建設現場の卵

建設現場からのエッセイ。「建設現場の子守唄」「建設現場の風来坊」に続く《建設現場の玉手箱》現場マンへ応援歌。

NHKラジオ出演(2)

2009-03-07 18:33:49 | Weblog
…………………(NHKラジオ出演 2)…………

では99年7月23日(金)の放送を再現してみましょう。
     
☆湾岸道路では事故のため3キロの渋滞です。日本道路交通センターの…… ☆
 時報とともに軽快なテーマ音楽が流れてきた。

二見:9時になりました《ラジオいきいき倶楽部》9時台は暮らしセンスアップ、今日は職人が消える欠陥住宅は増える、まあ確かにそうかもしれないけれど一体どういう理由でそうなるのかと言うことでですね。
 今日は一級建築士の福本悟美さんにお越しいただいております、後ほどじっくりお話を伺います。どうぞよろしくお願いします。
私:どうぞよろしく。
二見:福本さんはこのお仕事に入られてもう何年くらいになりますか?
私:そうですね。大学出た時から建築屋さん一本で来たからかれこれ30年近くなりますね。現場所長としては平成になってから。
二見:ほう、この現場の所長さんと言うのは相当激務?
私:そうですね、外から見ると監督さんという気楽に見えるのですけれども、実際はもうバタバタしてるというか、もう安全から職人さんの仕事の状況をね、出来上がり具合、それから施主(オーナー)さんとの関係、それから設計事務所の監督さんとの打ち合わせ、いろいろすることがたくさんあって、ほっとする時というのは雨降りの仕事の無い時ですね。
二見:やはりそうですか?
私:雨が降ってくるとデスクワークが溜まっているから、それを処理したり。
二見:デスクワークもあるンですよねえ。
私:雨がふると工程もズレるし工程の仕切り直し職人への連絡、と休む暇もないですね

二見:つまり最初にここで創るぞと言ってから出来上がりましたと言うまで、大体どのくらいかかるのですか?
私:ちょっとしたものでも、私の経験では一つの物を創るのに一年間、大型現場で3年、超大型現場で10年と言うのもありますが、私は一つの現場で正月を3回迎えたのが一番長い現場ですけども。
二見:最盛期には工事現場で働いている方はどのくらいいらっしゃるのですか?一番多い時って何人くらい?
私:私の一番多かったのは1日1200人。
二見:延べでなくて1日に1200人?
私:はい、日曜日に300人になって、今日は少ないな?という日もありましたよ。
二見:うわー。この方たちが鉄筋を組む・・・そのやって来る職人さん達はそれぞれ別の会社ということになるンですね?
私:孫請下請けいっぱい来ますから、全員の顔を覚えることはできませんよね、誰がどこで仕事をしているのかも所長としては見られないですね。
二見:でも所長さんとしてはその一人一人に対して責任があるのでしょ?
私:当然あります。その中の一人が怪我をしても所長の責任になりますから、労災事故を考えて安全にさせねばならない、仕事はさせねばならないし、お金の管理、つまり儲けねばならない。
二見:あっそうか。
私:その辺が出てくるともう居ても立ってもいられなく、現場の中を朝から晩まで、どうしてこのような事をしなくてはならないのかと思う事はあります。
 また、コーヒーを飲んでいて手を抜く訳ではないけれども気楽に《任すわ》と言う感じでいても、現場は終わるのですよね、日本人はケツ合わせがうまいというか、あなた任せ職人さん任せでも出来るのですよね、
二見:でも出来る事は出来るのですよね。その後の責任は持て無い、形だけは出来る。《現場所長さんというのはどっかでお茶を飲んでいても、現場の事務所で胃をキリキリさせて休みのない一年を過ごしてもいいんですね》
私:でも建物は残るのですよ。

二見:今、建物は残るとおっしゃいましたが、残るものを創るのですね?
私:そうです。世界に一個しかないものを創るンですけれども、模型飛行機と同じでね、同じ材料同じ設計図で作っても、よく飛ぶ飛行機と飛ばない飛行機が出来ますよね。
二見:経験ありますよ、セット買って来て作ったこともありますよ。
私:同じ材料で作ったのに飛ぶ・飛ばないがあるように、建築の世界で何百人の人が延べ何万人の人が働いても全てがプロとは言い難い・・・それを全部監督してることになっているのだけれども、そこまで目が行き届くと立派な建物が出来るのだけれども、マンションとか一般住宅で現場監督さんがいないという現場も多いのですよ。

二見:そんなこんなを福本さんは本にまとめられて《建設現場の子守唄》《建設現場の風来坊》の二冊自費出版なされて…
私:建設という難しい本じゃなくて、現場のシナリオ・現場の楽しいところを知らせたかったのですよ。塀の中ではこういう話があるンだよ 裏話じゃなくてね、楽しいところだよと…

(やっと本の話題が来た、NHKで自己宣伝していいのかしら、でもやめないよ)

私:世の中建築工事というと、すぐ欠陥工事手抜き工事と悪い方ばかり先走りしているけれども、職人さんを見る目がね、もっと温かい目で見て欲しいよという事を何とか皆さんに伝えたかったと思って書いたのですよ。
二見:私も一気に読んじゃいましたが、専門的な本じゃなくて…。
私:難しい事じゃなくて、若者が現場で悩んでいること、管理する方もされる方も含めて、本来これが建築の姿ではないのかと。
 私の偏見かも知れないけれど本音を書いてね、教科書ではないのですよ、現場の応援、あくまでも建築業界への後ろからの応援です。この本を読んだら絶対に夢が湧くという話です。


(途中省略)
私:現場所長には全ての実権があると思ったら全然ないのです。
 責任はあるけれど権限が無いのです。建物を創る上で現場所長には権限が無いからタイルの色・塗装の色の一つ決める事も出来ず、全て設計者とお金を出すオーナーの方々にお伺いを立てねばならないのです。

「やってられっか!」と何度言おうとした事か…。

                           《続く》
コメント
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