建設現場の卵

建設現場からのエッセイ。「建設現場の子守唄」「建設現場の風来坊」に続く《建設現場の玉手箱》現場マンへ応援歌。

安全大会講演 (4)

2019-06-24 11:41:32 | 建設現場

安全大会講演(2)(3)からの続き。(4)のUPです。

……………(安全大会講演 4)…………(2009.12.01再up)

私ね、一日1000人以上いる現場で、竣工前の3ヶ月を安全担当で配属された時
(そこは先月3度目の労災事故が発生があったから)に、

書類の監理で安全が守られる」
なんてコレッぽっちも思わなかったよ。

1000人が書いた書類を毎日チェックしていたら、机の前に座っているだけで
現場が安全状態なのか、危険なのか見て廻る時間がないよ。

書類を見るより現場の足場(工事含む)の中を歩く方が、よっぽど安全点検が出来る。

階段室を歩いてタバコの吸殻を拾い、ジュースの空き缶を処分する方が、
よっぽど現場が安全になるよ。

安全担当者が書類をチェックしている時間に、現場で転倒事故でも発生すれば
私の首も飛ぶ事になるのだが、1000人もいてね、

とにかく安全にさせよ、もう事故を起こさせるな!
と労務安全部長から厳命されても、安全監理が出来る筈はない。

だから私は書類から離れて安全監理をする事に決めたのだが、事故が起きれば
運命
だったと思う事にして、

「安全書類は増やさない、
だから事故を起すな!」
と協力業者の休憩室で職長に私の首を預けました。

「今日は何人連れて来たの?全員の名前言える?皆元気?」
この一言が殺伐とした現場の空気を変えて、書類上の安全から現実の作業
状況に気を配り、他の業種と連携プレイも高まって、事故もなく竣工させたよ。

後90日を残して事故を未然に防ごうとしたら、皆さんは必ず新しい書類を
作って、一日の作業を机上での監理に走ると思いませんか?

実際に自分の現場が後30日で述べ100万時間の無事故無災害記録が達成
されるとしたら、所長以下全員、安全に力が入り、安全の書類で固まるの
が見えるよね。

重大事故になる前のチョットした事故、脚立からの転倒、タバコの不始末、
電動工具の不良、横着作業による怪我等は書類で監理出来るものじゃ
ないから、書類を棚にでも上げて、現場を廻る時間を最大にしたら、
安全記録は簡単に達成すると、思えるでしょう。

書類が不要と言ってませんからね。
最低限の書類が完備されているから、安全が語れるのですよ。

現場の事故は書類が不備だから起きるとか、危険を見逃すからでもなくて
《安全でないから》事故になるのです。

事故を起してから対策を考えたって、怪我は治りません。
書類を整備するのは決まり事であり、現場は安心を確保して初めて安全監理
がスタートするのです。

会社からの安全書類が多いと思うならば、自分の現場専用の安全書類を
創れば良いのです。

会社の書類だから安全が守れるものでもないし、自分達で創った安全の
決め事の方が遥かに安全であるかも知れません。

ひとたび事故があれば、責任は総て現場監理者(個人)に来るのですよ。

工事が終わり労災保険の適用期限が終わっても、後遺症が残り
職場復帰出来なく
なった人の家族から、民事訴訟で安全監理者の
責任不備を追及される事も
ありますよ。

あんたのセイでこうなった!生活費が入らなくなった)
と数年後、所長(統括安全責任者)に損害補償を訴える人も出て来ています。

現場の中、仮囲いの中という限られた空間の中を安全な場所に監理出来ない
ないのではなくて、何を監理すべきかが分かっていないから事故になるのである。

安全監理の原点は現場のチームワークつまり、人間監理と言うか信頼関係
に基づく『安心』から生まれるものである。

安全監理の原点は現場のチームワークつまり、人間監理と言うか信頼関係
に基づく『安心』から生まれるものである。

 「基本は安心、基準は安全」

 これは私からの秘伝だよ。
     心が乱れていて、安全は有り得ない。

KY活動を声高々にして、危険な作業場所で作業させることを
知っていて安全監理、安全を監理しているという監理者では
無災害竣工はあり得ない。

安心・安全という仕事場ならば、笑顔と活気で明るい現場である。

誰の為の安全なのか、誰の為に安全監理をしているのか、
よく考えてください。

 安全大会でこそ、安全そのものを、振り返ってみましょう。

   ご安全に・・・

 

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安全大会講演(2)(3)

2019-06-13 09:12:05 | 建設現場

安全大会講演(1)からの続き。(2)(3)のUPです。

……………(安全講演 2)…………(2009.10.30再up)

  「会社の為にやっているのか、決まりだからやっているのか」
という所から、本音で話をしますよ。

 皆さん、安全の反対は・・・危険ですね。
 危ない作業を見た時に皆さん、何と言いますか?
 当然、
「止めろよ、危ないよ!」
 と作業中止の言葉をかけますね。

 では、安全な作業をしている場合は「止めろよ」とは言わず、
「頑張れよ・問題はない?」
 と良いコミュニケーションですよね。

 では、安全~危険へ移る途中の時はどう言いますか?

