たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

地震国日本 <地震調査委 四国M6.8確率 断層リスク、他と変わらず>などを読んで

2017-12-20 | 災害と事前・事後

171220 地震国日本 <地震調査委 四国M6.8確率 断層リスク、他と変わらず>などを読んで

 

関東で住んでいた頃、地震の脅威を日常的に感じていました。地震の揺れは頻繁だったと思います。さほど大きいわけではないのですが、それでも家財が揺れたりするだけで気持ちのいいものではなかったですね。とくに鎌倉に居住を構えたとき、関東大震災で多くの被害を受けたことを知り、余計不安になりましたが、それは関東一円ですから、どこに住んでも多かれ少なかれ地震被害のおそれはありますね。

 

カナダに滞在しているとき、ほとんどその地震の揺れを経験しませんでした。それだけで気持ちの余裕ができた思いがありました。それはもしかして縄文以来の日本人が常に意識してきたことで、DNAとしてきっちりと継承されているのかもしれないなんて思ったりします。

 

で、当地にやってきた後、わずかな揺れはなんどか経験しましたが、関東で経験するようなものと違い、不安を感じるものではありませんでした。高さ10m弱の古民家でリフォームの家に住んでいましたが、それでも全体が一瞬揺れてもしっかりしていました。建築士が古民家再生のプロで、耐震補強をしっかりやったためでしょうか。また、地震の規模が関東に比べ小さいからでしょうか。それにしても当地では不安を感じることはありませんでした。

 

ただ、いつも気になるのが、中央構造線が走っている点です。大きな断層が日本列島を横断しているわけですから、一体全体、形成過程も含め、どれだけの地震規模になるのか潜在的な不安はありました。

 

活火山をもじっていえば、休止断層なんでしょうか。表現はともかく、そのような評価をされているのを聞いた記憶があり、それでつい安心して、南海トラフ大地震や大津波は襲ってきて大災害を招く危険性は高いけど、和歌山の東北隅にあるこの地は安全地帯なんて勝手に思っている節がありました。

 

そんなとき昨日の毎日夕刊では<地震調査委四国M6.8以上9~15% 中央構造線・長尾断層帯、今後30年で>と<地震調査委四国M6.8確率 断層リスク、他と変わらず 別タイプも要警戒>という2つの記事がでました。前者は飯田和樹記者、後者は池田知広記者によるもので。

 

前者では<政府の地震調査委員会は19日、四国地方の活断層を対象にした地震の長期評価を公表した。対象とした5断層のうち、マグニチュード(M)6・8以上の地震を起こす可能性がある活断層は「中央構造線断層帯」と「長尾断層帯」の二つとし、30年以内に四国地方のどこかで同規模の直下型地震が発生する確率を「地域評価」した結果、9~15%と算定した。>と数値を上げています。

 

これが低い確率と考えるかどうかは、素人ではわかりかねますが、<昨年4月の熊本地震(M7・3)を引き起こした布田川(ふたがわ)断層帯で大きな地震が起きる確率は、ほぼ0~0・9%とされていた。>というのですから、まだまだこの確率を低いとか高いと安直に判断できませんね。

 

さて、問題の中央構造線については、<四国を東西に貫く中央構造線断層帯は6区間に分けていたが、活動周期の違いなどから10区間に再分割。区間別で発生確率が最も高いのは、ほぼ0~11%とした愛媛県の「石鎚山脈北縁西部区間」(M7・5程度)。四国電力伊方原発に近い同県の「伊予灘区間」(M8・0程度かそれ以上)はほぼ0%と評価した。同区間は徳島県と愛媛県にまたがる「讃岐山脈南縁西部区間」(発生確率ほぼ0~0・4%)と共に、地震の規模を最大としている。

 また今回、中央構造線断層帯に大分県の「別府-万年山(はねやま)断層帯」の東側を組み入れ、長さを約360キロから約444キロに延ばした。>

 

その危険性については気になる意見が委員長から発表されています。<平田直(なおし)委員長は「中央構造線断層帯は、全国の主要活断層114の中では地震発生確率が高い。震源が浅い地震が近くで起きれば甚大な被害が出る」と話した。>

 

とはいえ、この断層帯も詳細な区間に細分化してそれぞれ評価した結果だと、ま、私が居住している当地(五条谷区間に相当)では不明ということで、確率が低い位置付けでしょうか。それで安心してはいけませんが。

