> 日本全体が山中教授のノーベル生理学・医学賞受賞に沸き返っていたのに、
> 随分とまた呑気な記事ですね、Bro?
実はね、山中先生がiPS細胞の作製でノーベル賞候補になっている事は知って
いたのですが、ネットでその解説記事を読むまで、それほど画期的な業績とは
気付かなかったのですよ…。
> 何と情けない、これから再生医療への道が大きく拓かれたのですよ!
> 自分の体の複製が人工的に作られるなんて、凄い事じゃないですか!
その点はね、1953年にワトソンとクリックがDNAの二重らせん構造を発見し
て以来、私が社会人になった1980年代中頃までには遺伝子工学の技術が長足の
進歩を遂げていましたからね、当然予想できた事なのです。
当時からクローン生物の話題などが賑やかでしたから。
> Broは、遺伝子工学も詳しいの?
私が社会人になって、最初に配属されたのは、ドラック・デザインシステムの
研究開発チームでしたからね。
医薬品などの新薬の特性をコンピュータ上でシミュレーションして、設計支援
を行うCADシステムです。
製品化されたシステムは、当時、朝日新聞の一面トップを飾りました。
> へ~え、じゃ本当にこの分野の専門家なんだ!
我々はコンピュータの技術者ですから、専門の研究者達からヒアリングして、
システムの設計開発を担当するだけですのでね、本来の専門家ではないですけ
ど、それでも専門的な業務内容に対応して行くために、相応な勉強を強いられ
ましたから、素人としては結構詳しい部類だと思います。
▼分子モデル
> じゃ、山中先生のiPS細胞の作製が凄いと感じるのはどこなの?
生物の発生における進化の時間を逆転してみせた点です!
私は生命体の発達は、一方通行の不可逆な反応だと思い込んでいましたから。
> iPS細胞は、「細胞を初期化する技術」だと云われる点ですね。
そう、一旦分化して発達している細胞を、遺伝子工学の技術などを利用して、
初期状態の細胞に戻してしまうらしい!
マクロな生物系で、そんな物理化学的な変化が可能だとは想いませんでした。
しかし、これが実現した事で、技術的な可能性が飛躍的に拓かれた事は、良く
理解できます。今後の応用が楽しみだし、新しいイノベーションとして、産業
の発展にも大いに期待されている由縁ですよね!
> ちなみに、今年のノーベル物理学賞は、フランスのアロシュ博士と米国のワ
> インランド博士の2人に贈られるらしいです…。
こちらも、魂げましたよね!
量子コンピュータに関する話題は少し聞いた事があったのですが、単なる夢物
語かなと疑っていましたから…。
そもそもDNAの様な分子化合物を利用した、バイオ・コンピュータすら未だに
実用化されていませんからね。
> バイオ・コンピュータって、結局人間自身がそうなのではないですか?
まぁ、そうですけど、自然ではなく、人工的に作り出す技術の実用化です…。
> デジタル情報を記録する媒体としては、量子レベルが極小ですよね。
> これを単体で取り出して、オン/オフの操作ができれば、超スーパーコンピ
> ュータができますね!
スピン量子の特性についてはね、アインシュタインの相対性理論との矛盾が指
摘された、有名なEPRパラドックスと云うのがあるんですよ。
これは、量子の局所実在性を否定するものと考えられているので、まさか単体
で取り出すことが可能だとは、想像もしませんでした!
> 現実世界の可能性は、本当に奥深いですねぇ…。
> 何か将来は不老不死の薬や、テレパシーの様な通信手段までも、実現される
> 様な気がしてきましたよ…。
科学技術の進歩と発展は人類の永遠のテーマですからね、でも真に問題なのは、
倫理や価値観と云った、主観的な形而上の制約条件とどう折り合うかですよね。
民主的な意思決定や組織の在り方も課題の一つだと感じます。
折角の原子力発電技術が存在していても、それが非倫理的と断定されてしまっ
ては活用できない訳ですから。
> う~ん、そう言えば山中教授が米国留学から帰国した時には、日本での研究
> 環境が劣悪で、一時期うつ状態にもなったみたいですね…。
> 結局、今回のノーベル賞受賞までには国の研究支援も不可欠だった、教授は
> 「日本という国が受賞した賞」と謙遜していますが、大部分本音でしょうね。
> 研究開発の促進には、経済的に必要な先行投資の問題もありますからねぇ。
そもそも現在の日本は、いくら金融緩和して資金をジャブジャブにしても、民
間部門がリスクをとって資金を投資に振り向けない限り、資金は国債に化けて
滞留が続くのです。これでは、いつまでもデフレ脱却はできません。
結局、政府部門が思い切った財政支出を発動しない限り、日本国内の優秀な人
材の多くは失業したままなのです!
これでは、新しいイノベーションも生まれる訳が無い。
> つまり、政府頼みの経済循環構造が続く訳ですよね…。
> なぜ、民間部門でリスクを取れないのでしょうかね?
> 投資減税などで、民間活力を引き出す手段はありそうですが?
仮に借手が居ても、保証人制度等々、日本の金融機関自体が臆病ですからね。
結局、不動産などの資産を担保に取らないと、事業融資はしませんから。
> やはり、資産デフレが続く限り、新たな信用は創造されない仕組みですか。
> これでは、海外からの直接投資が無い限り、国内で流通する資金は増えない
> し、デフレ環境が益々悪化するばかりなのですね!
結局は、地価や株価など担保資産の価格が上昇を始めるまでは、政府が主体で
ガンガン積極的な財政出動をしないと、国内資金は増えないし、回転しません。
> 民主党政権の「事業仕分け」は、国民受けするパフォーマンスがしたい為に、
> 実施タイミングを失敗していた訳ですね!
> 国内に流通する資金の量を減らしただけですからね、財政支出削減で。
> 政治家自身、日本経済の仕組みを理解していない訳ですかね、そうなると…。
政治家だけでなく、官僚も経済学者も評論家もマスコミも世論も、日本全体が
ミクロな経済現象ばかりに拘って、日本経済および世界経済の循環構造と云う
マクロ経済の視点を見誤っているのだと感じます。
今、日本経済の再生に必要なものは、イノベーションへの積極投資と雇用創出、
そして雇用を海外に逃がさないための円高対策、産業空洞化対策に在るのです。
円高を利用して、金融機関が海外投資を増やす事は良いですが、それだけでは
国内雇用は生まれませんから、デフレ脱却には直接効果しません。
ミクロな経済対策で、混乱ばかりしているのが現状ですよね。
今本当に必要なのは、海外投資ではなく、国内雇用を生む国内投資なのです!
事業主体は政府でも民間でもどちらでも良いので、この理屈を、国民皆がしっ
かりと理解して対策するべきだと思います。
また政府は、方向付けをするべきです。