 皆さんがよく言う、
「気をつけろよ」
 の連発なンですよ、無責任じゃあないの?監督としてそれでイイの?

 危ないならば仕事を止めさせるのに、気をつけて作業させるから、事故が起きるんだよ、気をつけながら作業させて安全監理ですか?

「気をつけるように」
 とは言葉で言えば簡単だけれども、危ないエリアに職人さんを入れていて、ただ無事故を祈っているのが現場じゃあないの?

 こんな虫のイイ話を今まで、神様が聞いてくれましたか?

 安全と危険の中間で作業をさせるのは、それはもう安全ではないンだよ。

 信号で言えば安全は青
 危険は赤。
 注意進行は黄色

 信号でも判断に迷う《黄色で突っ込む》から交差点で事故になるのと、現場で気をつけながら作業させて、事故が起きるのと何ら違いはない。

 黄色なら交差点の手前で停止すれば事故がない、この簡単な事を、現場で何故出来ないの?応用出来ないモノじゃあないでしょ。

 現場監理をする人は、現場は安全か危険かでなく、
「安全か、安全でないか」
 で安全を判断するのが私の安全監理なのです。難しくはないンです。

危険という文字を使うのは、もう安全から飛び越えてしまっているのです。

 危険を防止するために細かな決まりがあるけれども、そのような決まりや、法令をここで教育する気は私にはありません。

 安全を確保したいのならば、安全の範疇に居ればいいだけの事で、
 「安全か、安全でないか」
 をモノサシにしたらどうですか?


 災害事例とか危険予知からの安全教育という方法もありますね。

「高所作業とは地上から何㍍以上をいうのですか?」
と安全教育で習っても、現場では無災害竣工の決め手にはならないのです。

 ハッキリ言って、今までの安全大会での講師の話が、役に立ちましたか? 
 去年来られた講師の話を、覚えていますか、実践していますか?

確かに机の上で安全と、労基署から注意を受けないための安全規則を学ぶのなら、ゼネコンの労務安全部長さんを講師に呼んで勉強してください。

 安全値を頭に詰め込み、学問的に優等生らしい監督になれるでしょう。

 私は、現場で事故を起こさせない監理の本音を話すから、どの会場で話をしても、若手は真剣に聞いてくれていて、安全になると確信して話をしてますよ。
 
     《安全講演3へ 続く》

 *****************  ***************

…………………………(安全講演 3)…………(2009.11.13 再up)

 あるゼネコンの安全大会で、〇×をつける安全テストの問題に、

90掘削した所に昇降階段と手摺は必要である
が書いてあった。

 今、〇×の答えは分かってるよね?
 参加者に配ったこのテストが何を意味しているのか、不愉快になったよ。

 必要であろうと無かろうと、誰が手摺を設置するのか主語がないでしょ。
 大工が手摺を付けるのかい?
 鉄筋屋さんが手摺の高さを気にするから数値をテストしているのかい?
 そう聞きたかったのです。

 これが安全大会の行事としての安全教育ならば、情けないのよ。

 私はこの問題の答えに〇を付けたのだが、採点者は×を正解としたのが
もっと気に入らないのだ。

「1㍍以上から昇降階段と手摺を付けること、90㌢では取付不要で×」
 法規上必要ないから取り付けなくてもいい、が正解だってサ。

「馬鹿じゃないの?安全担当者は!」と思ったよ。
 高さが何㌢だろうと、大股開いて昇り降りさせて、現場が安全かい?
 飛び降りた、滑ったの事故が絶対に無いと言い切れるのかい?

「あんたが不要と言ったから付けなかった、だから事故になった
 と怪我をした人から言われたら、何と答えるのかこの人は…。

「階段があれば絶対に起きなかった事故
 と後から反省するのなら、最初から付けておけばイイじゃん、それが
安全監理の基本じゃん。

 安全衛生規則の正しい法令数値を知っているから、何だと言うの?

 事故すりゃあ労災報告書を書くのは誰なのか、分かってるの?

 気をつけて作業をさせなくても、安全か安全でないかで判断すれば、
規則がどうのと思う前に階段や手摺をつける事、これが私の安全監理なン
です。

 難しいですか? 