 

これは地図付きでしたが、ウェブ情報にはありませんでしたので、<地震本部地震調査研究推進本部の昨日発表したウェブサイトを見ると<四国地域の活断層の地域評価>に、詳細な報告と地図も掲載されていましたので、関心のある方は参照してください。報告書のダウンロードもできます。

 

後者の記事では、<調査委がこれまでに公表した中国地方(50%)や九州地方(30~42%)と比べて低い数値だ。ただ、これは大きな地震を起こす恐れのある活断層の数が中国や九州より少ないためで、各断層のリスクが他地域より低いわけではない。>とやはりこの数値だけで、リスクを過小評価しないことが指摘されています。

 

そして<これまで伊予灘が西端とされていた中央構造線断層帯は、連動する可能性のある範囲が西へ大きく延び、一部が九州地方にかかることになった。10区間に分けて算出した地震発生確率は区間ごとにばらつきがあるが、熊本地震のように隣り合う断層が連動する可能性もあり、確率が低い区間でも注意が必要だ。 >と近隣地域との連動、拡大化についても注意を呼びかけています。

 

なによりも心配なのは伊方原発への影響ですが、この点は<四国電力伊方原発(愛媛県)は、同断層帯が480キロにわたって同時に活動する巨大地震を想定して設計している。>ということで、先の広島高裁決定でも、この報告は判断基礎になっていないと思いますが、地震による影響は規制委の判断を認めていることから、今後の裁判所の判断に影響する可能性は低いでしょうね。やはり火山噴火・火砕流の影響の方が重視されるでしょう。

 

今日は、この<中央構造線断層帯(金剛山地東縁-由布院)の長期評価(第二版)>の報告書をいつか検討する機会があればと思って、取り上げました。内容的には結果だけのように見えますが、どのような判断資料と判断過程でそうなったのか、考える資料にはなるかもしれないと、とりあえずブログに取り上げました。

 

 


欺す欺される <ある詐欺事件の事実関係を調べながら防御策を考えてみる>

2017-12-19 | 消費者問題

171219 欺す欺される <ある詐欺事件の事実関係を調べながら防御策を考えてみる>

 

以前少しこのブログか、fbで触れた記憶がありますが、私自身、四半世紀前くらいまで割と詐欺事件を取り扱っていました。なぜ欺すか、またなぜ欺されるかを被告人との面会(接見)を通じて聞き取りを行っていました。記憶も薄らいでいますが、欺す人間の中には強い自負とそれを事実と自分自身を洗脳する(みせかけかもしれませんが)ことに長けているように思いました。そうでないと簡単に欺せません。

 

さて、あるキャッシュカード詐欺事件で使われた騙しのテクニックというか、そういうものを踏まえて、どう防御するかを少し考えてみたいと思います。

 

この騙しの構造は、ある名簿を使って電話を片っ端からかけ、かけられた相手の中で信用した人からキャッシュカードやクレジットカードを受け取り、それを使ってATCで現金を引き出したり、クレジットカードで買い物をするものです。

 

その騙しの手口はいろいろあるでしょうが、たとえば電話をかける、かけ子役は、よく知られた公的団体や金融庁などの名前を使って、本人のカードが不正に使われたので、本人がもっているすべてカードが今後使われるおそれがあるため、それらを協会の職員に預けて新規発行手続きをする必要があるので、職員に預けて欲しいと連絡し、その際、すべてのカードの暗証番号も聞き出したうえ、本人の自宅付近に待機させている別の受け子に連絡して本人からカードを受け取らせ、そのカードを使ってすぐに現金化するといった方法です。

 

この場合、大抵の人は、上記の電話内容で、不正使用されたら、そのカードの使用を停止する連絡をすれば十分であり、なぜ預ける必要があるかと疑問に思うでしょうから、そうすればかけ子は引き下がるでしょう。そもそもそのような不正使用があったとカード発行の金融機関でさえ連絡することは考えにくいですし、まして公的団体や行政機関自ら電話してくることも疑問に感じるでしょうから、それでそれ以上会話がすすまないのが普通でしょう。

 

おそらく欺される人は、著名な団体や行政庁の名前を信頼するのかもしれません。それと不正に使用されたという不安状態が助けを求める思いに駆り立てられるのかもしれません。

 

