日本には梅雨と言う雨季があります。
京都出身の私にとっては、6月中旬から祇園祭の山鉾巡行まで位の、蒸し暑い日々という位の捉え方でした。あの初夏までは。
チリ紙交換になってから、10か月ほど経って、初めての梅雨を迎えました。時はチリ紙交換全盛期、故紙の値段が高くて((新聞37円、雑誌36円、段ボール38円) 東京都製紙原料協同組合調べ)楽しい日々を送っていました。
梅雨入りしたばかりの頃、ひらめくものがありまして、トラック一杯古新聞等を集めたのですが、その日は荷下ろしに行かず、自宅の露天の駐車スペースにそのまま軽トラを止め置きました。その夜は篠突く雨でした。今と違って、昭和の時代に、夜に強い雨が降ることは珍しかったです。梅雨には細かな雨が続くことは多かったですが、今の様な暴力的な降り方をすることはありませんでした。篠突く雨と言っても、時間15㎜程度だと思いますが、当時としては珍しい一晩続く雨でした。
深夜になって突然「バーン」という何かが破裂するような音が鳴り響きました。音は自宅前だと思えました。交通事故だ!と、思いましたが、引き続いての音が何も聞こえてきません。交通事故なら、ドアを開ける音や人の声など聞こえてくるはずです。一体何が起こったのだろうと家の前に出たのですが、家の前には何もありませんでした。
何が起こったのだろうと見渡して、何もなくて、首をかしげながら家に戻って、原因が分かりました。
軽トラックの荷台の外枠が3方向とも垂れ下がっています。外枠はこんな金具でロックを掛けていたのですが、そのロックが二つとも吹っ飛んでいました。
金具を吹っ飛ばした原因は、新聞紙+雨!!
荷台に、束ねた新聞紙をきちんと1列に並べていました。普段は、その上に雑誌や段ボールを積むのですが、雨がよく当たる様に、雑誌や段ボールは地面におろしていました。
それで、荷台にきっちり詰め込まれた新聞紙に雨がザアザア降り注いだわけです。私の目論見は、それで吸い込んだ雨の分だけ重量が稼げる。
「雨が降るとチリ紙交換が儲かる」などとうそぶいていたのですが・・・・
甘かったのでありました。荷台にきっちり詰め込んだ新聞紙、雨を含んで膨張したのです。少しくらいの膨張なら、軽トラとはいえ、鉄で頑丈に作られている荷台ですから何とか耐えてくれたのでしょうが、いかんせん雨の量が多かった。それで、新聞紙がブワッと膨張(1割以上膨らんでいた?)し、ゲートロックの金具をぶっ飛ばしたのでした。
翌日、濡れた新聞紙を荷下ろしに行ったのですが、流石に、「今後は、こんなずぶ濡れの新聞は引き取らない」と、言われました。
まあ、この事件でチリ紙交換を辞めたわけではないです。そのシーズンの梅雨は、本当に雨が多くて、10日近く雨が続いたことがありました。それで、「チリコ殺すにゃナイフは要らぬ、雨の3日も降ればよい」などと強がって?おりましたが、本当に困りまして、「これは、何とか次の仕事を見つけないといけないぞ、出来れば、季節変動の少ない仕事が良いかな。」などと思っておりました。
そんな事がありまして、その前に学生下宿から大量に出された蛍雪時代の一部がまだ手許にあったので、それを読み始めたのです。
続く