ブロブロガー@くつログ

Proと呼ばれたい...そして日々悪戦苦闘する
Brofessional な職業人の安息の日誌

◇祝山中教授ノーベル賞受賞!~今こそ日本の研究開発体制を問う

2012-10-11 | 科学技術

> 日本全体が山中教授のノーベル生理学・医学賞受賞に沸き返っていたのに、
> 随分とまた呑気な記事ですね、Bro?


実はね、山中先生iPS細胞の作製でノーベル賞候補になっている事は知って
いたのですが、ネットでその解説記事を読むまで、それほど画期的な業績とは
気付かなかったのですよ…。


> 何と情けない、これから再生医療への道が大きく拓かれたのですよ!
> 自分の体の複製が人工的に作られるなんて、凄い事じゃないですか!


その点はね、1953年にワトソンとクリックがDNAの二重らせん構造を発見
て以来、私が社会人になった1980年代中頃までには遺伝子工学の技術が長足の
進歩を遂げていましたからね、当然予想できた事なのです。
当時からクローン生物の話題などが賑やかでしたから。


> Broは、遺伝子工学も詳しいの?


私が社会人になって、最初に配属されたのは、ドラック・デザインシステム
研究開発チームでしたからね。
医薬品などの新薬の特性をコンピュータ上でシミュレーションして、設計支援
を行うCADシステム
です。
製品化されたシステムは、当時、朝日新聞の一面トップを飾りました。

> へ~え、じゃ本当にこの分野の専門家なんだ!


我々はコンピュータの技術者ですから、専門の研究者達からヒアリングして、
システムの設計開発を担当するだけですのでね、本来の専門家ではないですけ
ど、それでも専門的な業務内容に対応して行くために、相応な勉強を強いられ
ましたから、素人としては結構詳しい部類だと思います。


▼分子モデル



> じゃ、山中先生のiPS細胞の作製が凄いと感じるのはどこなの?


生物の発生における進化の時間を逆転してみせた点です!
私は生命体の発達は、一方通行の不可逆な反応だと思い込んでいましたから。


> iPS細胞は、「細胞を初期化する技術」だと云われる点ですね。

そう、一旦分化して発達している細胞を、遺伝子工学の技術などを利用して、
初期状態の細胞に戻してしまう
らしい!
マクロな生物系で、そんな物理化学的な変化が可能だとは想いませんでした。
しかし、これが実現した事で、技術的な可能性が飛躍的に拓かれた事は、良く
理解できます。今後の応用が楽しみだし、新しいイノベーションとして、産業
の発展にも大いに期待されている
由縁ですよね!


> ちなみに、今年のノーベル物理学賞は、フランスのアロシュ博士と米国のワ
> インランド博士の2人に贈られるらしいです…。


こちらも、魂げましたよね!
量子コンピュータに関する話題は少し聞いた事があったのですが、単なる夢物
語かなと疑っていましたから…。
そもそもDNAの様な分子化合物を利用した、バイオ・コンピュータすら未だに
実用化されていませんからね。

> バイオ・コンピュータって、結局人間自身がそうなのではないですか?

まぁ、そうですけど、自然ではなく、人工的に作り出す技術の実用化です…。

> デジタル情報を記録する媒体としては、量子レベルが極小ですよね。
> これを単体で取り出して、オン/オフの操作ができれば、超スーパーコンピ
> ュータができますね!


スピン量子の特性についてはね、アインシュタインの相対性理論との矛盾が指
摘された、有名なEPRパラドックスと云うのがあるんですよ。
これは、量子の局所実在性を否定するものと考えられているので、まさか単体
で取り出す
ことが可能だとは、想像もしませんでした!


> 現実世界の可能性は、本当に奥深いですねぇ…。
> 何か将来は不老不死の薬や、テレパシーの様な通信手段までも、実現される
> 様な気がしてきましたよ…。


科学技術の進歩と発展は人類の永遠のテーマですからね、でも真に問題なのは、
倫理や価値観と云った、主観的な形而上の制約条件とどう折り合うか
ですよね。
民主的な意思決定や組織の在り方も課題の一つだと感じます。
折角の原子力発電技術が存在していても、それが非倫理的と断定されてしまっ
ては活用できない
訳ですから。


> う~ん、そう言えば山中教授が米国留学から帰国した時には、日本での研究
> 環境が劣悪で、一時期うつ状態にもなったみたいですね…。
> 結局、今回のノーベル賞受賞までには国の研究支援も不可欠だった、教授は
> 「日本という国が受賞した賞」と謙遜していますが、大部分本音でしょうね。
> 研究開発の促進には、経済的に必要な先行投資の問題もありますからねぇ。

そもそも現在の日本は、いくら金融緩和して資金をジャブジャブにしても、民
間部門がリスクをとって資金を投資に振り向けない限り、資金は国債に化けて
滞留が続くのです。これでは、いつまでもデフレ脱却はできません。
結局、政府部門が思い切った財政支出を発動しない限り、日本国内の優秀な人
材の多くは失業したままなのです!

