同じ時間を共有すること。
家族にとって、それがいかに大切なことなのか。
入社以来最長の9日間にも及んだこの年末年始の休暇(実際はそのうちの1日は自主出勤を強いられたのだが)を通して、「家族」の大切さを実感させてもらった。
「家族」は、子どもにとって最初で最小の社会。またこれからのすべての人間関係のベースとなるものだ。今回、幼い息子がいたからこそ「同じ時間を共有すること」の大切さを強く感じることができた、と思う。
◇
ふだんの生活は、私も妻も仕事に忙殺され、息子は幼稚園の中でも最も親と過ごす時間が少ない子である。
私と過ごすのは朝の2時間足らず。そのとき妻はすでに出勤していない。逆に妻と過ごすのは夜の3時間。その時間帯、私は仕事から帰れない。朝は父親と2人きり、夜は母親と2人きり。それが息子の日常だ。
この休暇は、一日中3人一緒だった。私と妻の実家への帰省中は、さらに「家族」が増えた。
特に妻の実家では、10人で夕食を食べた。6畳間にテーブルを2つ並べて食べた。体の大きな中学1年の甥は、あぐらをかけずに立て膝でご飯を食べていた。
10歳違いの弟を持つ高校1年生の姪は、小さな子を扱うのはお手の物だ。ぐずっても安易にあやすことなく、といって突き放すのでもなく、絶妙の間で息子を扱ってくれた。この姪は、赤ん坊の夜泣きから、幼児のオムツ、トイレ、食事、叱りまでなんでもできる。
小さなことでいちいち悩んで悪さをする高校生をはじめとして、少年や少女たちの幼稚化が進む現代、私は「最強の高校生」であると思っている。
◇
そんな帰省中の出来事。私の実家に泊まった31日、大晦日の夕刻だった。
私の母親を含めて4人で夕食を済ませたあと、息子は唐突に「きょうはお父さんと寝る」。
驚いた。就寝前のパートナーに母親以外を希望したのは初めてである。しかも、母親と一緒にいられる状況なのに、「お父さんと寝る」である。
その2日前から、いつもの贖罪とばかりに息子と一緒に過ごし、求めるままに一緒に遊んだ。
その夜、私は得意の「寿限無」をお話ししてあげた。「大岡さばき」もやりたかったが、息子は話の途中で私の腹の辺りに顔をうずめて、いつも通りに唐突に眠ってしまった。
◇
そして昨日、年明けの6日のこと。「きょうは、お父さんとお風呂入る!」
私には長期休暇明けの仕事の準備があった。「お母さんと一緒でいいよね」。私も妻もそう促したが、頑として「お父さんと」。
これまで妻の都合が付かない日に、「お父さんと入ろう」と促しても断固として拒否していたのに。
さらにきょうのこと。半年振りくらいに午後8時過ぎに帰宅できた。妻と息子は夕食を終えたばかりだった。息子が「お帰りなさい」の直後に継いだ言葉は「お父さんとお風呂入る」。
郡山に赴任して以来、初めて平日に息子と一緒にお風呂に入った。
◇
昨年の夏から年末まで、私との入浴を頑なに拒んでいた息子のこの変わりようは何だ!
昨日もきょうも、息子は「お父さんとのお風呂」を熱望していた。
赤ん坊の入浴の場合、親は赤ん坊の頭を片手で持って、もう一方の手で体を洗ってあげなくてはいけない。私の周囲では、赤ん坊の入浴はほとんど手の大きな「男の仕事」である。赤ん坊も大きな手のほうが安心しているようである。
◇
子どもは、本来、お父さんとの入浴は嫌いではない。いや、好きなのである。ましてや、いたずら盛りの息子などはそうだ。水しぶきを上げただけでも叱る母親より、一緒に楽しんでくれる父親のほうがいいに決まっている。
息子が昨年の一定期間、私との入浴を拒否していたのは、その時期に2人が共有する時間がほとんどなかったからだと思う。
この休暇で多くの時間を共有できた。
◇
ただ、である。
「家族と時間を共有すること」の大切さについてここまで書いておいてなんだが、いまさら思い出してしまった、ある殺風景な情報がある。
◇
年末、テレビで「メジャー」というアニメ番組の総集編をやっていたらしい。
野球選手の主人公の成長物語なのだが、幼少編でのこと。父子2人きりの家族で、プロ野球選手の父が死んでしまうという、どえらい悲劇が主人公を見舞うのである。
息子は、妻と一緒にテレビを見ていて、このどえらい悲劇を相当の衝撃をもって目の当たりにしたらしい。
妻曰く。「あれからお父さんにすごく親切になったみたい」
◇
そんなもんだよね。きっかけなんて。
◇
年末年始の休暇から明けて、ようやく仕事始め。金曜日の1月4日も仕事をしたのだが、すぐに土日の連休に入ってしまったので、この日が仕事始めという実感だ。
ただ、酒浸りの年末年始で緩んだ心では、いきなり戦闘モードに気分をシフトするには至らなかった。きょうの収穫は、あいさつ回りをちょっと多めにできたということくらい。
妻は、明日が仕事始め。息子の幼稚園通いも明日から再開である。
実は、私も明日からが戦闘モードという気分。
◇
また、息子と私の、慌しい朝が始まる。
家族にとって、それがいかに大切なことなのか。
