180323 仮想通貨は何者? <仮想通貨 流出ネム全額を交換か 資金洗浄が完了?>などを読んで
今朝の国際ニュースでNY株式市場が3%近い大幅下落と報じていましたので、これは東証も相当影響あるなと思っていましたら、案の定1000円近い急激な下落でした。それに円高ドル安の進行が進んでいますね。トランプ政権の世界経済無視の独壇場ぶりが影響したのでしょうか、あるいはこれからの株価や為替動向こそ、経済実態に合ったものになるのでしょうか、外野の席でのんびり観戦しようかと思っています。
他方で、毎日が継続して記事にしている仮想通貨の問題、今朝は小さく扱っていましたが、その不完全さを感じさせるというか、とても将来的に適正な取引を生み出すような仕組みになっていないことを感じます。
毎日朝刊記事<仮想通貨流出ネム全額を交換か 資金洗浄が完了?>では<仮想通貨交換業者コインチェックから約580億円分の仮想通貨「NEM(ネム)」が流出した事件で、犯人側が流出ネムの全額を他の仮想通貨に交換した疑いがあることが22日、インターネット上の取引記録などから分かった。>
それは結局<情報セキュリティーの専門家は、犯人側のマネーロンダリング(資金洗浄)が完了したとみている。>ということになりそうです。
追跡すべき責任ある団体というべき<国際団体「ネム財団」は20日、流出ネムの追跡を停止したと発表した。>というのですから、犯人側の勝ちなんでしょうね。いや、仮想通貨の本質的機能といわれる誰でも取引を監視できるということ自体、砂上の楼閣と非難されても仕方がないかもしれません。
それ以上に、国際社会がさまざまな違法取引を取り締まろうと、マネーロンダリングの監視を強化している中、この新鮮で創造的ともいえる仮想通貨は、今のところ、国際秩序を犯す道具になり得ることを示したことになりますね。
なぜ仮想通貨が標榜していた鉄壁?の監視機能が破られたかについて、毎日記事は先月の記事<クローズアップ2018仮想通貨流出 闇ウェブ取引、追跡難航 転売が活発化>で、その構造的欠陥を指摘していました。それがすべてかどうかもわかりませんね。
ともかく記事によると<犯人側は流出ネムの一部を匿名性の高い「ダーク(闇)ウェブ」と呼ばれるサイトで転売する動きを活発化させ、ネムの追跡は困難になりつつある。>
ダークウェブサイトというのがあるのですね。それはある意味、表の取引があれば、裏の取引が成立するのは人間社会の自然の成り行きでしょうか。それはネット自体がすでにブラックボックスが巨大化しているように思えますから、当然でしょうか。
本来、仮想通貨に目印がつけられ、追尾可能というのが前提でした。
<ネムを扱う国際組織「ネム財団」やネット上の有志は、犯人のものとみられる流出先の口座を特定し、移動が確認されれば取引記録に「盗まれたネム」であることを表す目印を付けて監視している。>
しかし、この目印自体が、人間が関与する以上、隙間というか穴というか、抜け道が成立するのですね。
<専門家の分析によると、移動したネムに目印を付けるまでには平均3分かかる。一方、取引記録が承認され、所有権が移るまでの時間は1分程度に過ぎない。15秒程度の仮想通貨もある。>取引成立のスピードと、目印付けのスピードに大きなタイムラグがあるのですから、これだけとってみても、追尾可能とか、すべて監視できるとか、そんな前提はおかしいですね。
その結果というか、犯人側が小口化して大量に、頻繁に取引を繰り返せば、追尾不能になるのはわかります。
<多くが小口取引や頻繁に売買されたネムとみられ、その動きを完全に捕捉できていない。最終的に善意の第三者に渡った場合、「取引後に流出ネムと判断されても、回収することは法的にも難しい」(交換業関係者)との見方もある。>
そのほか、メッセージを添付できることを悪用して値引き販売して、多くの購入者を誘引することができたとも考えられているようです。
<犯人は、送金時にメッセージを添えられるネムの機能を悪用。不特定多数の口座に匿名性の高い「闇ウェブ」での取引を持ちかけ、「15%オフ」などと割安での交換を申し出ていた。>
闇ウェブの世界では目印自体が機能しないともいわれているそうで、それはそうでしょうと納得してしまいます。
<サイバーセキュリティー専門家の杉浦隆幸氏は「闇ウェブでの取引は誰が売買したのか特定しづらいため、目印の抑止効果は期待できない」と語る。>
それでも対策はあるようですが、これは私の理解が及びません。
<流出ネムの交換・換金を止める方策について、杉浦氏は「プログラムを書き換えることで流出ネムを『隔離』し、交換を止める方法があるはず」と指摘。「換金が始まった以上、踏み込んだ対策が必要」と語る。>