テストで満点取っても、翌日現場で事故してりゃ何の意味もないでしょう。
(ここらで、若手マンの目が輝いて来て、私も熱を帯びるのが分かる)

 それから、安全書類についても言わせてもらうよ。

 安全点検書類を増やして監理させているが、書けば安全になると思って
いる人は、どれだけいますか?

 書類で現場が安全になるのなら、幾らでも書類を増やせばいいのです。

 書類を作っても、毎日記入しても、職人さんからサインをもらっても
事故は無くなる事はない。

 マンネリになっている安全日誌からは、一寸先の事故は見破られないのです。
 危険予知活動も現場で重要な安全活動であるのだが、私にしてみれば、
「安全か安全でないか」
 で点検しているので、危険を予知しながら作業させていない。

 毎朝、危険を感じながら職人に作業させて、事故があれば
「あれほど気をつけるように言っていたのに…」
 と監理不備を隠して、労基署に言い逃れる証拠みたいな書類があれば、
現場はいつも安全作業をさせている…つまり錯覚なのですよね?

毎朝、私ね一日千人以上いる現場で、竣工前の3ヶ月を安全担当で配属さ
れた時に、

     《安全講演4へ 続く》

 

 

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安全大会講演

2019-06-10 07:57:00 | 建設現場

  安全週間を前にして・・・安全大会(2009.10.20)再度UPします。

   …………………………(安全大会講演 1)…………

 ライフワークの一つである講演に於いて、とあるゼネコンの若手勉強会から、
「基本は安心・基準は安全」 の講演です。
90分の講演実況録音盤から読みやすくする為に、部分修正してます)
    *********   ********   **********
 (挨拶省略・・・)  
現場所長を15年やっていまして、労災を一度も経験していませんから、災害の話から安全の話は出来ません。

3日以内の労災扱いにならない事故、自分の手を自分で叩いたとか、転んで血が出たとかは時々ありましたが、労災には縁がありませんでした。
 だからと言って現場がビシッと安全であった訳ではありません。  会社の安全パトロールの度に評価は悪く、再パトロールになる事は毎度の事でした。

「労務部の為に仕事をしてるンじゃあない!」 「無事故無災害でやる為に仕事をしているンじゃあない!」  イイ建物を創る為に自分たちで技術を入れているんだよ、イイ建物を創る為に 『早く・安く・良く』  そして安全に創るのが、現場マンの《やりがい》であり、監督さんの仕事だと思いませんか。

 若手現場マンが竣工の時に「よく頑張ったなあ」と涙を流せるくらいの建物にしたいのだよ。

 そんな現場のことを《建設現場の子守唄》《風来坊》に本音を丸出しで書いていますが、現場の楽しさ・厳しさの本音を読んでみて下さい。
 ネットでもかなり紹介されて出回っているようですが、直接私の所に
「本を送ってください」
とメールも来るし、若者がかなり読んでいるようですよ。

さて、安全監理という話をしますが、現場では四監理ありますね。
工程・品質・原価・安全の四つとそれに『人間監理』も含んで欲しいですね。

四監理をぐるっと上手く廻さない限り、
「安全監理は望めない」  
が、私の安全の基本の考えで、現場所長としての結論ですよ。

工期がない現場、突貫をやっている現場でね、安全監理書類なんて
構って いられますか?  
その時に
「安全作業をしろ!(させろ)
って言ってもソレどころじゃあないでしょ、安全監理の毎日点検なんて実際に出来っこないでょ。

 又、予算をガバッと削られて、
「これだけでやれっ!」 って言われたら、
品質は悪くなるよ、品質の悪い物を取り付けて、手直しを食えば再度取り付けるまでの時間が必要となるし、修正代も出てくるし、取り付ける時には足場が解体されていたのはよく有る事ですよね。  
サーカス仕事をさせるようになって、それでも安全監理が出来ますか?

 安全監理の前に工程をしっかり監理していなければ、ならないンですよ。
 竣工に間に合わないと誰しもが思えば、安全監理どころではないでしょ。

つまり、四監理が廻らず、チームワークも無く、良いモノを創るという心も消えてバラバラとなっている現場に、安全大会や安全パトロールを実施しても良い結果にならないのですよ。

 現場で毎月1回安全大会と安全衛生協議会を開いていますが、成果を感じる事がありますか?成果がありましたか?

 成果が無いものを毎月やってるなら、何の為なのですか?

 やらないよりはイイけれども、
「気をつけて作業しろよな」  
とKY活動の総まとめをしていて、1ヶ月間安全監理出来るの?
必ず事故になりますよ。

 皆さんのやり方を私は知らないけれど、
「会社の為にやっているのか、決まりだからやっているのか」
 という所から、本音で話をしますよ。        

           《安全講演2へ 続く》      

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