これでは、新しいイノベーションも生まれる訳が無い。


> つまり、政府頼みの経済循環構造が続く訳ですよね…。
> なぜ、民間部門でリスクを取れないのでしょうかね?
> 投資減税などで、民間活力を引き出す手段はありそうですが?

仮に借手が居ても、保証人制度等々、日本の金融機関自体が臆病ですからね。
結局、不動産などの資産を担保に取らないと、事業融資はしませんから。

> やはり、資産デフレが続く限り、新たな信用は創造されない仕組みですか。
> これでは、海外からの直接投資が無い限り、国内で流通する資金は増えない
> し、デフレ環境が益々悪化するばかりなのですね!


結局は、地価や株価など担保資産の価格が上昇を始めるまでは、政府が主体で
ガンガン積極的な財政出動をしないと、国内資金は増えないし、回転しません。



> 民主党政権の「事業仕分け」は、国民受けするパフォーマンスがしたい為に、
> 実施タイミングを失敗していた訳ですね!
> 国内に流通する資金の量を減らしただけですからね、財政支出削減で。
> 政治家自身、日本経済の仕組みを理解していない訳ですかね、そうなると…。


政治家だけでなく、官僚も経済学者も評論家もマスコミも世論も、日本全体が
ミクロな経済現象ばかりに拘って、日本経済および世界経済の循環構造と云う
マクロ経済の視点を見誤っている
のだと感じます。
今、日本経済の再生に必要なものは、イノベーションへの積極投資と雇用創出、
そして雇用を海外に逃がさないための円高対策、産業空洞化対策に在るのです。

円高を利用して、金融機関が海外投資を増やす事は良いですが、それだけでは
国内雇用は生まれませんから、デフレ脱却には直接効果しません。
ミクロな経済対策で、混乱ばかりしているのが現状ですよね。
今本当に必要なのは、海外投資ではなく、国内雇用を生む国内投資なのです!
事業主体は政府でも民間でもどちらでも良いので、この理屈を、国民皆がしっ
かりと理解して対策するべきだと思います。
また政府は、方向付けをするべきです。



◇世界で初めて核分裂を発見した女性。。。栄光なき天才たち(外伝)

2008-08-09 | 科学技術
> 今日は,「マンハッタン計画」についてではなかったんですか...?


その前に少し原子爆弾の原理的なお話をしておかないと,「特殊相対論」から,いきなり原爆で
は,何も理解した事にならない気がして...

> 私的には,現在の仕事柄,「マンハッタン計画」について詳しく知りたいんですけどね...

まあまあ,そう焦らないで...例によって,YouTubeで面白い動画を見つけたんですよ。。。

 ⇒「核分裂を発見した人類最初の女性

> へ~え...これが原爆の原理なんだ。。。女性が発見したんですねぇ。。。

一般的には,リーゼの共同研究者であるオットー・ハーンが発見者になっていますけどね...
ノーベル賞も彼が受賞しているし。。。

> ええっ? リーゼ・マイトナー女史は受賞できなかったのですか...?


残念ながらね...実験室で実際に観察したのはハーン博士ですし...

> でも,この映画では,オットー・ハーンは目前で生じている現象を理解できていなかった...?

だから,彼女こそ「栄光なき天才」の名に相応しいと思うんですよ。。。
昔,好きだったんです,この連載マンガ。。。


> う~ん...ウランに中性子を照射してやると核分裂が起きる訳ですか...
> そして,この時一部の質量が失われて,E=mc^2 分のエネルギーに変換される。。。


もう理解できましたね。。。意外と単純でしょ,理解できてみると。。。
しかし,原理的には単純でも,実際にそのエネルギーを利用可能な程度までコントロールするには,
まだ技術的な課題が多く残されていました...

> そこで「マンハッタン計画」の登場ですか。。。どんな課題があったんです?


これも,YouTubeで解説してもらいましょう。
次はこいつを見て下さい。

 ⇒「Nuclear Fission Animated

> なるほど! 核分裂が次々に自己連鎖を起こして,巨大なエネルギーに成長するんだ!

これを「核連鎖反応」と云って,その発生確率は次の式で表現されます。。。

   

> ???...

この式で,k の値を実効中性子増倍率(effective neutron multiplication factor) と呼ぶらしい
のですが,核分裂の連鎖反応は,k = 1(臨界量)のときに最も安定して連鎖するらしい...

そして,爆発です...


 ⇒「fission reaction atomic bomb

> ...すごい...原爆の巨大なエネルギーは,単に光速度の自乗が非常に大きな値である事
> だけではなく,この自己連鎖反応に由来するものだったんですね。。。納得しました。


では最後に,人類最初の水爆実験の映像を見て,本日の講義を終わりましょう。

 ⇒「Nuclear Bomb - First H Bomb test

。。。お疲れ様でした。


> つ,疲れました。。。!



◇63年目の原爆記念日に哀悼の意をこめて。。。アインシュタイン博士と原子爆弾

2008-08-06 | 科学技術
> 広島に原爆が投下されて,もう63年目なのですねぇ...


