さて、一人ぼっちになった子猫は、それでも毎日うちにご飯をたべにきていた。
けれど、全くなつかない。
そばに寄ったら、シャーシャーとそれはそれは恐ろしい顔で威嚇する。(それがまた可愛いと感じるなんて、猫飼いは、みんなマゾです)
どうしよう?
そこで思い出した。
京都にはゼロの会、という、外猫保護団体があるのだ。
すぐに電話をして、猫の捕獲器を借り出すことにした。
捕獲器とは、網の四角い箱で、なかに餌を置いておいて、餌が動くと、バンッと入り口が閉まるという、古典的なものだ。
早速、チクワのなかに、ウェットフードを詰めて、捕獲器の中に置いてみた。
案ずる間もなく、子猫はあっという間に捕まりました!
そのままゼロの会に連れていき、さっさとノミの駆除と予防接種をしてもらう。
そのゼロの会の方が言った。
あら、かわいい顔してるやん。
柄は、ちょっとザンネンやけど、でも、白・黒・茶だから、三毛猫よね。
この子って、三毛猫だったんだ~!
ぞうきん柄だと思ってました、ごめんね。
ただ、捕まえてすぐに、こんどは注射しちゃったのが、いけなかった。
私は、「いたいけな子猫をヒドイ目に合わせた、ひどいヤツ」という認識が、子猫の中に出来てしまったのだ。
家へ連れ帰ると、さっそく夫が「ぴ~吉」と名前をつけた。
夫は子猫に何も悪いことはしていない(つまりは、関わっていない)ので、やたらと子猫に受けがよかった。
私が抱き上げようとすると、それこそ必死の形相で逃げまわるくせに、夫が膝に乗せると、くぅくぅと心地良さそうにのどを鳴らす。
き~っつ!
なんか、ムカつくっつ!
ところで、代々うちの猫たちには~吉がつく。
ポン吉
福吉
マミ吉・・・などなど
春にやってきたから(ちょうど今頃の、桜の満開の頃でした)、ピンク色、ピンク色だから、ぴ~吉、という安直さ。
でもね、うちには「ぷ~吉」がいる。
「ぷ~吉」とか「ぴ~吉」とか、分かりにくくていけない。
しょうがないから、特例で、その子の名前は、吉のつかない「さくら」となった。
ー続くー