しかし、こういったことも、その団体の連絡先を確認するだけで、かけ子はひるむでしょう。不正使用されたという被害感情が先に立つと、それが事実かどうかの確認すらできないある種精神のフリーズ状態になるのかもしれませんが、そういうときこそ、相手の言葉の確認をする余裕が必要でしょう。自分のカードが不正に使われたといっても、カードは自分の手元にあるわけですから、一体どんなカードとか、いつどこでといった確認作業を一つ一つ抑えていけば、相手は適当な嘘をつくばかりで、それ以上は進まないと思われます。

 

むろん、怪しいと思えば電話を切るのが一番です。なにかと突っ込むと、用意周到なマニュアルでそれなりの回答を用意している可能性もあり、引きずり込まれるおそれもありますね。

 

カードの暗証番号を求めることは取引先の金融機関でもないことを知っていれば、こういった重要情報を開示することはないでしょうけど、不安な状態を利用する救済型の詐欺の場合、不安状況を一刻でも早く逃れたい気持ちになり、そういった疑念も浮かばないのかもしれません。

 

さらに電話が終わった後、すぐに取引先の金融機関にこのことを連絡すれば、カードを引き渡すこともないのでしょうけど、それだけの気持ちの余裕もなくなっているのでしょうね。詐欺グループも間髪を入れず、カードを受け取りに来る受け子役を事前配置していますので、油断なりません。

 

それでも受け子は、著名団体の職員を名乗る分けですから、顔を隠したり、適当な服装ができませんし、身分も明らかにしないといけません。それらをしっかり確認できれば、すぐに身元がいい加減であることがわかるはずなのですが、見せかけの身分証でころりと欺されてしまうのでしょう。

 

カードを受け取れば、どこにでもATMがあるので、すぐに現金化されますね。カードを渡してすぐにおかしいと思って金融機関等に電話しても、最近は直ちに取引停止措置がとられるようですが、それでも詐欺グループも必死ですから時間の勝負となるでしょう。

 

こういった詐欺グループはあの手この手と、次々と詐欺手法を手を変え品を変えて繰り出しますから、相手にしない方法が最も有効でしょうね。

 

それは物理的な対策です。電話機を発信番号が表示されるものにして、知らない電話番号からかかってきたら、受話器を取らないのが一番でしょう。あるいは留守電にしていて、相手の対応を見て、この種の詐欺では伝言を残しませんから、その電話番号の場合は出ないことでしょう。

 

また、最近は捜査が及ばないように、外国にかけ子を住まわせ、そこから電話をかけさせるようですから、海外からの発信とわかれば(それがわからない人が欺されやすいかもしれません)受話器を取らないのが一番でしょう。いや、家族には外国暮らしをしているのがいると言われると、困りますが、そうであれば、とりわけその番号は特定され、それ以外は受話器を取る必要がないわけですね。

 

電話を取って、話を聞くことが一番、危険一杯の誘惑でしょうね。そういうと、一人暮らしで心細い生活をしているとか、家族がいても日中はいなくて淋しいと思っている人には、折角かかってきた電話を無視できないと言われそうですが、それはクールに考えて欲しいと思うのです。

 

彼らの言葉はきっと耳にやさしく、心にも響く、信頼できる話しだと思います。一度電話で話すと、詐欺師たちは簡単には獲物を逃しません。彼ら自身が洗脳されているのです。

 

でもお金がなければ安心です。ある事件では銀行残高を聞き、わずかな金額だったので、カードをだまし取ることは断念したという話しもありました。それはそうでしょうね。

 

彼らも欺される人の何倍何千倍?の人に電話して、やっと一人の獲物をみつけるのでしょうから、ま、ジャングルのハンターのように獲物も逃げ足が速いわけで失敗がほとんどでしょう。コストのかかる犯罪ですし、競争も激しいようですから、獲物がそれ相当のお金を残していないのなら、危ない橋は渡りません。

 

普段あまり考えていないことをつい今日の話題にしました。それなりの話題もあったのですが、頭の整理がつかず、簡潔に終わるテーマで今日はおしまいとします。また明日。


「出て行け」と佐藤首相 <BS1スペシャル「沖縄と核」>見て

2017-12-19 | 安全保障

171219 「出て行け」と佐藤首相 <BS1スペシャル「沖縄と核」>見て

 

