今日は火曜日。第1,3,5週の火曜日は定休日にしている関係で、第4火曜日の今日は休みではなく診療していましたが、暇でした。昼休みに訪問診療の予定も無かったので、配偶者に誘われて室生寺に向かいました。
石楠花が見頃だろうという事でした。
室生寺と言えば、40数年前、奈良県立医大に入学して間もないころ、大学が周辺の古寺名刹を周遊する無料バスツァーを開催してくれ、それで行って以来です。ですから40数年ぶりの五重塔でした。
室生寺の五重塔は、1998年(平成10年)の台風7号で大被害を被っています。周囲に生えていた杉の巨木(直径2m、高さ60m)が倒れ、塔を直撃したのです。
私が坂根医院を始めたのが1998年の2月でしたから、開業して半年後の事でした。台風が直撃した9月22日も休診にしませんでした。当時の天気予報は今ほど正確では無かったですし、大きくもない台風7号で、そんなに被害は出ないだろうという雰囲気でした。それが和歌山御坊市あたりに上陸してから、あまり勢力を落とさず、奈良県中部を直撃し、近畿地方を縦断し、大きな被害を出しました。
暴風雨ではありましたが、雨よりも風の被害が大きくて、田原本の医院周辺でも最大瞬間風速は50mを超えていただろうと想像され、そこらじゅうの信号がアッチコッチ出鱈目な方向に向いており、看板の多くが飛ばされたり折れ曲がっていました。新庄市では屋根が飛ばされた家も多くあったそうです。坂根医院に近い阪急住宅でも、屋根瓦が飛んできて窓ガラスが割れた、この瓦はあんたの家の瓦だろ とかいう紛糾がしばらく続いたとの事でした。あちこちの屋根がブルーシートで覆われ、瓦屋さんが「忙しすぎる!!」と、ぼやいておられたのを思い出します。
医院は、昼休みの時間(午後3時前後だったと思います)に強烈な風の中に居ました。坂根医院は周囲に殆ど建物がありません。特に西側には周囲数キロに建物は皆無です。広々とした農地が広がっています。その風を遮るものが何もない西に向いて、スタッフルームの大きな掃き出し窓があるのです。その窓ガラスが強風で明らかに内側にたわんできました。当時事務職員は2人しかいなかったのですが、そのうちの一人が明らかにたわんでいる窓ガラスを反対に押し返そうとしました。私は、大慌てで、「ダメ!!」そんなことをしちゃだめだと止めました。職員は驚いた様子で、「でも、そうしないと窓ガラスが割れちゃいます。」と言いました。「割れるかもしれないけれど、押し返す方がもっと割れやすいし、それに窓ガラスに近づくこと自体危険だから、押し返すなんてもってのほか。」と、私は説明しました。その時は納得いかない様子でしたが、翌日の新聞を見て、大いに納得してくれました。
奈良県で2名の死亡者がでたのですが・・・
新庄市で、73歳の女性が玄関のガラス戸を押さえていたところ、ガラスが割れ、その破片で太ももを切り死亡、
新庄市で、63歳女性が雨戸を閉めようとしたところ窓ガラスが割れ、破片が首に刺さって頸動脈を切って死亡
という記事が出ていました
まあ、そんなことを思い出した室生寺の五重塔でした。
五重塔は、どこを修理したのか全く分かりませんでした。
物体は直すことが出来るのですねぇ。生命体は大破すると滅亡してしまいます。知床の船舶事故を考えても、一寸先は闇ですねぇ。色々と考えながら帰って・・・・結局・・・いつかは来る最期の時に後悔しないように・・・美味しいものを遠慮なく食べていこうと思った深謀遠慮の無い私でありました。