入社以来最長の9日間にも及んだこの年末年始の休暇(実際はそのうちの1日は自主出勤を強いられたのだが)を通して、「家族」の大切さを実感させてもらった。
「家族」は、子どもにとって最初で最小の社会。またこれからのすべての人間関係のベースとなるものだ。今回、幼い息子がいたからこそ「同じ時間を共有すること」の大切さを強く感じることができた、と思う。
◇
ふだんの生活は、私も妻も仕事に忙殺され、息子は幼稚園の中でも最も親と過ごす時間が少ない子である。
私と過ごすのは朝の2時間足らず。そのとき妻はすでに出勤していない。逆に妻と過ごすのは夜の3時間。その時間帯、私は仕事から帰れない。朝は父親と2人きり、夜は母親と2人きり。それが息子の日常だ。
この休暇は、一日中3人一緒だった。私と妻の実家への帰省中は、さらに「家族」が増えた。
特に妻の実家では、10人で夕食を食べた。6畳間にテーブルを2つ並べて食べた。体の大きな中学1年の甥は、あぐらをかけずに立て膝でご飯を食べていた。
10歳違いの弟を持つ高校1年生の姪は、小さな子を扱うのはお手の物だ。ぐずっても安易にあやすことなく、といって突き放すのでもなく、絶妙の間で息子を扱ってくれた。この姪は、赤ん坊の夜泣きから、幼児のオムツ、トイレ、食事、叱りまでなんでもできる。
小さなことでいちいち悩んで悪さをする高校生をはじめとして、少年や少女たちの幼稚化が進む現代、私は「最強の高校生」であると思っている。
◇
そんな帰省中の出来事。私の実家に泊まった31日、大晦日の夕刻だった。
私の母親を含めて4人で夕食を済ませたあと、息子は唐突に「きょうはお父さんと寝る」。
驚いた。就寝前のパートナーに母親以外を希望したのは初めてである。しかも、母親と一緒にいられる状況なのに、「お父さんと寝る」である。
その2日前から、いつもの贖罪とばかりに息子と一緒に過ごし、求めるままに一緒に遊んだ。
その夜、私は得意の「寿限無」をお話ししてあげた。「大岡さばき」もやりたかったが、息子は話の途中で私の腹の辺りに顔をうずめて、いつも通りに唐突に眠ってしまった。
◇
そして昨日、年明けの6日のこと。「きょうは、お父さんとお風呂入る!」
私には長期休暇明けの仕事の準備があった。「お母さんと一緒でいいよね」。私も妻もそう促したが、頑として「お父さんと」。
これまで妻の都合が付かない日に、「お父さんと入ろう」と促しても断固として拒否していたのに。
さらにきょうのこと。半年振りくらいに午後8時過ぎに帰宅できた。妻と息子は夕食を終えたばかりだった。息子が「お帰りなさい」の直後に継いだ言葉は「お父さんとお風呂入る」。
郡山に赴任して以来、初めて平日に息子と一緒にお風呂に入った。
◇
昨年の夏から年末まで、私との入浴を頑なに拒んでいた息子のこの変わりようは何だ!
昨日もきょうも、息子は「お父さんとのお風呂」を熱望していた。
赤ん坊の入浴の場合、親は赤ん坊の頭を片手で持って、もう一方の手で体を洗ってあげなくてはいけない。私の周囲では、赤ん坊の入浴はほとんど手の大きな「男の仕事」である。赤ん坊も大きな手のほうが安心しているようである。
◇
子どもは、本来、お父さんとの入浴は嫌いではない。いや、好きなのである。ましてや、いたずら盛りの息子などはそうだ。水しぶきを上げただけでも叱る母親より、一緒に楽しんでくれる父親のほうがいいに決まっている。
息子が昨年の一定期間、私との入浴を拒否していたのは、その時期に2人が共有する時間がほとんどなかったからだと思う。
この休暇で多くの時間を共有できた。
◇
ただ、である。
「家族と時間を共有すること」の大切さについてここまで書いておいてなんだが、いまさら思い出してしまった、ある殺風景な情報がある。
◇
年末、テレビで「メジャー」というアニメ番組の総集編をやっていたらしい。
野球選手の主人公の成長物語なのだが、幼少編でのこと。父子2人きりの家族で、プロ野球選手の父が死んでしまうという、どえらい悲劇が主人公を見舞うのである。
息子は、妻と一緒にテレビを見ていて、このどえらい悲劇を相当の衝撃をもって目の当たりにしたらしい。
妻曰く。「あれからお父さんにすごく親切になったみたい」
◇
そんなもんだよね。きっかけなんて。
◇
年末年始の休暇から明けて、ようやく仕事始め。金曜日の1月4日も仕事をしたのだが、すぐに土日の連休に入ってしまったので、この日が仕事始めという実感だ。
ただ、酒浸りの年末年始で緩んだ心では、いきなり戦闘モードに気分をシフトするには至らなかった。きょうの収穫は、あいさつ回りをちょっと多めにできたということくらい。
妻は、明日が仕事始め。息子の幼稚園通いも明日から再開である。
実は、私も明日からが戦闘モードという気分。
◇
また、息子と私の、慌しい朝が始まる。
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