録画していた上記のNHKスペシャルを昨夜見ました。私にとってこの50年代~60年代の沖縄はほとんど記憶にありませんでした。おそらく遠い存在だったと思います。いや、多くの日本人もそうだったかもしれません。マスコミも大戦末期の沖縄の悲劇などを取り上げることもなく、世の中は全体として経済成長に向かっていたのかもしれません。

 

私が最初に沖縄を意識したのは70年代初頭でした。安保反対運動という大衆活動にも距離を置き、大学の授業になにか物足りなさを感じ、一時的にマルクス・エンゲルスの書籍を読みふけりながら、それも遠のき、バイト生活をしていたころです。そのバイト仲間にNくんという一つ下の沖縄からやってきた同世代の青年がいました。

 

とてもおとなしくて誠実で、少し引っ込み思案で、本土復帰前の沖縄を、沖縄人を体全体で感じさせてくれました。明らかににそれまであった東京人はもちろん、各地からやってきたさまざまな日本人とは違っていました。彼の性格・態度の純粋さみたいなものになんとなく気があったのでしょうか。ただ、あまりに従順な態度に若かったせいか偉そうな態度も取ったかもしれません。

 

その彼が別人に変わるときがありました。歌舞伎町に誘われ、当時はやっていた(といっても私は無関心だったのですが)ゴーゴーダンスの場を訪れたときです。彼は別人のように自由奔放に踊るのです。驚きました。全身のエネルギーを、普段無口の彼が発散させるのです。そこに生命の輝きを感じました。

 

彼は給与のほとんどを沖縄の実家に送って、自らはかつかつの生活をしていて、そのダンスくらいが唯一の楽しみだったようです。当時の沖縄人には彼のような生け方をしている人は少なくなかったのではないかと思うのです。

 

本土人のほとんどがそういう沖縄人へ、暗黙裏に差別的な対応をしていたように思えます。東京では、朝鮮人差別もかなり深刻だったと思います。そういう社会主義国との対立が、そして米軍占領下の沖縄の位置付けが、繁栄の中で静かに人の心に沈静していたかもしれません。

 

そして上記の録画した<核と沖縄>はその背景事情というか消滅の危機さえはらんでいた沖縄の状況について、米国で開示された資料や当時の海兵隊員からの聞き取りで、見事にえぐり出してくれています。

 

中ソとアメリカの対立は核競争を激化させ、占領終了後も日米間では安保協定の対象から沖縄を外しつつ、核の傘を実効あるものにするため、沖縄に核配備を認めさせていました。日本の非核原則の高尚な声明は本土だけに適用され、沖縄を切り捨てた結果なしえたものでした。

 

大戦中本土防衛のためとの名目で玉砕を強いられた沖縄、今度は核戦争への対応のため、沖縄全土にその基地を配備させられるという非条理が、行われたわけです。琉球国を併合した薩摩藩による統治以来、その自治が認めれなかった歴史は戦後も続いたわけですね。これを見ると、台湾、朝鮮半島統治など、日本の行ってきたことは欧米列強を排するという建前だけでは、地元民の理解を得られないことが示されているように思うのです。

 

そして私を含む日本人の多くはそれを「日本国」「日本人」のためという「大義」のために黙認し続けて、いまなお容認しているように思うのです。

 

さて元に戻って、この番組では、本土での核配備や訓練のための発射実験が反対運動のため、米施政権下にあり、憲法上の保障がなかった沖縄に移すことになった経緯とその実態を映像で示しています。

 

その中に、那覇に配備されたハーキュリーという核弾道ミサイルの操作ミスによる爆発が起こった事例も取り上げられていました。まかり間違えば那覇が全滅するところでした。

 

NHKはあえて指摘していませんでしたが、当時、海兵隊で核弾道訓練を担っていた海兵隊は、いずれも20歳前後がほとんどで、10代の若者も相当いい多様です。60年近く経ってもいまも80歳前後ですから、彼らが当時訓練を受けたと言え、初年生に等しいわけですね。

 

核爆弾自体、広島・長崎で初めて成功し、小型化は実験過程にあったと思います。そんな中、経験の乏しい若い世代をこの危険な作業を担わせる米軍の人事にも脆弱性を感じます。

 

そして誰もが60年代初頭のキューバ危機を世界最終戦と恐れた時のことが取り上げられています。キューバというカリブ海の出来事、対岸の火事程度にしか、それでも私なんかは思っていなかったですし、多くの日本人そうではなかったのでしょうか。

 

