アコギおやじのあこぎな日々

初老の域に達したアコギおやじ。
日々のアコースティックな雑観

カープ優勝 大の男の涙は美しい

2016-09-16 | Weblog

 広島カープのリーグ優勝。黒田と新井が泣きながら抱き合っている場面を見て、ちょっと目が潤んだ。


 一生懸命に取り組んできたことが成就した。大の男だって泣いたっていい。いや、大の男の涙は、女の涙なんかよりずっとインパクトがあると思う。


 大の男がテレビで泣いているのは見たのは久しぶりだった。前回も、やはりプロ野球。



 20年ほど前(正確には覚えていない)のパ・リーグ、近鉄対ロッテのダブルヘッダー。ペナントレースの最後の2試合で、近鉄が2つとも取れば当時12球団最強だった西武を逆転して優勝する。


 1試合目は勝ち。2試合目は、ロッテの監督の抗議行為で時間が取られて、時間切れ引き分けの試合となった。先攻だった近鉄は、勝ちのなくなった最後の9回裏の守備をべそをかきながらもやり通して、相手を無得点に抑えて負けではなく引き分けにした。


 当時はプロ野球と言えば巨人の中継ばっかり。そんなご時世で、久米宏のニュースステーションがあまりに劇的な展開に、放送予定の内容を変えて試合を生中継した。


 試合の後、優勝を逃した近鉄の選手たちが子どものように泣いている姿をニュースステーションで見た。高校野球では必要以上に選手が泣く。が、プロ野球の選手が泣いているのは初めて見た。


 その姿に、当時すでに近鉄ファンだったおれは、特に東日本ではあまりにも不人気ではあったが、巨人などに流されずに近鉄を好きになった自分の「審美眼」は極めて正常なのだと意を強くしたものだった。


 ちなみに近鉄は次の年、優勝した。


 大の男が泣いている姿は、やはり心を揺さぶる。


 近鉄は日本のプロ野球の歴史の中の数多のチームの中で、唯一日本一を経験していないチームだ。日本一に一番近づいた年、勝てばどちらかが日本一という試合で「江夏の21球」で近鉄の前に立ちはだかったのは広島だった。


 黒田と新井が抱き合う場面。大の男の涙の美しさに感動すると共に、プロ野球で最も魅力的だった近鉄バファローズというチームが消滅し、いわゆる「孤高の近鉄難民」となったおれに、もう決して訪れることはない「日本一」というあこがれを思い、ちょっと目が潤んでしまったのだった。


 このところのプロ野球ファンもプロパガンダに左右されない「審美眼」をもつ人が増えてきたと思う。特定球団のアイドル化の時代は終わり、ファン自身がそのチームの価値を判断する時代が来たのだと思う。


 現在の広島に匹敵すると思う。近鉄がどれほど魅力的な球団であったか。今後もしつこく語るつもりである。いや、語っていけなくてはいけない。


 「主流に迎合しない」「空気なんか読まない」という人間が、社会には不可欠なのだから。

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