犬の散歩。
昔は珍しかったのに、段々北上して来て今やクマゼミばっかりだ
もう、毎日毎日、何年続けているだろう。
前の犬のコロナで15年、かりなで9年。
雨の日も台風の日も、インフルエンザで熱がある時も…
コロナは外犬だったので、時間の縛りは無かったのだが、かりなは室内犬なので、ほぼ決まった時間に少なくとも3回はお散歩する。
冷房やヒーターの快適な部屋でゴロゴロしてお散歩に行きたがらない癖に、夜や天気が悪い日は、喜んでお散歩する。タチの悪い犬だ。
「ご褒美として、宝くじでも当たらんかね」
私はいつも思う。
学校や会社だって皆勤賞ってあるのに、お散歩の皆勤賞があったっていいじゃないか?
岡本太郎の様な事を思う。
今まで何回お散歩をして、何回ウンチを取っただろう?
かりなのウンチなんか、袋はかぶせてるけど掌で受け止めてるんだぜっ
「ねぇ、かりなぁ、ロト6当ててぇ」
犬に猫撫で声を出してみる。
かりな、その場で伏せて知らん顔。
「アガペよ、無償の愛よ…でもたまにはご褒美を」
無視。
…
「仕方ないなぁ」
不意に右耳に声が聞こえた。
右肩を見ると、小型のかりながいる。
「ヒッ」
思わず手で振り払う。
小さなかりなは、袖を咥え抵抗する。
「あんたの願いを叶えてあげようと出て来てやったのに、なんちゅう態度」
「嫌やぁぁぁぁ」
私は右手をブルンブルン振り回す。
小かりなは、フワッと浮かんだかと思うと、ヒラリと左肩に乗る。
「ご褒美をあげようとわざわざ来たのにな」
ご褒美と言う言葉に素早く反応した私。
貰えるものなら何でも(インフルでも)貰う主義(バカ)の私は怖いのも吹っ飛ぶ。
「で、何が貰えると?」
と、私。
左肩に乗った妖精かりなは、少し威張った様に言う。
「お前が取って袋に入れたウンチを黄金にかえてやろう」
慌てて、さっき取ったウンチを入れた袋を見ると、中でピカピカ光っている。
やったーっ!これで私は大金持ちだ。かりなをお散歩に連れて行き、ウンチを取るだけで…
大判小判がザーグザーグザーグザク
つい、嬉しくて歌ってしまった。
ふと、左肩を見ると天使のかりなはいなくなっていた。
まぁ、いい。この黄金さえあれば。
伏せをしていたかりなを起こし、ルンルンで家に帰る。
輝く黄金の入ったウンチを袋から出す。
…あれ?
普通のウンチが出て来た。
目の前にまた小さなかりなが現れて言う。
「袋に入れたウンチを黄金に変えると言っただろ?袋から出せばタダのウンチさ」
そう言うと、悪魔のかりなは、ワハハと笑いながら割れた地面に吸い込まれて行った。
注)後半は妄想です。
昔は珍しかったのに、段々北上して来て今やクマゼミばっかりだ
おまけの話
大相撲名古屋場所も白鵬、照ノ富士の全勝対決で見事白鵬が優勝した。
溜席の妖精は10日土曜日の一回だけの登場に終わった(たぶん)