しかし、沖縄で核爆弾の司令室に勤務していた当時の海兵隊員の一人は、現在も不覚にも涙をこぼしながら、ほんとうに核爆弾の発射スイッチが押されると思ったようでした。そして沖縄は「消滅」すると。核抑止ではなく、相互の核兵器による相手方領土の殲滅が想定されていたのです。

 

この緊迫した状況は、現在の北朝鮮と日米韓との関係とは異なるわけですが、スイッチを押せば同様の惨事、いやその何倍にも及ぶ危険性のある大惨事になるおそれがあるわけですね。これがほんとに有効な核抑止力なのか、私には理解できていません。

 

抑止力という戦略は、軍拡競争を止めると言うより、止めどもなく拡大して、民需予算を振り替えて軍備費を拡大する傾向を一向に抑えられないでいるように思えます。

 

佐藤首相自ら何度も確約した「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」のいわゆる非核三原則の下で、わが国は沖縄返還協議で、密約を結んだ上、沖縄の核配備を解きました。しかし、本土の米軍基地を沖縄に集中させ、かつ、沖縄に核配備しないとの約束はなされませんでした。

 

米軍は、いまなお自国の領土以上に、米軍兵器を自由に動かしています。航空制限区域や港湾制限区域など、見えない立体的な米軍のバリアーが張り巡らせていて、沖縄人の自由は極めて制限されています。

 

沖縄返還交渉を成功させ、ノーベル平和賞を受賞した佐藤元首相は、ご満悦だったと思います。しかし、米軍による人権無視・米具基地の集中配置や核兵器の導入の危険性に対して、返還校長中の佐藤首相に、当時の琉球政府代表がその問題を陳情したら、鬼の形相に変わり、「出て行け」と繰り返したというのです。それが長年犠牲を強いて苦難のどん底にあった沖縄人に述べる言葉でしょうか。

 

たしかに沖縄返還を遂げた佐藤首相の苦労は大変だったと思います。しかし、明治時代はおいておいても、大戦での沖縄全土を犠牲にさせた本土の人間として、また、51年の独立時に沖縄を切り捨て占領を維持させたという、沖縄を犠牲にして独立を勝ち取った日本人として、彼らの痛みをしっかり受け止めることこそ、日本の宰相としてとるべき態度であったのではないでしょうか。

 

なにやら佐藤首相の一言に注目しましたが、そうではなく沖縄が長く抱えてきた問題、現在も抱えている問題に、少しでも注視していく必要を感じています。


高齢者雇用の未来 <はたらく 「シルバー人材」会員を派遣>などを読みながら

2017-12-18 | 健康に生きるとは

171218 高齢者雇用の未来 <はたらく 「シルバー人材」会員を派遣>などを読みながら

 

昨夜もAIなどの技術革新を受け、BS1で“SPORT INNOVATION”という興味がそそられる番組がありました。ラグビーはとても面白いのですが、実際のところ、醍醐味であるスクラムの妙味とか、ラインアウトなどTVを見ていてもよくわからず、ファールを含め試合の展開が大ざっぱにしか理解できない(ただ知らないだけの部分もありますが)で、フラストレーションが溜まることもあります。

 

昨夜の番組では、司会者のぱっくんも驚く立体的かつ、スクラムなど選手の脇で見ているような臨場感を味わえ、しかも各選手のある種骨格線も読み取れ、その改善策も検討できる画像技術が出現していました。ラインアウトの高度なテクニックも細切れにしたり、全方向から見ることができるため、その戦術の有効性も理解でき安くなっていました。

 

おそらくすでに陸上競技などで取り入れられている骨格線など別の分析画像なども使えば、さらによりビジュアルに問題点の把握と改善策が検討できるようになるのではと期待したところです。

 

このように日々放送される多方面でのAIを含む先端技術は、いつしか従前の労働スタイルを不要にしてしまうのではないかという議論・不安も一方で主張されます。

 

一面で正しいと思いますが、一面では妥当しないようにも思うのです。

 

ちょうど今朝の上記の見出しの毎日記事がありましたので、それを参考に考えてみたいと思います。

 

私はこれまで一度シルバーの方に草刈作業をお願いしたことがあります。体調不調で大鎌を振れないどころか、普通の鎌ですら持てなくなったときです。田舎では隣接農家の手前もあって草が繁茂したのを放置しておくことはなかなかできません。

 

