中年男性が電車事故で死んだ。自殺ではなく、事故らしい。
検死も済んで遺体は自宅に戻ってきていて、出血がひどくて特殊清掃の依頼が入った。遺体はまだ部屋に安置されていたのだが、汚れた部屋に安置しておくのは遺族も偲びなかったのだろう。
遺体の取扱いは一応手馴れているので、作業ついでに葬儀社が用意した柩に故人を納めてあげることにした。
「ヨイショ!」と持ち上げてみたら以外と軽い。身体を柩に納めたら、遺族から
「あのぉ・・・足が・・・」と。
故人が安置されていた場所を見ると、片脚が敷布団の上に残っている。「ゲッ!片脚がとれてたのかよ!」「先に言っといてくれよ!」と内心動揺。場が場なだけに、笑ってごまかす訳にもいかず、平静を装って、再び残った片足だけうやうやしく手にとって、柩へ納めた。特殊清掃で部屋をきれいにするのが仕事の私が、余計に部屋を汚してしまった。まったく気まずかったし、格好つかなかった。
でも、その時、「所詮は人間でも動物なんだな。見た目には人肉も人骨もビーフやチキンと変わりないじゃないか。」と思った。しかも、当日は焼肉が食べたくなってしまった(さすがにこの神経はおかしい?)
そんなことがありながらも、相変わらず私は肉を好んで食べている。思い出しても気持ち悪くない。
死体を取り扱う仕事は、それだけ神経太くないと務まらないと勝手に自負している。
社会的にも認知されず、誰も誉めてくれないので、自画自賛するしかない。
トラックバック 2006/05/30 投稿分より