そこは外国人等が多く住むマンションだった。
やたらと大きなマンションだった。
その頃には珍しいセキュリティのしっかりしたマンションだった。
記憶にあるのは2階の部屋だった。
天井が高くやたらと広いマンションだった。
トイレが2つありお風呂も2つあった。
リビングダイニングはゆうには24帖以上はあったと思う。
天井から床までの大きな窓があった。
キッチンは外国人仕様なのか日本人が立つにはいささか高かった。
キッチンに続いてアイロンをかけたり洗濯物をたたむスペースもあった。
とにかくどこもかしこも外国人仕様だった。
ゴミはダストシュートなるものがあり、そこからほうり投げると下の階のゴミ置場に通じるのである。
廊下にはクローゼットのようなものがあった。
突き当たりは麻雀部屋だった。左手の部屋が唯一彼女の部屋だった。
右手の部屋は主と主の内縁の夫の部屋だった。
私には突き当たの麻雀部屋が寝床にあてがわれた。
廊下のクローゼットのようなところから布団を出された。
その日から私は付き人とは名ばかりのお手伝いさんとして昼夜なく働くことになるのだ。
はじめて親元を離れたのだ。
他人の飯を食うのだ。
馴れない仕事に話と違う仕事に朝から晩まで辛かった。