4反くらいの畑の草刈を依頼したら、5,6人の人が来て2日くらいかけてきれいにしてくれました。刈払機を使ってやるのですが、シルバーさんなので、まじめにやってはいても、刈払機の歯は危ないですので、慎重に、時間をかけてやっていました。

 

私の場合は一人で全体で1町未満程度を草刈りしていましたが、毎日汗びっしょりで終わるとしばらく何もしたくない状態になるほど精魂尽き果てる状態でした。刈払機だとそこまでなることはないですが、あの騒音・振動と油臭さ、エネルギー消費などを理由に、大鎌が私には合っていました。

 

ともかくそれだけの体力が必要でしたので、体調不良のときはシルバーさんの助けはなによりでした。

 

で、田舎ではもっぱら草刈がシルバーさんの仕事かな、なんていい加減な感覚でいましたら、この記事ではいろいろあるのですね。

 

まず、その働き方も大きく変わりつつあるようです。西田真季子記者の取材です。

<働くことを通じたシニア世代の生きがい作りのために始まった「シルバー人材センター」が、「本格的な仕事を提供する場」へと変わりつつある。介護や保育など人手不足の分野を中心に、センターからの「派遣」として働く人が増えている。>というのです。

 

<シルバー人材センターからの派遣が増えたのは、2015年の労働者派遣法の規制緩和で、60歳以上は派遣期間の制限を受けないことになったからだ。センターは定年がないため、90歳を過ぎた会員もいるなど長く働ける。>

 

そもそもシルバー人材センターは、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に基づき、都道府県知事によって指定され、地域毎に1つずつ設置されている高年齢者の自主的な団体で、臨時的・短期的または軽易な業務を、請負・委任の形式で行う公益法人です。

 

業務内容は同法38条で大別して、①臨時的かつ短期的な就業の機会を確保し、及び組織的に提供すること、②臨時的かつ短期的な雇用による就業又はその他の軽易な業務に係る就業(雇用によるものに限る。)を希望する高年齢退職者のために、職業紹介事業を行うこと、③その講習を行うことです。①は雇用以外、②は雇用です。

 

上記の改正は②の職業紹介の分野が広がったと言うことです。

 

改正の成果はすでに実績として現れているようです。<12年に1万4753人だった派遣の就業者数(実人数)が16年には5万3410人まで増えた。派遣契約では、最低賃金や労働者としての権利が守られる。>

 

その業務範囲も多様のようです。<業務は多岐にわたる。スーパーやコンビニエンスストアでの品出し、レジ業務、清掃、総菜の調理補助など、地方や中小零細の人手が集まりづらい企業からの希望が多い。>そして<都市部では介護や保育業務のニーズがある。>

 

さて受け入れ側はどうでしょう。

<埼玉県北本市の特別養護老人ホームでは、市のセンターから20人が派遣されている。施設職員は「人手不足で、なかなか新人が来ないなか、シルバー会員がいてくれて助かる。年代も入所者に近く、話し相手になる」と歓迎する。>といいことずくめのようにも見えます。

 

保育現場でも期待されているようです。

 

このようにシルバーさんへの期待が高まる中、課題は人材不足と言うことのようです。それは私のようなシルバー事業に対する誤解も大きな要因と思われます。それは働く側、依頼する側いずれもでしょうね。

 

<仕事が拡大するシルバー人材センターだが、課題は人手不足だ。60歳以上人口が増加し続けているのに、会員数は09年をピークに減少傾向にある。定年年齢が上がり、企業で働き続ける人が増えているうえ、シニア世代が楽しめる余暇も増えた。一方で、少しでも稼ぎたい人にとっては、労働時間の制限がネックだ。会員不足で、仕事の依頼がセンターにあっても断るケースもあるという。

 センターでは、高齢者が集まる場で説明会を実施したり、登録までの手続きを早めたりするなど人材確保の努力をしており、成功事例を全国で共有している。福島部長は「草むしりなどがシルバーの仕事で、ホワイトカラー系の仕事はないという大いなる誤解がまだある」と語っている。>

 

では実際にどんな業務範囲があるのかについて、<全国シルバー人材センター事業協会の シルバー人材センターで行っている主な仕事>を見ますと、驚くほど多様です。地域によって異なりますから、どこのセンターでもできるわけではないので、そこは注意が必要でしょう。

 

