野球の世界では、『失投』というのがありますね。
どんなに好投を続けていても、たった一球の、甘く入った球を打たれて、勝敗の分かれ目になっちゃうような、球。
政治家の世界にも、『失言』というのがあって、たった一言で、一線から退かなければならなくなる人も、過去にたくさんいました。
わたしにも、明らかな、『失言』の思い出が、たくさん、あります。
当時、付き合っていた女性と、初めて旅行へ行って、帰りのバスにて。
『あなたとは、二度と旅行にはいきたくない』
私の言葉の後、その女性は、静かに涙を流しました。
これは言い過ぎたな、と思ったけれど、『発言を撤回』します、なんて、便利なシステムもないし、うろたえてしまいました。
ただ、私の記憶では、その時、謝罪はしなかったと思います。(ひどいよね!)
私にはそれが、真実だった、というのが、その時の感情です。
当時、彼女とは遠距離ではなく、まさに至近距離恋愛。毎日のように顔を合わせていたし、無理して旅行へ行くこともないと思っていました。そして、『二度と旅行へは行きたくない』とは言ったけれど、『あなたが嫌いです』という意味で言ったつもりは、ありませんでした。
ただ、物は言い方ですよね。
『あなたとは、二度と旅行へは行きたくない』と言っておきながら、でもあなたが嫌いになったのではないですよ、という気持ちは、わかってくれるかも、みたいな、淡い期待は、単なる幻想でした。
私は、当時彼女と一緒に暮らしたいと、切望していました。ちなみに、『旅行』は、そもそも、私は好きではないのです。『日常の暮らし』の方が、好きなのです。
『旅行へ行きたい』という彼女の要望に応えるような形で、行った旅行。楽しい旅行でしたが、最終日、思わぬ予定変更等のハプニングがあって、彼女がイライラしてきたのがわかったので、私もつい苛立ってしまったのでした。その後の二人の関係は、言わずともご想像がつくと思います。もうはるか昔の話ですが。
言葉は、気を付けなければ、ならないのだ!!!