…………………………(安全講演 3)…………
あるゼネコンの安全大会で、○×をつける安全テストの問題に、
「90㌢掘削した所に昇降階段と手摺は必要である」
今、○×の答えは分かってるよね?
参加者に配ったこのテストが何を意味しているのか、不愉快になったよ。
必要であろうと無かろうと、誰が手摺を設置するのか主語がないでしょ。
大工が手摺を付けるのかい?
鉄筋屋さんが手摺の高さを気にするから数値をテストしているのかい?
そう聞きたかったのです。
これが安全大会の行事としての安全教育ならば、情けないのよ。
私はこの問題の答えに○を付けたのだが、採点者は×を正解としたのが
もっと気に入らないのだ。
「1㍍以上から昇降階段と手摺を付けること、90㌢では取付不要で×」
法規上必要ないから取り付けなくてもいい、が正解だってサ。
「馬鹿じゃないの?安全担当者は!」と思ったよ。
高さが何㌢だろうと、大股開いて昇り降りさせて、現場が安全かい?
飛び降りた、滑ったの事故が絶対に無いと言い切れるのかい?
「あんたが不要と言ったから付けなかった、だから事故になった」
と怪我をした人から言われたら、何と答えるのかこの人は…。
「階段があれば絶対に起きなかった事故」
と後から反省するのなら、最初から付けておけばイイじゃん、それが
安全監理の基本じゃん。
安全衛生規則の正しい法令数値を知っているから、何だと言うの?
事故すりゃあ労災報告書を書くのは誰なのか、分かってるの?
気をつけて作業をさせなくても、安全か安全でないかで判断すれば、
規則がどうのと思う前に階段や手摺をつける事、これが私の安全監理なン
です。
難しいですか?
テストで満点取っても、翌日現場で事故してりゃ何の意味もないでしょう。
(ここらで、若手マンの目が輝いて来て、私も熱を帯びるのが分かる)
それから、安全書類についても言わせてもらうよ。
安全点検書類を増やして監理させているが、書けば安全になると思って
いる人は、どれだけいますか?
書類で現場が安全になるのなら、幾らでも書類を増やせばいいのです。
書類を作っても、毎日記入しても、職人さんからサインをもらっても
事故は無くなる事はない。
マンネリになっている安全日誌からは、一寸先の事故は見破られないのです。
危険予知活動も現場で重要な安全活動であるのだが、私にしてみれば、
「安全か安全でないか」
で点検しているので、危険を予知しながら作業させていない。
毎朝、危険を感じながら職人に作業させて、事故があれば
「あれほど気をつけるように言っていたのに…」
と監理不備を隠して、労基署に言い逃れる証拠みたいな書類があれば、
現場はいつも安全作業をさせている…つまり錯覚なのですよね?
毎朝、私ね一日千人以上いる現場で、竣工前の3ヶ月を安全担当で配属さ
れた時に、
《安全講演4へ 続く》