2年前の春のことだ。
夜中にゴミ出しに表に出た。
家の前は高瀬川だ。
木屋町通にそって流れる、小さなちいさな人工の川だ。
その時は、水が止められていて、川底が見えていた。
ふと川のほうを見ると、川岸にキトラのネコがいて、こちらを見ている。
緊張している感じだけれど、逃げる気配はない。
あれ?おっぱいが大きいぞ。
お母さんネコかな?
視線を返して、川底を見ると、そこには小さな子猫がうずくまっている。
ああ、落ちちゃったんだな。
体が小さすぎて、上に上がれないんだ。
だから、親猫が、動かないんだな。
こういう時の決まりごとで、とりあえず、家から猫缶を持ち出した。
餌でなんとか落ち着かせよう、という作戦だ。
パカンと缶を開けて、中身を差し出すと、親猫が飛びついた、というか、文字通り、ジャンプしてきた!
お腹が減ってるんだな・・・
川底に降りて、子猫にも、猫缶を与えると、こちらは、ウ~ウ~、と小さな声を上げながらむしゃぶりついた。
ああ、なんとか離乳できてるんだな。
親子でお腹をすかせていたんだな。
どうしてやったらいいのかな。
子猫がご飯を食べる様子をしばらく見ていた。
ふと視線を感じて見上げると、親猫が、また、こちらを見ている。
しばらく視線がからんだ。
すると、親猫が、「おねがいね」と言ったのだ・・・。
親猫は、ゆっくりと背を向けて、去っていった。
あの・・・もしもし?
ちょっとってば・・・?
川床に残された子猫と私。
どうしよう?
ー 続く ー