ジコマン企画 「オレのギターを見ておくれ」 その3
TACOMA DM16
絶品です。
メーン使いしてます。
マーやギブのような知名度はありません。でも、絶品です。
マーやギブは人気ブランドであるがゆえに大量生産であり、組織の維持費や広告費も膨大ですから採算もとらにゃいけません。
ですから、ハイエンドモデルでもないと、なかなかいい個体には出合えません。
そのため、職工たちは「custom」という形で、採算は取れないけれども「限定品」としていいものを作りたがるのです。
大きな企業や組織に所属してしまった職人のジレンマなんだと思います。
その点、TACOMAはそのような気苦労は職工たちにはありません。
大量生産しなくていいんだから、会社として。
だから、ネックの根元には「build so carefully with great pride by skilled craftmen」と書かれたラベルが誇らしげに張られています。
ただし、TACOMAは多くの個体が湿気の多い日本に持ってくると塗装が剥がれてしまうそうです。アメリカ国内では剥がれないんだそうですが。
おれ的には、塗装剥がれによって楽器が軽くなり、「音が乾いている」と逆に良い効果をもたらしているのではないかと感じますが、やはり見た目が悪くなるのは事実です。
でも、1956年のサザンジャンボのオーナーさんからも音に関してはうらやましがられました。ホントですよ。
このギターのオーナーになれたことは、いろいろあるんですが、ホント、ラッキーでした。
職人さんたちの素晴らしい仕事だと思っています。
話はちょっと逸れますが、「職人の倫理観」とは、儲け優先となってしまった現在の日本人が失いかけている大切な価値観なんだと思います。
「職人」は自分の仕事の質が重要なのであって、それによって得た利益は「その次」なんです。
「職人」より「組織人」が幅を利かせてしまっている今、少なくとも、自分の子供には、誇らしい日本の価値観を伝えたい。
落語「大岡さばき」の中の、大工の金公の言葉。
「余計な銭に目が行くと仕事にスキが出ちまいます。それこそ職人の一大事。銭はなくても困るが、多けりゃなお困るもんです。年に1回くらい、かかぁにうまいもんんでもくわしてやれりゃあ、それで充分。あっしに縁がなかったからといって離れていってくれたその銭、わざわざあっしに戻すなんてことは勘弁して下せえ。あっしにも、銭にも、迷惑です、お奉行様」
「有名を恥じ 無名を愛す」
TACOMAの skilled craftmen に感謝です。
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