特殊清掃「戦う男たち」

自殺・孤独死・事故死・殺人・焼死・溺死・ 飛び込み・・・遺体処置から特殊清掃・撤去・遺品処理・整理まで施行する男たち

くる年

2007-01-01 09:00:32 | Weblog
元旦からのブログ更新。
はたして、読んでくれる人はいるのだろうか。
新年早々、縁起が悪いので、避けられたりしてね。
それでも、まぁ仕方がないか。

しかし、まずは、
「2007謹賀新年」
「明けましておめでとうごさいます」

昨夜は久し振り(二日ぶりだけど)に深酒をした。
テレビもつけずに静かに飲んだ。
この時季は、にごり酒(どぶろく)がうまい。
品質の割には、安価で手に入るしね。
そんな正月でも、私の場合は、お節料理もなければ雑煮もない。
正月の飾り物も一切なし。
当然、お年玉もない。
もう、そんな暮らしには慣れている。

私と同様に、ゆっくりと正月休暇がとれていない人もいれば、正月祝どころではない事情を抱える人もいるだろう。
それぞれの人が、それぞれの荷を背負って生きているのだろうから。
私なんかより重い人間苦を背負っていても、強く明るく生きている人もいるだろう。
そういう人の爪の垢でも、煎じて飲みたいくらいだ。

何はともあれ、新しい年が迎えられる幸せに感謝しよう。

そんな世間はせっかくの正月気分、辛気臭いネタは避けたいところだけど、本ブログは人の死に焦点を当てて書いているもの。
お祝い気分にマッチする記事がなかなか書きにくい。
「雰囲気の読めないヤツ」と思わないでほしい。

今日の東京は晴。
朝から気持ちのいい青空が広がっている。
普段は、東京の空気は汚い。
黄色っぽく濁っている。
しかし、冬の空気は澄んでいる。
空も青く晴れ渡り、他の季節では眺めることができない遠くの景色まで見通せる。
高い場所からは遠くの山々の上に頭をだす富士山も見える。
朝の白い富士山も、夕暮れの黒い富士山も絶景である。
なかなか旅行にも行けないような暮らしをしているけど、広い景色が見えるだけで気分も澄む。

ただ、いくら気分は澄んでも、自分の将来までは見通せない。
「先のことが前もって分かるのいいのになぁ」
そんなことを妄想することがしばしばある。
先のことが分かると便利なことが多い。
将来の不安に怯えなくてもいいし、降りかかる災難を避けることもできる。

しかし、どうだろう。
「人は、先のことが分からないから生きていけるのかもしれない」
とも思う。
先のことが分かってしまうと、生きる意欲をなくし、短絡的・虚無的な生き方に陥ってしまうかもしれない。
夢や希望も持てないから、向上心を持って努力したり忍耐したりすることもなくなるかも。
特に、自分が死ぬ時のことは知りたくないものだね。

幸か不幸か、今日は特掃業務はない。
んー、この場合「幸か不幸か・・・」ではなくて、やっは「幸」だろうね。
正直なところ、大晦日と元旦の特掃は避けたかったのが本音だし。
だだ、昨日(大晦日)は避けられなかった。
そしてまた、
「この年末年始中に孤独死してる人もいるんだろうなぁ」
「誰にも気づかれないまま、一人で腐乱してる人もいるはずだよな」
等と、常人では思いつかないようなことを考えてしまう、どうしようもない私なのである。
やっぱ、ビミョーな仕事だね。

ちなみに、既に昨年からの特掃予定(予約)が何件か入っている。
正月休みを挟んでいるとは言え、事前予約が何件も溜まるというのは珍しいパターン。
先が読めないところに死体業の面白さや緊張感があるのに、これじゃ、仕事をやる前からカラータイマーが点滅しそうだ。

昨年も色んなことがあったように、今年も色々なことがあるのだろう。
いい事も、そうでない事も。
ただでさえ弱い私は、凹むことも多そうだ。
不安と期待に血が騒ぐ。

澄んだ空気に、青く晴れ渡る元旦の空。
その下に佇んで思う。
「俺は・・・俺は生きるよ」

「特殊清掃 戦う男たち」を今年もヨロシク。
願わくば、2007年が私達にとって幸多き年であることを祈る。




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