まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

珈琲にチャリの話

2015-10-11 13:01:28 | 日記


好きなものに囲まれて
ゆっくり珈琲を飲めるなんて
いいよね、っていう主旨は
すごくよくわかるけど
本屋でも美術館でもない
自転車屋っていうのは
狙う客層としてどうなのでしょう?

自由が丘のビアンキカフェも
こんなところにこんなものが、と
驚いちゃったけれど
もっとびっくりしたのは
広々した店内に女の子グループが
たくさんいてきゃあきゃあ喋ってたこと。
そしてメニューには、ビアンキのシンボルカラー「チェレステ」をあらわした
ドリンクが。使ってるのはアボカド。
飲まないよそんなのは。

そして今回ははるばる北参道まで
ラファのカフェへ。
イギリスのブランドで、手掛けるサイクルウェアはちょっとスノッブな感じ。
珈琲は中浅の豆をペーパーでさらっと落とす、サードウエーブってやつ。
お腹すいてたからチリドッグも頼んだら、
ドッグロールが全粒粉入りで軽くさっくりしてるうえに、
枝豆入りのミートソースがちゃんと作ってあってびっくり。

モニターで今月あたまにあった
レースのビデオを映してた。
ジロデロンバルディア。
イタリアだって。
ミラノを含む、長靴の付け根にある州。
今年109回目の開催。クラシックレース。

ヨーロッパではもう19世紀末には今みたいな自転車レースがあったんだって。
日露戦争の二年前の1903年には、ツールドフランスがはじまってる。

ラファに置いてあった雑誌に、古い写真が載ってた。丸いころんとしたヘルメットに、ニッカポッカみたいなパンツのレーサーたち。この人たち、いくつくらいかなあ。おじさんに見えるけど。
雰囲気のあるとてもいい写真だったよ。

日本の自転車といえば、1890年には鉄砲鍛冶屋だった宮田が国産を作りはじめて、その2年後には逓信省が自転車による電報配達をはじめてるんだそう。貴族や財閥の遊びから生活の足になっていったんだね。

ジロデロンバルディア、今年の優勝は地元イタリアのニバリ選手。
屈指のダウンヒラーなんだって。
空気抵抗をとにかく小さくするため、
サドルの前のフレーム部分に座り、ハンドルの下を握って身をかがめて、
恐ろしい速度で下っていく。
時速100キロにもなるんだって。
レース前日は大雨だったから、まがりくねった坂はびしょびしょ、路面はぼこぼこ。
カーブでは崖に落ちそうに膨らんでるけど、ビンディング外す気配もない。

ラファの店員さんがビデオ見ながら
「ニバリはちょっと変わってるというか、、、おかしいんですよね。」という。
そうだろうなあ。この走り、正気の沙汰じゃないもん。

落車、怖くないのかなとおもったら
この人はちょっと前のレースで
集団落車に巻きこまれてた。
で、そこから、リカバリーするのに
サポートカーに掴まって走って
失格になっちゃってた。

でも、自転車レースのカメラマンが
書いてた日記には
「落車やパンクからリカバリーするのに、車に掴まるのはよくあること」って。
たいていは審判も見て見ぬふりなんだって。
その時はしっかりヘリのカメラに撮されちゃったから、どうしようもなかったみたい。

なんにもわからない私は
自転車のレースなんだし
車にひっぱってもらうのは
やっぱりずるだよね、と思うけどな。

全長245キロのレースで
最後の50キロ地点に
最高27度の2キロに及ぶ激坂があったり
そのあとも峠3本もあったり
それを6時間少しで走り切るなんて
やっぱりおかしいよね、あのひとたち。

優勝を確信したゴール200メートル前で
ガッツポーズのジャージのおなかに
偶然飛んできた紙のイタリア国旗が
ぺったり貼りついたのがカッコよかったよ。

あれ?

どうなのでしょう、な客層に
片足つっこんだのか?

でも北参道は遠いから
おうちで火野正平の
こころ旅観ながら珈琲飲むのが、私にはちょうどいいな。


記憶の珈琲

2015-10-10 22:52:57 | 日記


電車2つ乗り継いで恵比寿まで。
薄曇りの土曜日、人波を泳いで
大通りから二つ折れた小さな通りに
人型の看板を見つけた。
急な狭い階段を上り
照明をぎりぎりまで落とした
店のなかに入る。
テーブルは満席、カウンターの女の手元から
煙草の煙が立ち上っている。

カウンターのなか、珈琲をネルでドリップしてる店主は
南青山にあった、大坊珈琲店で働いていた人。
豆を蒸らしつつ点滴のようにお湯を落とす様子は
まさに大坊氏そのまま。
そんなにたくさん訪れたわけではないけれど
あの印象的な姿は鮮明に覚えている。

この店も大坊珈琲店と同じく
手廻しのロースターを使い
自家焙煎している。
「時代遅れの」と書いてはいるが
そこには拘りと自信があらわれているよう。

大坊氏はもちろん
国分寺のねじまき雲 長沼氏
下馬のtocoro cafe 上村氏
六角橋の珈琲文明 赤澤氏
美味しい珈琲を紡ぎ出す店主の所作を
見ているのが好きだ。
一連の流れるような動きには無駄がなく
とても美しい景色。