技術分野

 家庭教師 学習教室の講師 パソコン指導 翻訳・通訳(英語) 翻訳・通訳(英語以外) 自動車の運転

技能分野

 庭木などの剪定  障子・ふすま・網戸の張替え 大工仕事 ペンキ塗り 衣類のリフォーム 刃物とぎ 門松・しめ縄づくり

事務分野

 一般事務 経理事務 調査・集計事務 筆耕・宛名書き パソコン入力

管理分野

 建物管理(ビル、アパート・マンション管理など) 施設管理(スポーツ、遊戯施設管理など) 駐車(輪)場の管理

折衝外交分野

 販売員・店番 配達・集配 集金 営業 電気、ガスなどの検針

一般作業分野

 除草・草刈り 屋外清掃 屋内清掃 包装・梱包(封入、袋詰めなど) 調理作業(皿洗い、配膳など) 農作業(種まき、水やり、収穫など) エアコン・換気扇の清掃 チラシ・ビラ配り 荷造・運搬

サービス分野

 家事サービス(掃除、洗濯、留守番など) 福祉サービス(身の回りの世話、話相手、介助など) 育児サービス(子守、送迎など)>

 

さてこの業務範囲も、一応のものと言って良いと思います。法律上の「臨時的かつ短期的な」業務であれば、さらに拡大しうると思います。それは高齢者(あ、私もそうですが)の気持ち次第ですね。私も弁護士業を辞めて、シルバーさんで使ってもらえるよう頑張ることも考える時期にいずれは来るのかもしれません。いや、使い物にならないとことわられるかもしれませんが。

 

私の場合はできれば、ターシャ・テューダーさんのような庭造りが終活かもしれません。無理かな。でも理想です。

 

今日はこの辺でおしまい。また明日。

 

 

 

 


心安まる・まちづくりとは <風知草 日中、四川省の場合=山田孝男>などを読みながら

2017-12-18 | 心のやすらぎ・豊かさ

171218 心安まる・まちづくりとは <風知草日中、四川省の場合=山田孝男>などを読みながら

 

歴史的遺産を公的に認定したり顕彰することはそれ自体、先祖が行ってきた郷土形成への意義を再評価し、その歴史的価値や人の努力を蘇らせるなど意義があることと思うのです。ただ、現代的な意義を考えれば、その遺産が単に登録されたり、顕彰されたりすることだけにとどまるのでは、その価値を本当に見いだすことにはならないように思うのです。

 

『論語』の温故知新という言葉が長く人の心に響いてきたのは、過去のそういった偉業の歴史的価値・思想的価値などから、新たな知見をくみ取り、現代に活かす

 

その中国といえば、一昔前の日本のように、この20年あまりはスクラップアンドビルドに邁進し、日本と違うのはある種強制的立ち退きという強権的手段で、伝統的なまちなみ景観をも破壊する暴挙も行われてきたように思われます。近代的なビル群、マンション群で外観的には美しいですが、そのために失ったものも大きいでしょう。

 

遺産となるべきものが、どこかに保存され、生活と切り離された途端、生活の歴史的系譜がある基盤を失い、より所への喪失感をずっと引きずるように思うのです。それがわが国の開発という名で、そこに住み続けてきた人にとっての歴史的価値・心の自然史的価値を失わせてきたように思うのです。

 

ところが、最近は新たな動きもあるようです。上記の山田氏のエッセイは、その一端を活写しています。

 

まず一般的な新しい流れを指摘しています。<日中関係は改善基調で推移しているようだが、環境デザイナー、石川幹子・中央大理工学部教授(69)の最近の経験も、新しい流れを感じさせる。>

 

<2008年、石川は、中国四川大地震の復興グランドデザイン国際コンペで入選したが、なぜか入選作がお蔵入りになった。

 ところが--

 最近、中国側から「あらためて説明を」と要請があり、石川は今月25日、訪中する。招聘(しょうへい)元によれば、今年3月、習近平国家主席が四川省農村保全を指示。7月、同省が石川案での復興を決めたという。>

 

四川大地震のときは、耐震構造が確保されていないと思われるビルが跡形もなく倒れ、多くの犠牲者を出したことが思い出されます。

 

で、コンペの対象となった都市、すごい歴史的遺産があるところだったのです。

<震災復興計画を国際公募したのは被災都市の一つ、都江堰(とこうえん)だった。省都・成都の西に位置する市で人口およそ60万人。

 チベットへ続く山々に発した岷江(みんこう)の急流が四川盆地へ注ぎ込む扇状地。紀元前3世紀に整備された堰(せき)(今も使われている治水・利水施設。世界遺産)が市の名前になっている。>

