2009年における電車内での強制わいせつの認知件数は340件です。
迷惑防止条例違反のうち、痴漢行為の検挙数は3880件。
しかし、被害にあった人のうち警察に被害届を出したのは1割程度だそうです。
このお話も、そんな痴漢被害に苦しむ高校生とそのお母さんのお話です。
高校に入学してから頻繁に被害にあっていた女子高生。
多くの人と同様に泣き寝入りすることも多かったそうです。
しかし、それではいけないと立ち上がりました。
そして、画期的なアイディアを思い付いたのです。
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痴漢の被害は深刻
都内に住んでいる殿岡万里さんには、高校2年生の娘さんであるたか子さん(@tar_JK)がいましたが、
たか子さんは常習的な痴漢の被害者の一人だったのです。
たか子さんは登下校の際、ラッシュ時の満員電車に乗らなければいけませんでした。
そして2014年に高校に入学してからというもの、頻繁に痴漢にあっていました。
卑劣な痴漢が狙うのは、地味で目立つようなタイプではない子です。 たか子さんもどちらかというと大人しそうなタイプでだそうです。
たか子さんもただ痴漢にあっているだけではなく、色々対策を考えました。
立つ位置や通学時間を変えてみたり、防犯ブザーを持ってみたり、男子生徒と帰ってみたり、
あの手この手を尽くしてみましたが結局狙われてしまいました。
そして声を上げることもできず、泣いて帰ってくることも多かったそうです。
そうして1年が過ぎても、有効な解決方法は見つかっていませんでした。
しかしたか子さんもそのころには、
「やめてください!」と声を上げることが出来るようになっていたといいます。
それでも相手に無視されてしまったり、
中には逆ギレされてしまったりして助けてもらえないことも多かったそうです。
そんな中、昨年のはじめに勇気を振り絞って、たか子さんが初めて痴漢を捕まえて警察に被害届を出しました。
痴漢対策カード
この出来事をきっかけに、たか子さんはお母様の万里さんと共に痴漢にあわない方法を考えるようになりました。
たか子さんの思いは犯罪者を捕まえたいわけではありません。
ただ自分の身を守りたいだけでした。
そんな中で一番良い案に思えたのが、「痴漢は犯罪」と周りに向けて伝えることだったのです。
そこで2015年4月に痴漢防止カードが生まれました。
これは「痴漢は犯罪です。私は泣き寝入りしません」と書かれたものでした。
これをちょうど肩の後ろに来るようにして、鞄の取っ手に付けて通学してみました。
このカードは手作りでしたが、嘘のように痴漢がなくなったのです。
これなら勇気を振り絞って声を上げる必要もありません。
痴漢を無くしたこのカードはその後、缶バッジに改良されました。
そして名前も「痴漢撲滅バッジ」ではなく「痴漢防止バッジ」になりました。
これは被害者だけでなく、加害者も出したくないという思いからだったといいます。
海外でも話題に!
殿岡さん親子のこのアイディアは、SNSで大きな反響を呼びました。
そして、「Stop痴漢バッジ プロジェクト」が発足する事となったのです。
その中でバッジの新たなデザインを募集したり、配布イベントなども行われました。
この取り組みは様々なメディアに掲載され、支援する人の数も多くなってきました。
こうして様々な協力のもと作られた新たなバッジは、女性がすんなりつけられるデザインになりました。
つけるだけで痴漢から身を守れるこの痴漢防止バッジは、こちらのサイトから購入できるようになっています。
現在は被害にあっている女性が中心につけるようになっていますが、
将来的にはプロジェクトをサポートする人が誰でも付けることが出来るデザインになれば良いですね。
このプロジェクトは身に着ける人たちが孤立しないようにすることが肝心です。
痴漢の被害者の1割程度しか被害届を出していないのが、今の日本の現状です。
痴漢は被害者の「はずかしい」「騒ぎを起こしたくない」といった気持ちを利用した非常に卑劣な犯罪です。
それを犯罪が起こる前に防止しよう、というアイディアはとっても画期的です。
プロジェクトの公式ページ、Facebookページ、Twitterなどでフォローすることができます。
またバッジを考えた、たか子さんが運営しているTwitterアカウントもあるので是非ご覧になってみてください。