木曽路はすべて山の中である。
島崎藤村「夜明け前」
道と空との間に唯一人我ばかり。
泉鏡花「高野聖」
渾身の直球、といったところか。
物書きになったのであれば、こんな一文を書いてみたいものだ。
飾りがない。駆け引きもない。
奇をてらった商業コピーでは決して . . . 本文を読む
息子は、ほぼ回復。
狭い家の中を走り回り、立ち止まってればきょう保育園で覚えてきた歌を声を張り上げて歌っている。
食事はまだおかゆなのに、どこから出るんだ、あの元気。
大きな病気をひとつ乗り越えたことで、1段階たくましくなった気がする。
「ドラゴンボール」のサイヤ人は瀕死の傷を負うとその回復後に1段階グレードアップするが、サイヤ人ばかりではない。地球人もピンチを乗り越 . . . 本文を読む
子どもの笑顔。
それだけで、生きていける。
◇
先週末から体調が不安定だった息子が、15日の朝とうとう入院することになった。
嘔吐の繰り返し。食べてもすぐに戻す。急速に血色を失い、真っ青な顔色。抱き上げても首も四肢も力なくだらりと下げたままだった。
「このままでは危険だ」。
脱水症状、それに血糖値の低下が深刻な状況だったらしい。
◇
. . . 本文を読む
なにしろ、動揺した。
冬支度を持ちに、久しぶりに実家に帰った。
日中、母を連れて買い物に出かけようと車に乗せたら、突然、母が「気持ちが悪い」と言い出して家に戻って横になった。
「横になれば大丈夫」と気丈に話した。が、すぐにろれつが回らなくなった。
「脳だ」。
直感で分かった。
◇
病院にいくと「軽度の脳梗塞」とのこと。年齢的に、もう完治する . . . 本文を読む
郡山市街地の北部に位置する八山田地区は、急速に開発が進む新興住宅地である。
緩やかな丘陵には新しい家々が整然と並ぶ。
瀟洒な造りの飲食店も点在する。が、町の一員として、気負わず、奇をてらうでなく、かと言って風景の中に埋没するでもなく、街並みのなかでごくごく自然に佇んでいる。
レストラン「エル・マール」は、郡山北工高校の道路向かいにある。
ここは佇まいだけではなく、料理も自 . . . 本文を読む