アレクサンダーテクニーク ヨガ講座:第222回目「片足鶴のメカニズム分析」1月3日
アレクサンダーテクニークではダイレクションといって、体が調和した動きをするときには、然るべき方向性があると教えています。野生動物は本能で動くので、だいたいダイレクションがうまく表れているのですが、人間はもっと自由な動きが可能なので、必ずしもダイレクション通りでなくても行動できます。
とはいっても骨格があって関節があって、筋肉のレイアウト、そして重力と一緒に生きているわけですから、ダイレクションを無視した好き勝手な動きを続けると体の機能は低下してしまいます。
宇宙飛行士は重力から解放されているので、宇宙船ではさぞかし自由な動きができるのではないでしょうか。そのかわり地球に帰ってくると骨も筋力もかなり弱くなっているので長期間のリハビリを要するみたいです。自由!自由!と叫んでみたところで、やっぱりルールと秩序があるんです。
それでダイレクションとは何か?というと、
1)首が固まらずに自由に動かせること
2)頭が前に上に行く
3)背中が伸びて広がる
という3つの要素が同時に体に表れることを意味します。
その他に補足として
A)肩が左右に流れる
B)ひざが前に向かう
というのが付け加わります。
文章だけで考えると何が何だかわからないでしょう?そうなんです。ダイレクションは禅問答みたいなもので、体得して初めて「ああ、なるほどそういうことなのか」と自分自身で理解できるものなのです。
でも、動きやバランスを分析するとそれなりに説明することも可能ではあります。今回はヨガの浮上系ポーズ、片足鶴を見てみましょう。
1)まず三転倒立から片膝を上腕に乗せてスタンバイになります。この段階では背中が床から直立していますね。
2)そこから左ひざを上腕の上で支点にして体を傾けてバランスをやや後方に行かせるんです。マットからの前腕の角度がわずかに後方に傾斜しているのを見てください。
3)さらに体の傾きを強めるようにバランス移動しますが、やり過ぎると落下して失敗してしまいます。そこでギリギリのところで、手でマットを押しつけて頭を持ち上げるんです。すると前腕の傾斜は再び前方に向かいますね。
このとき首が固まっているとうまくいきません。自由に動かせるように押しつぶさないように注意します。片足鶴のような不安定で気を抜けない決定的瞬間のさなかでも首の自由を維持する。それがアレクサンダーテクニークの「抑制」です。
4)ここで上に行くことを思う。Think UPといいます。思いは脳から神経を通って必ずわずかながらでも筋反応として表れます。それが体を固めない抑止力になるんです。
両腕をビビーンと伸ばすと、頭は前に上に向かい背中は伸びて広がっているのがわかります。肩も左右に流れていますね。
そして「ひざが前に向かう」というと上腕に乗っている左ひざのことだと思うかもしれませんが、そうではありません。頭頂から右足に一直線を引くと、右ひざは胴体よりもわずかながら前に位置しているのがわかりますか?ここなんです。
●スパイラル呼吸法™とパワーヨガ/クラニオセイクラル/アレクサンダーテクニーク/東京門前仲町レッスン
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吉田篤司
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