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『E.T.』

2020-10-03 08:31:34 | 日記

『E.T.』が“不朽の名作”と呼ばれる理由 コロナ禍だからこそ感じられる新鮮な響きも

視聴者からのリクエストで放送作品が決まる『金曜ロードSHOW!』(日本テレビ系)リクエスト企画第3弾で、映画『E.T.』が10月2日に放送される。1982年公開、言わずと知れたスティーヴン・スピルバーグ監督の屈指の名作で、世界中で大ブームを巻き起こしたSFファンタジーだ。10歳の少年エリオット(ヘンリー・トーマス)と、300万光年の彼方からやってきて地球に取り残されてしまった宇宙人E.T.とのピュアで不思議な友情が描かれる。  公開当時史上最高の興行収入を記録した本作だが、まず当時宇宙人を「侵略者」としてではなく「友人」という共存できる相手として描いた点が新しい。

外見はもちろん、育った環境、言葉も全く異なり一見「共通認識」が皆無かに思われる相手と、少年が心を通わせていく。  シワシワの外見にギョロっと大きな目と、一目見れば忘れられないあまりに特徴的な風貌で、必ずしも万人に好意的に受け入れられる見た目ではないが、少年エリオットやその兄妹と同じく視聴者にとってもE.T.が敵対する存在ではないどころか、興味深く感じられ徐々に愛くるしい存在に思えてくるから不思議だ。子どもの固定概念のない真っ新な感性、直感・嗅覚の良さ、何より旺盛な好奇心で、究極の他者である未確認地球外生命体という存在と共生し理解を深めていく。

この2人の融解が相手のことを「知ろう」とする気持ちさえあれば、関心を寄せ合うことができ唯一無二の友人にさえなり得るということを教えてくれている。また「未知との遭遇」時、大人よりも余程子どもの方が柔軟に対応できることが対照的に描かれる。  さらにE.T.とエリオットは同じことを感じ、シンクロするようになっていくのだが、これもまた一つの理想、我々の願望を見せてくれているように思う。全くの他人が自分と同じ気持ち、感覚を共有してくれる、言葉を交わさずとも自身も目の前の相手の感情が手にとるようにわかる。「自分は一人じゃない」という抜群の安心感、「一人じゃなくて、二人で一つなんだ」という万能感は凄まじいことだろう。「自分を受け入れてくれ、相手も自分を必要としてくれている」という存在がいることによってもたらされる自己肯定感は計り知れない。多感な時期こそ、自分が世界から一人取り残されてしまったかのような疎外感を抱いたり、周囲に味方がいないよう感じられることもあるが、まさにエリオットの心情とE.T.が置かれた状況が重なっており放っておけなかったのかもしれない。  

「君を守ってあげる。一緒に大きくなろう」というエリオットからE.T.に向けられた言葉は、一方的に「保護する側」と「保護される側」という構図ではなく、自分も含めた2人の未来に対して発せられたものだろう。   E.T.が何度も発する“Home(ウチ)”という言葉も、このコロナ禍に観るからこそ新鮮な響きを伴って感じられることがある。Homeに帰ることをひたすら望むE.T.が、Homeから気軽に出かけられない我々に「帰れる場所が当たり前にあること」のありがたみを教えてくれているようにも思える。  

せっかく仲良くなれた親友が、ここではないどこかに帰るべき場所があり、それを望んでいると知ったエリオットは、その事実をすんなり受け入れられたのだろうか。そこに葛藤があったのか否かはっきりとはわからないくらいに、エリオットは自然とE.T.が宇宙船と交信するための通信機器作りに協力する。  NASAの人間に追われながらも、ある意味何の義理もないE.T.のために走り出さずにはいられない。気がつけば自然と手を差し伸べている、少しでも役に立ちたい、相手の希望を叶えたいと無心で自転車を漕ぎ続けた結果、あの少年たちが空を飛ぶシーンが待ち受けているのだ。「空を飛びたい」とは幼少期誰もが一度は願ったことのある夢の一つだと思うが、自分のためではない誰かのために必死で駆け抜けた結果にそれが叶うのもまた示唆に富んでいる。  

ラストには、エリオットがさらにもう一段人間的な成長を遂げるシーンが描かれる。どんなに心通い合う相手だとしても、それぞれに「居るべき場所」や「待っている人」がいて、四六時中一緒にいられるわけではないことを理解した上で、距離が離れていても互いに心で繋がっていられることをラストシーンで自然と受け入れるのだ。  

人類がこれまでの活動を一旦ストップさせることを余儀なくされ、ソーシャルディスタンスによって他人どころか自分以外の全ての人との距離が保たれてしまっている今、“未知との遭遇”がなかなか起こりづらい環境下だからこそ見えてくる、本作が不朽の名作と言われる所以を確かめてみてほしい。

最後まで見たのは初めてかもというか自転車で月の前を飛んでるイメージしか頭の中に残っていなかったかも

じっくり観てしまいしまいました。