ところが大坊氏に関しては
「見られてるのは苦痛だった」そう。
でも店を持つとき、
お客様に見えないところで何かするのは無しにしよう
と、決めたので
仕方なく視線に耐えていたのだとか。

そう言われるとやけに肩や腕に力を込めて
口元をぎゅっと結んで
淹れていたっけ、と思い出す。

ジノリのモノトーンの器で
ブレンドが運ばれてくる。
甘く濃いとろりとした味。
引き継がれるべくしてここにあるもの。






いぬのやるき

2015-10-08 18:27:06 | 日記
研修会で講演してくれたM先生は
「ポスティング犬」を飼っている。

生徒募集のチラシを近所に配っている時に
じぶんひとりで歩いてると少し不審がられるかもしれないが
犬が一緒ならば大威張りで「犬の散歩ですけれどなにか?」と
思う存分活動できるから。

ところがプロジェクタに映された多数の写真には
「ウェルシュコーギー」が。
あの短い足と長い胴体が特徴的な犬は
もちろん可愛いのは可愛いんだろうけど
ポスティング向きなんだろうか?
もっとちゃっちゃと歩きそうなトイプーなんかのほうがよかったんじゃないか?

それはそれとしてこのコーギーの「クッキーくん」は
たいそうお利口さんなのだそう。
ドッグスクールにも通ったらしい。
これは半分は先生がじぶんの仕事にも生かせるかもしれないと思って
参加したものなのだが
そこで体験したレッスンは

「じぶんで考えて行動する犬になる」

そんなことって可能なのだろうか。

具体的にはこんな感じ。

「部屋のどこかにあるティッシュの箱を欲しい時に持ってきてもらう」
ためのレッスン。

準備として「クリッカー」の刷り込みを行う。
カチッと音がするのだが、それが聞こえたらおやつを貰えることを教えておく。

広い部屋に無造作にティッシュを置く。
犬を部屋に放つ。
ちょっとでもティッシュの方に興味を示したら
すかさずクリッカーを鳴らす。たくさんほめる。
そうすると犬は「え?今なにがよかったんだろう?」と思う。
そしていろんなことを試す。
これかな?あれかな?
そしてとうとうティッシュの箱のところにたどりつく。
そこで飼い主はクリッカーを鳴らし「ティッシュ」と言う。
犬がした行動に名前をつけてやるわけ。
そうすると犬は「ティッシュ」と飼い主が言うだけで
部屋の中からティッシュの箱を探して持って来るようになる。

犬のポテンシャルすごいな。

別の先生の話になるが、I先生の家のヨーキー「ララちゃん」は
体験希望者がやってくると玄関まで先生と出迎えにでて
「さあママはお仕事ですよ、ララちゃんはあっちで待っててね」
というとさっさと別室に移動する。
「まあお利口なわんちゃんですね」と体験者がほめると
「大切なお子様をお預かりする仕事ですから、犬のしつけくらいは・・・」
という口上が鉄板となっていて、たいがいの体験者は即入会を決めてしまう。

話を戻すと、この講演、もちろん、犬がメインじゃなくて
幼児指導は手をだすんじゃなく目を配って良いところをすかさずほめるのが
ポイントだという話のほうが重要なんだけど
終わってから聴講した先生にアンケート書いてもらったら
「そのドッグスクールはどこですか」ってのが少なからずあって
ちゃんと聴いてくれたのか?!とぷんすか。
あ、違う違う、ちゃんと聴いてまともに書いてくれた先生を
評価しなきゃいけないんだった、と反省。

そして何年もかけてたったひとりのニンゲンのこどもに
ハンカチとティッシュを持って出かけるってことすら
刷り込めなかったじぶんも反省。
クリッカー使ったらよかったのかなあ。


do you know マッキー

2015-10-07 21:23:46 | 日記
サカモトさんの契約した人はみんな濃いですよね、
って新人営業ちゃんに言われて否定してみたものの
確かにあっちもこっちも濃いやつらばっかりだ。
何でだろうこんなに私うっすらしてるのに。

その濃いやつら代表、日吉地区を担うT先生。
遡ること10年前、それまで日吉にあった教室の先生が勇退することになり
そこに娘さんを通わせてた縁で後を継いでくれたのだが
とりあえず半年くらいは教材研究して、ゆっくり来春くらいからオープンしたいというのを
そんな悠長なプランとても上司に報告できない新人営業の私は
「すぐに夏休みです、夏休みが一番集客の勢いがあります、
教材研究もいいけど実戦のほうが絶対スキルアップ早いですから」って急かしたところ
T先生は上目づかいに私の肘を掴んで「じゃあ夏にものすごいたくさん来ちゃったら手伝ってくれます?」と言った。
もちろんです!!って言って無事に7月オープン、あれよあれよと人が集まり
約束通り私は夏休み通って保護者対応と採点を手伝った。
「ああよかった、これで娘の体操のレオタード買える!」とT先生は喜んでくれて私もほっと胸をなでおろした。

