保可能な
低賃金で生産できれば、未だ個別の企業としては成長できますよ。
日本で納税していれば日本企業ですが、実態は空洞化していて、ほぼ外国企業
と考えて良い、海外投資の利益を持ち帰っているだけなので、投資銀行の一種
だと考えた方が分かり易いです。
> では、日本法人は製造業ではなく、金融業に分類されるべきですか?
実際には、日本本社で生産や販売の企画を行っているでしょうから、企業分類
と云うのは、なかなか厄介ですけどね。
しかし分配面で企業を見ると、結局日本国内で雇用する少数の従業員の給料と、
納税でしか日本経済に寄与しませんから、国内の規模はかなり小さいですよね。
> 世界市場における販売額だけを見ていても、日本経済への貢献度は測れない
> 訳ですね!
一流企業の経営者の多くは、法人納税額を基準に国への貢献度を評価しますが、
実際には、国内の従業員への支払いが、その後国内の消費需要や給与所得税等
に変化して、波及効果を生み出している事までは考えていません。
日本全体のマクロ経済ではなく、自社の経営、つまり一企業のミクロ経済が、
彼ら自身の関心事ですからね。
> 成程、自分が納めた税金の使い道をアレコレと詮索して、「バラマキ」としか
> 言わない国民と同じですね、政府の財政支出が、結局国民の懐に戻ってきて
> 波及効果を生んでいる所まで考えていない訳だ…。
一番酷いのは、財政赤字を心配して緊縮財政と増税しか頭にない、お役人方の
近視眼こそが最低です。
自分達が世の中を不景気にしておいて、税収が減ると、また緊縮財政と増税を
言いだす始末では際限が無い!
> そうか、ミクロな経済現象を全部集計してみても、マクロな経済循環構造は
> 見えてこないですね!
一つ例え話をしましょう。
大きな湖で釣りをしている人々を想像して下さい。
彼らは夕飯のおかずが目的で、のんびりと釣りを楽しんでいます。
> 大量に釣っても、食べきれないので捨ててしまう訳ですね。
そこに、余った魚を買い上げてくれる業者が現われたらどうでしょう?
> 沢山釣って、金儲けする人が出てきますね。
> もし業者の資金量が限られていたら、その内、釣り人達の間で競争も始まる
> でしょう!
この買取業者に資金力があれば、その内専業の漁師が出現して、漁法を研究し、
生産性も向上するでしょうね。
沢山釣って、より沢山収入を得る事、これがミクロ経済的な観点です。
> この場合、生産者競争ですね。
> でも、資金量が一定なら、その内「値下がり」が顕著になりそうですが?
つまり、最も生産性の高い漁師が「安く」販売できるでしょうから、買取業者
側は、彼から「大量に」購入する事を望むでしょうね。
このゲームの最期はどうなると思います?
> 最も生産性の高い漁師が勝ち残って、他の漁師は買ってもらえなくなります。
その前に、その最も生産性の高い漁師は、画期的な漁法を発明するでしょう。
つまり、湖の魚を全て丸ごと網で漁獲する漁法ですね!
> えっ!そんな事したら、もう魚が居なくなって、漁ができないじゃん!
それが、ミクロ経済的な終末でしょうね。資源の枯渇です。
このゲームを持続可能な経済にするには、どうします?
> 政府が競争に介入して、漁獲制限する必要があります。
> 湖の魚の総量が安定的に維持できる水準以下に、漁獲量は制限されますね。
資金量と資源量に限度があれば、おそらく生産性の高い漁師達が少数で組合を
作って、お互いに漁獲量を割り当てつつ、安定価格で漁を続ける事でしょうね。
> 結局、マクロ経済の観点から政府の介入が必要で、そうすると生産者競争は
> 制限されて、生産性の向上も低下する訳ですか…?
もし、何らかの事情で、買取業者の資金量が減った場合どうなりますか?
> 漁師達は供給量を減らすか、または再び「値下げ」合戦の始まりですね。
つまりデフレ経済です。
価格低下と販売不振に耐えられない漁師から、漁を辞めて行くでしょう。
> 結局、マクロ経済全体が縮小しますね、失業者が発生します。
あなたが漁師だとして、この窮状をどの様に打開しますか?
> 当然、新たな買取業者を探しますよね、なるべく資金力のある。
隣のもっと大きな湖に、豊富な漁業資源と需要とを発見したら?
> 勿論、生産拠点をそちらの湖に移します。
> 投資する資金の蓄えがあればの話ですけど…。
結局、生産者は成長市場でのビジネスを望む訳です。
その方が、投資の費用対効果が大きいですからね。
需要も資金も無い所では、いくら腕の良い漁師でも、精々夕飯のおかずを釣る
事で満足するしかありません。
> でも、最初の湖の方でのデフレ経済の話に戻りますけどね、買取業者が資金
> 量を減らしても、結局、価格低下で元の需要量を満足できるなら、どんどん
> 運転資金を減らしますよね。でも、生産者が無くなると、供給も途絶える訳
> ですから、どこかでデフレの進行は止まるはずですね?
国内の生産が壊滅したら、輸入に頼れば良いので、やはりデフレは止まりませ
んよ。金持ちは海外投資からの収益がありますから、国内のデフレは物価が安
くなって歓迎かもしれませんね。さらに円高だと、海外投資の旨みも増すし。
問題は失業者達、そして増大する福祉予算と税収減少に悩む政府の方です。
デフレ下では、国内経済が二重構造化して行きます。
つまり格差社会が顕著になって、社会不安が拡がるのです。
> デフレ経済の対策は、ミクロ経済学では不可能なのですか!
ここに書いたのは、解り易く単純化した寓話ですから、実際の経済現象とは異
なりますが、是非理解して欲しいのは、マクロ経済学の重要性なのです。
これを使用する人々は、主に経済官僚達ですが、現在の日本では世論が官僚を
総攻撃するので、まっとうな官僚までも想う様には仕事ができません。
マクロ経済政策は、経済全体の最適性を主眼にして対策を考えるので、一般の
家計、企業会計、財政の様なミクロ経済の感覚からは、一見逆転した、奇異に
映る政策も多く、解り難いのです。
結局、国民一般がマクロ経済学の重要性を理解しないと、問題解決が進まない。
> 経済現象では、「1+1=2」では無いのですね?
そう、「1+1=3」も「1+1=0」も在り得るのが経済現象です!
各個のミクロな部品を最適化しても、全体のマクロな機械が上手く動く訳では
ありません。
デフレ脱却が目的ならば、マクロ経済の視点から経済現象を眺めてみて下さい。