「躯体工事は順調ですか?」
との問い合わせに、雨で遅れたとか型枠大工さんが不足で…といった言い訳を
していませんか?
大工さんが百人いれば一日で出来るものでもありません。
型枠工事をスピードアップさせるには、出来上がりの形がこのようになるの
だという図面、つまり施工図(躯体図)を職人さんにいかに詳細まで早く正確
に伝えるかにかかっています。
施工図の段階で図示できないから現場で寸法実測により決定する……では、
型枠工事は材料準備の一つさえできません。
仮にその場所を組立て始めてから泥縄式に作るとしても、指揮は誰が執るの
か、承認は得られるのか、再施工にならない保証はどこにもないのです。
型枠大工さんは1日に10㎡も組立てられないのに
「さてどうするか?」
と現場で腕を組んで考えるだけで、それが7㎡(3割減出来高)になれば、
工程も3割遅れることになるのです。
職人不足の時代、いくら職人の数をいくら増やしても思うほど工事が進まな
い第1の理由は、ここにある事に気がついて欲しいのです。
☆
型枠はコンクリートを打設すれば解体(脱型)するものです。
従って組立るときに解体手順まで考慮する必要があります。
更に解体した型枠は上の階へ転用してまた組立てるので、大切に取り扱わね
ばなりません。
1階で間違った打放し型枠を最上階まで転用し続け、サッシが取りつかなく
なった話も聞こえて来ます。
型枠管理をする原点は、型枠を工場で精度よく加工し、現場で加工する個所
を少なくする事です。
コンパネ(ベニア板)を現場で寸法に合わせて鋸で切っていては真っ直ぐに
切れないし、切断間違いもあり、ゴミも出ます。
階段の段数を間違えたことも経験されていますよね(笑)
プラモデルのように、現場では釘と金槌だけの作業にするというのは無理で
しょうが、枠になる板が直角に加工されていなければ精度管理はできません。
工程に追われていて、目前のコンクリート打設日に心がとらわれていても型
枠精度と検査を見逃す事は出は来ないのです。
…型枠検査時の実話を…。
コンクリート打設前、泥や鋸クズとか、結束線や落ちた釘等を水で洗い流し
ていた時のこと。
「洗った水とゴミはどこで処分するの?」と監理者。
「えっ?」(絶句の私)
水は隙間から流れ出るもののゴミはつまんで出さない事にはなくなりません。
「型枠壁と柱の中のゴミを出してください」
その一言の為で5m間隔に25㌢角の穴を型枠壁に空けた事がありました。
(当然復旧しましたけど)
鉄筋が組んであるのでゴミの取り出しは困難ですが、コンクリートにゴミを
混ぜる訳にはいかないのです。
型枠管理とはそこ迄、気配りが必要なものであることを認識してください。
(今号の一句) ゴミ一つ
取り出すことも 計画のうち
気配りが命の 打放し
《続く》…コメント待ってるからね~