営業からドロップアウトして事務担当になってからも
T先生は何かにつけて私に感謝と親愛の情をあらわしてくれる。
おしもおされもせぬ大教室の大先生になったのに、こないだも昼休みになぜかふらっと押しかけてきて
喋ってるうちカメラ仲間なことが判明した。
撮った作品を見せてもらったら、まあなんとふんわりガーリィな写真たち。
ご本人はさばさば男勝りな人なのでギャップに萌えた。
写真展などもやってるそうなので、じゃあ次はお互いの展示を見にいきましょうってことになった。
って言ったって私の方は師匠の展示会の端っこにちょびっと貼らせてもらうだけなんだけど。

そして今日、研修会で後進指導の謝礼をお渡ししたら
「ああよかった、これで娘の卒業式の着物買える!」と喜んだかとおもったら
「そういえばサカモトさんの写真の先生って何て言いましたっけ?」と言うので
「川名マッキーです」と言ったら「あ!やっぱりそうですよね!今度紹介してもらうんです。友達が知り合いで。」
そ、そんなに狭いのか世界、っていうか、うちの師匠そんなにメジャーなのか!すごーい!

10年の間にT先生は着実に会員を増やし教室を移転し後輩にも頼られ
そんな多忙ななかで趣味を楽しむことも忘れずキラキラ生き続けてる。
一方の私は10年のうち最初3年でT先生初め個性的で独創的で印象的な先生と
たくさん契約し事務ちゃんに転向してからは仕事の負荷が減ったぶん
育児や遊びを楽しめる毎日。キラキラしてんのかはわからないけどハッピーな日々。
そんなT先生と私をだめ押しで繋いでくれる師匠の川名マッキー氏。
こういうおもしろいことがあるから人生楽しい。





ぎっちょなグーフィー

2015-10-06 18:42:11 | 日記
「あれ?逆じゃない?」
先日のお菓子教室でクレームダマンドをうきうき作ってたら先生にそう言われて
良く見たら先生の木べらは時計回りにぐるぐるしてた。
右手で持ったら普通時計回りだよ、って言われてはじめて
自分が逆回転なことに気づく。
試しに時計回りにしてみたらそれはそれで問題ないけど
どっちが違和感ないかっていったら逆回り。

利き手は右なんだけど利き足は左なんだなって
知ったのは小学生、ゴム跳びがきっかけだった。
右足ひっかけてからはじめると全くだめで
左足からやってみたら上手くいった。
厳密に言えば手のほうも、お箸は断然右手だけど
紙なんかを数えるのは左手の方が早かったりで
どっちも使えるといえば聞こえはいいけど、どっちも使えないってことでもある。

私みたいのをグーフィーって言うんだよって教わって
調べたらサーフィンやスノボの言葉みたいだった。
右利きの人は軸足の右を後ろで立つんだけど
左を後ろにしたほうが安定する人をそう呼ぶそうだ。
語源としては「ちょっと変」って意味らしい。
ほんの少しだけ「ちょっと変わっててカッコイイ」的な
ニュアンスもあるんだって聞いて嬉しくなった。
だけど「パソコンがグーフィーで」って言ったらそれは
動作がうまくいかなくなってることだそうで
やっぱり全然カッコよくはないんだった。

生き物全般に右利き、左利きの区別があるが
その他の生き物はだいたい半分ずつ存在するのに比べ
人間だけは右利きが90パーセントを占める。
これは社会に適応するのに、同じ規格じゃないと馴染めないから
というのが理由なのだそう。
左利きの人の脳みそは、左右の機能が右利きの人と反対になってるか、
言語脳と空間脳が左右の両方にある(右利きの人は片側のみ)。
一概にどっち利きのほうが優れた脳みそだとはいえないけど
右脳のほうが左脳より弱いから、左利きの人には
特有の病気にかかりやすいというデータがあるらしい。

小さい時に友達とごはんを食べてて
「あんた、ぎっちょだね!」と言われてものすごく驚いたことがある。
友達の母親がすかさず、「違うわよ、あんたがぎっちょなのよ」と言った。
友達は左手でお箸をつかんでおり、左隣の私のお箸としょっちゅうぶつかるんだった。
でも当時の友達との力関係からすればおそらく私がぎっちょなんで間違いなかったし
もしかしたら友達は今も左隣の右利きを睨みつけてるかもしれない。
そして私はその時の言葉の勢いの恐ろしさを忘れられず
未だに友達のことも「ぎっちょ」って言葉も苦手である。

お菓子教室の先生は、木べらで混ぜる分にはどっち回りでもいいというし
教室にはちゃあんと左利き用の包丁が用意されてる。
社会の規格に人を合わせるのはそれこそちょっと変。
左利きがカッコいいとか天才とかいうのもちょっと変。
小さな子に「左利きはおかしいから治しなさい」って言うのはすごく変。

反時計回りの味のクレームダマンドをこれからも作ろうと思う。
あ、時計回りで作ってみて味の違いを探そうかな。