いつもの様にかりなのお散歩を嫌々していた(言う事を聞かない、歩かない、突然走り出す、小さな犬を脅す、糞食する、拾い食いするetc…気が休まらない)
良く考えてみると、かりなが臆病なのは飼い主に似たんだなぁ
ふと、視線に気がつく。
前から来たおじさんがじっとこっちを見ながら歩いて来る。
かりなもおじさんの視線を感じたのか、いつもの様におじさんをじっと見つめる。
また、あの訳の分からないツンデレの反対のデレツンだ。
かりなは良くそう言う裏腹な態度をする…愛想良く近づいて行く癖に、撫でてくれようとすると、いきなり吠えて逃げる。それをされた人は戸惑うばかり。私はただ「すみません」と謝るしかない。これがかりなのデレツンだ。
で、かりなを引っ張りその場を切り抜けようとすると、おじさんが
「こんにちは」
と挨拶して来た。
仕方なしに挨拶を返すと、かりながまたデレツンを始めようとするので慌てて引っ張る。
おじさんはかりなをじっと見つめながら、ポツンと一言…
「飼ってた犬が死んじゃってね…」
悲しそうに呟く。
「そうですか…残念でしたね…」
訳の分からない返事をした。
おじさんは暫くかりなを見つめてまた歩き出す。
かりなを引っ張り、その場から立ち去ろうとすると、おじさんはかりなに向かって
「元気でね」
と呟き、手を振った。
昔、飼ってた犬コロナが死んだ時、お散歩をしている人が羨ましくてたまらなかったなぁ…なんて思い出す。
老衰してヨロヨロとお散歩をしているコロナを見て
「うちの子もそうだった」
「15歳?うちの子もそれくらいだったなぁ」
「頑張って生きなさいよ」
等々、声をかけてくれた人達は皆、同じ思いだったのかもなぁ。
かりなも今年の11月で10歳。
悔いのないようにしなくちゃ…なんて感慨に浸りながらかりなを見たら、捨ててあったティッシュを咥えてご機嫌に歩いてた。
「こら!バカ犬!!」
かりなのお散歩は気が休まらない。
良く考えてみると、かりなが臆病なのは飼い主に似たんだなぁ