 

わが国の灌漑事業は、いつから本格的になったのか、江戸時代からなのかよくわかりませんが、中国は紀元前3世紀にすでに大河に大きな堰を設けているのですね。技術力・創造力が違いますね。

 

たしか以前、NHKで<都江堰>の灌漑事業については、放映されたことがあり、見た記憶があります。わが国では7世紀後半、斉明天皇が大きな石造りの運河的なものを作ったということが指摘されていたと思いますが、これは灌漑用水路ではないと私は思っています。その前後、わが国では、中国のような巨大な運河や灌漑用水路は、江戸時代まで生まれなかったのではないかと思っていますが、勉強不足ですので、教えていただければ幸です。

 

ここから石川氏の案が登場します。それは歴史的に形成されてきた土地利用を保全しつつ、現代的なまちづくりを行うもので、スクラップアンドビルドとは異なる内容です。

 

<同僚と都江堰の農村を調査した石川は、この地方独特の、「林盤(りんぱん)」と呼ばれる集落の形態保全--を構想の核に据えた。

 「林盤」は、扇状地の網の目状の水路の間に無数に散らばる。ひとかたまりの林ごとに伝統的な家屋と田畑、家畜が溶け合う共同体で、一つの「林盤」の人口は50人から100人。大地震で家屋は崩れたが、水路と林は無事だった。石川はそこに着目した。>

 

099月に石川案は報告書としてまとめられたのですが、そこから動きがとまり、新規開発の波が農村にも及んできた影響ではないかと言うのです。

 

ところが事態が再び動き出したというのです。

<再開発の波がとうとう農村へ迫ったこの秋、流れが変わった。習近平の中国は農村復興を国策の柱に据えている。習は10月、第19回中国共産党大会の活動報告で「農業・農村の優先的発展」「20年までに農村の貧困脱却」「環境、生態系の保全」を強調した。>

 

習近平氏は、経済成長一本槍だった中国を、パリ協定に合意したり、大気汚染対策に積極的に対応するなど、70年代日本政府のように大きく舵を切ったようにもみえますね。

 

さてこの石川氏のキャリアも興味深いです。

<石川は宮城県出身。東大農学部、米ハーバード大大学院で造園、環境デザインを学んだ。専業主婦だった42歳の時、東大に戻って博士号取得。工学院大、慶応大、東大大学院の教授を務め、13年、中央大へ。

 この間、東日本大震災や熊本地震の復興支援に関わる一方、独創的な環境デザインで内外の設計コンペを連覇している。>

 

専業主婦の力、侮るべきではない見本でしょうか。専業主婦が十分に力を発揮できるように環境整備すれば、彼女たちは専業の終身雇用男性以上に創造的な仕事をする可能性を秘めているように思うのです。

 

その石川氏の言葉が光ります。

<「それぞれの場所に歴史があり、蓄積がある。土地そのものに答えが埋め込まれています。土地に刻まれた歴史、人の思いを読み込む努力ですね。長い歴史から見れば、私たちの存在はほんの一瞬です。その瞬間に何をなすべきか、過去を見て未来を思えば自然に決まる。無理はしません」>

 

「土地に刻まれた歴史、人の思いを読み込む努力」とはいい言葉ですね。林盤という生活拠点を活かすことで、そこに住んできた人はその存在価値を古代からの歴史的系譜を改めて感じながら、存在意義を見いだし、それだからこそ、心も安らぐのではないかと思うのです。

 

この言葉から、ついあの映画「柳川堀割物語」を思い出しました。監督高畑勲氏は、土着の精神、その堀割の成り立ちや機能を見事に活写しつつ、その再生にかけて一市役所の職員の殻を抜け出した広松伝氏に光を当てたといえるでしょう。東京弁護士会時代、たしか30年くらい前、この映画を上映しました。古い東弁会館に200人以上が詰めかけ、皆さん感動を分け合った思い出があります。

 

そのような感動を、中国の中で、1000年を超える歴史遺産を活かすまちづくりを通して、きっと中国人と分かち合えることを期待したいです。

 

歴史遺産はただ、見て鑑賞するだけではその真価を見いだすことができないでしょう。現代に活かす価値を見いだしてこそ、意味があると思うのです。

 

石川氏の成功を祈りたいと思います。