ええ...アメリカのB29 エノラ・ゲイ号が広島上空で投下した時刻は,午前8時15分17秒と記
録されています。。。

> ちょうど朝の出勤・通学時刻であった事も,被害者を拡大した要因と云われていますよね。。。

私たちの少年時代には,毎年8月6日前後になるとテレビや新聞などのメディアが一斉に特集を
やったりなどしていましたので,かなり詳しく知っているのですが,近頃はめっきり少なくなった気
がします...

> そんな事ないと思うのですが...
> しかし日本人の貴重な記憶を風化させてしまってはいけませんよね...
> 犠牲者の魂がうかばれません...

史上初の原子爆弾が作られ,使われた経緯を忘れない意味で,今日は「原爆の父」とされる
事のあるアルベルト・アインシュタイン博士の「特殊相対性理論」の話をします。。。


> Bro は以前,「歴史認識における相対性理論」の話を半ば冗談半分にしてましたよね...

。。。本人は結構,真面目に語っていたのですが,あまり話が飛躍すると,読者に頭を疑われて
しまいますからねぇ。。。詳しい説明は,それだけで本一冊分は必要だし...

> 半ば真面目に語っていた訳だ...でも,Bro は物理学の専門家ではないでしょう?

私がアインシュタイン博士の著書「我が相対性理論」の和訳本を本屋さんで立ち読みしていて
衝動買いしてしまったのは,まだ中学三年生の時でした...

> へ~え...結構頭良かったんだ...


学校の成績は「並」でしたけどね...
それに「我が相対性理論」は一般読者向けに平易に書かれた本でしたから...
自分にも解るかもしれないと思えたので,思わず買ってしまったんです。

> ...理解できたんですか?

繰り返し,繰り返し読みましたからね...
それに「特殊相対性理論」自体はそれほど難解ではないですよ。
数学的にも「ローレンツ変換」程度について行ければ理解できます。

> ...なるほど...でも一般的には「難解」と言われてますよね?

それはおそらく,それまでの物理の一般常識を覆した部分があったからでしょう。
革新的であった部分の本質は,「人間の認識の方法と限界」についての哲学的な考察です。
物理的な対象を観測しようとしている観測者の「立ち位置」が,絶対的な静止座標上に在る
のではなく,観測者自体が運動している座標系の上に乗っているので,対象と観測者の双方
の相対的な運動の結果しか人間には観測する事ができません。。。
そして,さらに大多数の観測行為は,「光」を捉える事で観測を行う...
我々も花火大会などでは,花火の光とドーンという爆発音とがズレる現象は日常的に経験し
ていますよね。。。

> う~ん...しかし,それらの純粋な物理理論から,どうやって原子爆弾が作れるのだろう?


だから一般に誤解があると思うのですが,アインシュタイン博士の理論が直ちに原子爆弾の製造
に繋がる訳ではない...
特殊相対性理論の理論的帰結として,「質量とエネルギーの等価原理 E=mc^2 」と云う式が
導出されます。
そして,この式が「原子核分裂→質量崩壊」の際に生ずる莫大なエネルギーの量を正確に計算
可能である事を示していたにすぎません。。。
もっとも「質量とエネルギーの等価原理」を知って,ごく少量の物質から莫大なエネルギーを取り
出す技術的な可能性を予見させたとは云えるのかもしれませんが。。。


> じゃ,アインシュタイン博士と原子爆弾製造とはまったく無関係??

問題はそこですが,アインシュタイン博士が後日後悔したのは,相対性理論を創った事ではなく
ルーズベルト大統領への原子爆弾製造計画の嘆願書にサインした事でした...

> ...サインしただけ?...

そう,しかしアインシュタイン博士のサインこそが,ルーズベルト大統領を動かす鍵になる事は,博
士に要請したレオ・シラードの説明から自覚していた事と思います。。。
実際,博士は2週間悩んだすえに,署名に応じたらしい。。。
そしてナチス陥落の2ヶ月前,2人は再び大統領への嘆願書を作成しています。
それは,原爆の日本投下を阻止しようと大統領に働きかけるものでした。
しかし,この手紙を読まないまま,ルーズベルト大統領は死亡しました。

> 戦後,彼らが大統領への手紙にサインする様子を再現した写真が撮影されていますね...
> この時には,もう博士に後悔の念は無かったのでしょうか?

戦後,日本の雑誌編集者からアインシュタイン博士に送られた非難の手紙への返信で,博士
はこのように書いています。
「原爆が,人類にとって恐るべき結果をもたらすことを,私は知っていました。 しかし,ドイツでも
原爆開発に成功するかも知れないという可能性が,私にサインさせたのです。」
そしてアインシュタイン博士は,戦争が許される条件を次のように示しています。
「私に敵があって,その敵の無条件の目的が,私と私の家族を殺すことである場合です。」


> 日本人は,アインシュタイン博士の来日の折,熱烈な歓迎こそすれ,決して殺そうなどとは
> 考えていませんでしたけどね...むしろナチスのユダヤ人迫害に批判的だった人が多い...

結局,アインシュタイン博士は原爆製造の父ではあっても,原爆使用については反対者でした。

> ありがとう。。。今度は原爆を開発した「マンハッタン計画」とトルーマン大統領の決断について
> 考えてみたいです。。。



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