白いミニチュア・シュナウザー ちぃ君 ( CALL ME JOE ) と共に

白いミニチュア・シュナウザーちぃ君のパパとママが綴るちぃ君の日記

ミニチュア・シュナウザーのお手入れについての私見

2011年06月28日 | お手入れ


ミニチュア・シュナウザーのお手入れはスタンダード( 標準 )に忠実にするのであれば
とても手が掛かり大変な作業になると思います。
しかし、一定の規則に添って淡々とこなしていくとうい点からすればそれほど難しくはないのかもしれません。
ただし、皮膚の管理や被毛の管理などパーフェクトを望む様なショードッグを作り上げる観点からは
長年の経験と知識を有する方でも常にその難しさを痛感されておられるようです。
それは、どの仔も同じ特徴を持つ子ばかりではないという事です。
被毛の特徴、骨格の特徴、体質的な特徴その他性格的な特徴等 ・・・ その組み合わせは様々 ・・・



  




一般的なお手入れ方法としてクリッパーでのお手入れが飼い主さん自らがしてあげられる方法です。
しかし、このクリッパーでのお手入れも最初の頃はタイガーカット( トラ刈り )に悩まされ
サジを投げてしまった方もおられると思います。
斯く言う私も一時期その様な頃がございました。
本を見ても、ブリーダーさんから懇切丁寧な御説明を受けても実際にクリッパーを掛けてみると
なかなか思うようにいきません。
ちぃ君 & もっ君 も我が家に来た当初はトリマーさんにお願いする事が殆んどでしたが
やはり自らの手でお手入れを完結させたいという想いが増し現在にいたっております。
正式にトリミングスクールに通って ・・・ と言うお手入れではないので試行錯誤の連続です。
クリッパーには並刈りと逆刈りがあります。
並刈りとは被毛の毛先方向に添ってクリッパーで刈って行く事を言います。
逆刈りは反対に被毛の付け根に向かう様な感じで被毛を起こしながら刈って行く事を言います。
クリッパーの替刃のサイズに2mmとか5mmと言った呼び寸法があります。
これは被毛を刈って行った時の仕上がりの長さの事ですが、この寸法は逆刈りをした時の寸法です。
並刈りの場合、この寸法よりもかなり長くなります。 
逆刈りは人のヘアースタイルで言うところの丸坊主、裾刈り、あるいは部分的な
刈り上げの個所に相当します。
単調で一定の長さの被毛は清潔感を与える印象です。
それに比べ並刈りは、少し長めの仕上がりになり被毛の流れを見て楽しめる仕上がりになります。
手触りは、短く均一の長さの逆刈りは短い起毛の絨毯を触っている様な感じがし
並刈りは毛並みに添ってスムースな肌触りが特徴です。
本来これらを組み合わせてシュナウザーのクリッピングは仕上げられます。
一定の長さを持たせてスムースな被毛の流れを見せる部分は並刈りで。
前首・顎下・お腹・お尻周りの一部などは部分的に逆刈りで刈り込みます。
しかし、どうしても初心の方はタイガーカットの嫌な経験から全てを逆刈りで仕上げてしまう
傾向になりがちです。 
最初の頃はそれで充分です。
とにかくクリッパーになれる事が大切です。
そして、時々並刈りに挑戦してみて下さい。
スリッカーブラシで被毛を起こしながら、片手で皮膚にテンションを掛けて刈り込んでみましょう。
慌てず、皮膚を傷付ける事のない様そっと被毛の表面を撫でる様に掛けてみましょう。
皮膚をこすってしまうとザックリ ・・・ ってなことになってしまいますよ。
私もちぃ君 の前胸と、もっ君 の肘と肩の中間あたりの旋毛の様な個所でやってしまった
経験があります。
この時は、被毛を起こしても起こしてもタイガーカットが修正できずにいたところザックリ ・・・ 
こういう時、あまり細かな不具合に目を奪われる事無く全体を眺めてシルエットの確認をする事が
ベターだと思います。
多少のタイガーカットは、一週間もすれば目立たなくなりますし、次回の宿題とした方が
無理をした事の代償に比べれば遥かに彼らにとって安全です。
白いミニチュア・シュナウザーの場合、被毛は毛根まで白色ですのでコートの表面をかなり落としても
目立ちませんが ・・・
S&Pの場合一本の被毛でも毛根部と毛先部その中間では色が違います。
また、生えている場所によって毛根から毛先まで微妙に色が違っていて同じ調子ではありません。
その為クリッパーの掛け方次第では被毛の色調に濃かったり薄かったりスポットが入ってしまった様に
見えてしまいますのであまり長めに被毛の長さを設定するとまだらに見えてしまう事があるかもしれません。
ここは、何回も経験を重ねてその仔の被毛の色調の特徴を掴んでおかれる事が
美しく仕上げる為に必要かと思います。
デザインカットの場合はここまでこだわる必要はないと思います。
あくまでもスタンダードスタイルに仕上げる場合の目安として参考にして下さい。
ブラックやB&Sに関して黒い被毛の部分は毛根から毛先まで黒い被毛の様ですのでその様な心配は
少ないと思われます。
ところがブラックの仔に関してはクリッパーによるお手入れが長期間続くと特にボディー部分で
被毛の軟毛化によるものと思われる退色が顕著に見られるようになりますので仔犬の頃からストリッピングをされるかしないか
その選択を迫られるかもしれません。
しかし、私の経験上、成犬になってからのストリッピングを始める事は、お勧めできません。
それは、その個体ごとに多少の差異はありますが、肉体的にも精神的にも
負担になる事は間違いないものと思うからです。 
仔犬の頃から少しづつ準備を始めないまま、いきなりのストリッピングでは
あまりにもリスクが大き過ぎると思います。 
ミニチュアシュナウザーの美しいコートは、ストリッピングによって手に入れる事が出来ると言えます。
風合いといい、艶といい ・・・ 
しかし、クリッピングでもクリッピングでしか表現できない良さが風合いがあります。
どちらを好まれるかはその方の主観的なスタンスがどこにあるのかで左右されますので
私としての判断は避けたいと思います。 
ただ、ご自分でなさるお手入れとして手軽にできるという意味からは、
理想的なお手入れ方法だと思っております。