流出ネムの隔離とか、交換ストップとか、そういうことが果たして可能か、その手法はどういうことなのか、わかりませんが、他方で、なぜネム団体なりが可能な手段を講じなかったかの説明責任が問われる可能性はあるでしょう。
コインチェックはすでに補償を開始していますが、それが完全に履行されるのか、その額が適正なものか、やはり損害賠償責任を負わないといけないかは、すでに訴訟提起した方がいるようですので、その行方をみたいと思います。
ところで、仮想通貨はいったい何でしょうか、それが今日の本題です。たしかに通貨は為替変動があり、また送金手数料も高いなど、問題も少なくないですが、ほんとに代替するような新(真の)通貨になりうるかというと、心許ないですね。
キャッシュレスの取引がわが国ではまだまだの感がありますが、わたしなんかはできるだけ現金を持ち歩きたくない生き方をしたい一人ですので、なんとかならんかと思っています。コンビニなどいくつかの類型の店舗でさまざまなカードが利用できるようになり、少し便利になりましたね。でも利用できる範囲がきわめて限られていますね。仮想通貨の一部も利用できる店舗があるそうですが、現在の投機的取引が行われている現状や今回のコインチェックのような安全確保が担保されていない状況では、そのような現金代替機能を持たせることにはまだまだ道通しというところでしょうか。
<社説を読み解く仮想通貨「NEM」流出問題 問われる「通貨とは何か」>でも、<毎日は2月25日の社説で「本質論抜きの規制は誤る」との見出しで、なぜ未熟な業者が業界の主力にまでのし上がったかという背景と、仮想通貨そのものの議論が必要だと主張した。
「通貨とは何か」まで踏み込んで議論しなければ問題の本質は見えない、と考えたのである。>という指摘は正鵠を射ていると思うのです。
本質的な議論なく、仮想通貨を野放しにした政府の姿勢が問題ではないかとも指摘しています。
<社説では規制が不十分だった背景として、政府が市場育成を急いでいた事情を挙げた。各国は現在、フィンテックと呼ばれる金融技術などをさかんに導入しているが、日本はキャッシュレス化や電子商取引で立ち遅れているためだ。>
これは本末転倒の対応であったと非難されても仕方がないと思うのです。それはいま日本経済全体にかかっている黒い霧のように思うのは私一人ではないと思うのです。
不正というキーワードがここ数年、話題にならなかったことがないほど、どの業界でも指摘されています。商工中金の不正はいったい全体なんでしょう。鉄鋼メーカー、自動車メーカーなどの検査不正も、企業全体の体質が染まっているとしかいいようがないですね。東芝をはじめ一流企業といわれたところの不正がはびこっているのですから、驚くほかありません。
アベノミクスは、日本経済を成長させようと、数字を追ってきました。なにか数字だけ一人歩きしてきたように思ってしまいます。そこに人がいて、その人の健康、肉体的にも精神的にも健康であったか、将来もありうるかは、どうも軽視あるいは無視されてきたように思うのです。
官僚の不正は森友・加計問題だけではないですね。忖度なることばが誰もが上を見るようにしか考えなくなってしまったかのような錯覚に陥るほど、いくつもの事件で露見してきました。
今回の貧弱な安全対策しか講じられていない仮想通貨を急激に普及させた一因は、このようなアベノミクスを信奉する、あるいはそれにおべっかする、そういう体質が、政治・官僚・企業に充満していないか不安になります。
<G20共同声明 反保護主義進展なし 仮想通貨規制は一致>ではようやく国際的な協調のもと、仮想通貨に対して共通規制体制を議論する一歩を踏み出した様子が報じられています。
そして共同声明では
<G20では、仮想通貨が初めて議題となった。国家が流通させる通常の通貨とは、制度や使われ方が大きく異なるため、共同声明で「通貨の主要な特性を欠いている」と明確に区別し、暗号技術が使われる一種の資産とみなし「暗号資産」と位置づけた。
暗号資産は匿名性が高いためマネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金集めに使われる恐れがあると提起。悪用防止の規制整備を急ぐほか、消費者保護をめぐる規制も対応を進める。また、金融機関などでも使用が広がれば、価格急落が金融危機につながる恐れもある。国際的にリスクの監視を行い、将来的に特別な規制が必要かどうかも検討する方針で一致した。>とのことです。
本日はこれにておしまい。また明日。
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