 



ストリッピングは、被毛を抜く事によってその皮膚の修復力・修正力を利用し
より太く艶やかな被毛を得る事になります。
ただし、ストリッピング後の皮膚の管理を怠ると大変な事になりかねませんので注意が必要です。
被毛は毛根から抜き去ってしまう為皮膚が傷ついている状態になっています。
最近等による感染症には十分な注意が必要です。
炎症防止殺菌クリーム等を塗布し皮膚の炎症を抑え細菌感染の防止に努めます。
その後ある程度被毛が伸びてきた頃デュファーを行います。
これは被毛の生える速さの違いを調整する為の作業です。
オーバーコートは、アンダーコートに比べ毛根から抜きさってしまっている為
再生されて生えてくるのに時間が掛かります。
それに比べアンダーコートは毛根を残したまま千切れてしまう事が多く
オーバーコートよりも先に頭を出してきます。
そこでコートの生え方に差が出てくるためアンダーコートを落として
オバーコートの発育を優先させる作業をします。
ストリッピング後被毛が1センチ強程度に伸びた頃を見計らって被毛の状態を見と見ます。
長い被毛の下にごく短い硬い被毛が頭をだ始めていたらその短い被毛を残して
長い被毛を抜いて行きます。
この作業をする事によってオーバーコートが太く艶やかな被毛として
ボディーの外側を覆ってくれる事になるのです。
この作業をデュファーといいます。
こうして素敵な艶やかなオーバーコートが得られるわけですがストリッピング、
デュファーと各過程は一月ほどかかります。
おおむねここまで二ヶ月ほどの時間をかけてやっと素敵なコートを手に入れる準備が出来たわけです。
この後は、各身体の部位によってバランスの取れたシルエットが得られるように
アンダーコートを落としたり残したりして調整します。
また、部分的に長いところは、或いは長くしたくないところは
再び長い被毛から順に抜いて調整していきます。
この時は当初の頃の様に一度にたくさんの被毛を抜く事はないと思います。
最後に四肢や顔周り、お腹やストリッピングを施さない部位をクリッパーやシザーで仕上げて
完成となるわけです。
しかし、ここまでの苦労も賞味期限は短くトップコンディションは1カ月あるかどうかという事になるでしょう。
そこで登場するのが被毛の調整目的の為の間引き抜きです。
スタンダードスタイルの被毛の長さには規定がありますのでその規定値を超えるものや超えてしまいそうな
長さの被毛を順次抜いて行きます。
それは気の遠くなるような作業になると思います。
この時注意しなくてはならない事は先ほども記しましたがS&Pの場合です。
無造作に抜いてしまうと一本の被毛でも生えている場所によって毛根から毛先まで微妙な色が
混じり合の違いの為ずれが生じてしまいます。
その結果コートの色調が不自然になってしまう事です。
これは、経験と見極めのセンスが必要な作業となりますが ・・・
ショードッグを作り上げるわけではないのでここでは深堀は良しといたしましょう。
被毛のトップコンディションを長く維持する為に行われるこの様な作業の事を
いわゆるローリングというそうです。
しかし、この方法はあくまでも被毛のコンディションをほんの数カ月先延ばしにするだけの方法で
トップコンディションの維持にはなかなかなりません。
時間の経過と共に数段落ちたコートの状態を維持するのが精いっぱいだと思われます。
瓜生真砂巳氏の著書 『 ザ・ミニチュア・シュナウザー 』によれば
  年間を通してショー・チャレンジするスペシャルな犬、
  また非常にコートの質が良い犬、それを両方兼ね備えた場合に
  ローリングする事によって、常に下がらない短いコートを生やし、
  それを繰り返す事によってショーのコンディションを保つという方法があります。
ローリングとは、あくまでもストリッピングによって得られた美しいオーバーコートを
通年してショーコンディションに維持していく為の手段に他なりません。
また通年してこのような調整に応えられるだけの毛質毛量の特長を兼ね備えた個体は
ほぼ皆無に等しいそうです。 
数千頭あるいは数万頭に数頭の割合でしか存在しない様です。
プロといわれる方々の間でもこの事は常識視されているようです。
ローリングとはツーサイクル以上の期間、短めの被毛がトップコンディションをほぼ維持出来る手法を言い
これはかなり非現実的な理想論的手法ではないかと思われます。
この事からも、ローリングとはあくまでも調整の意味合いの強い間引き抜きの事であり
ストリッピングの延長上にある一理論的な実態感の薄い一連の作業に他ならないと言えるでしょう。 
ローリングという言葉がまるでシュナウザーのお手入れの革命的な手法として軽々しく持て囃さる事は 
それに応えられうる優秀な特長を持った個体の出現が日常的に見られるまで封印される事を願います。
美しく艶やかなトップコンディションのベストコートはストリッピングによって得る事ができ
その賞味期限がとても短いのが現実なのです。
年に二回、時間も惜しまず可愛い我が子を美しく仕上げる為に
指先が痛くなるのを耐えながら愛犬 ( 可愛い子供たち ) と共に励まれておられる方々
お手入れの良いお手本として頭が下がる思いでいっぱいです。 
いつか私も素敵なS&Pとの懐かしい暮らしが再現できる事を ・・・
ハイ !


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