眞ちゃんち

クラリネット奏者 橋本眞介Blog

安学定期デビューと訃報

2016年06月05日 | Weblog








安城学園高校吹奏楽部定期演奏会2日目終了!
ゲネプロ前に生徒達と少しだけ話をした。
話をしたと言ってもこちらから一方的に話をしただけではあるが。
ここでの吹奏楽の現場において音楽をやる事だけが全てではない。
生徒みんなわかっているとおもう。
全てブレないで一生懸命前へ進もうと。
これは自分にも言い聞かせる。

14時から本番。
オープニングのガランテが迷い無く鳴り響く。
今年度の吹奏楽コンクール課題曲を4曲を解説付きで演奏。
お客さんは中高生だけではなく課題曲を知らない一般のお客さんも多いので初めて聴く曲のアプローチにも努めた。
最後は過去の思い出に残る名課題曲である風紋、インベンション第1番、カタロニアの栄光。
合唱曲とマーチングステージとおかげさまでお客さんも大盛り上がり。
僕にとっては安学吹部での大きな本番デビューとなった。
ここの学校とは3年目になる。
3年前のクリスマスイブの日、安学のクラリネットアンサンブルを見て欲しいというのがこの学校に来るきっかけになった。
その頃の写真

まだいつきが2年生。

今日は沢山のご来場ありがとうございました。
これからも面白い企画を展開していきますので。
また来年2月に定期演奏会を予定しています。

昨晩、東京の母が亡くなった。
母といっても血は繋がってなく、大学時代に大変お世話になった中華料理店のおばさんである。

貧乏だった大学時代、ふと江古田の街を歩いていると音大近くの中華料理屋「長寿軒」に「バイト募集時給650円賄い付き」の張り紙が。
迷わず「皿でもなんでも洗いますので雇ってください」と駆け込んだ。
当時の店主のおじさんが今忙しいから店が終わってから来てな!と。
夜、店が閉まりかける頃、もう一度訪れると、おじさんが、ホレこれ美味しいから食べな、とホカホカの青椒肉絲飯を出してくれた。
しばらくこんな美味いものを食べてなかったのか、涙こそ出なかったがかなりジーンときた。
もう一度「皿でも・・・」とい言いかけると
「うちはね~店を新しくしたついでに業務用の自動食洗機を買ってね~」とおじさんが自慢。
でもあんたのその気持ち嬉しいから明日から来な!と。
あんたはバイト第1期生、ついでに音大の同期でも後輩でもバイト生欲しいから誘ってきてくれんかねと。

管楽器ばかりだが同期5人のバイト仲間が決まり昼、夜、もっと夜、とシフトを決め長寿軒でのバイト生活が始まる。
朝授業を受け昼バイトし授業を受け夕方練習し、また夜バイトまた練習というスケジュールも多かった。

賄い付きなのでお腹が空く心配がいらない。
いつも美味しいホカホカの中華料理を出してくれる。
バイトがキツイ時は練習時間が短くなる。
油まみれの手で楽器が滑る。
さらう時間が短いなりに能率よく練習する事も覚えた。
長寿軒のおじさん、おばさんからバイトが暇な時は色んな人生勉強な話を聞かせてもらった。
私たちを東京の親だと思って接してくれていいからと言ってくれた。
非常識なバイト代の前借りも良くしたし、バイト日じゃないのに食わせてくれたりもした。

おじさん、おばさんは店を長く続ける以外特に大きな夢はなかったが僕たちに大きな夢を見させるよう仕向けてくれた。
バイト生は後に僕が在学中に広響が決まりホルン望月は大阪センチュリー交響楽団へ、後輩ファゴットの森は東京フィルへ、他の同期や後輩達も音楽教員になっていった。

この長寿軒は、のだめカンタービレに出てくる中華料理店「裏軒」のモデルになり
雑誌の「るるぶ東京」で「あの裏軒を探せ!」コーナーで一躍有名になるが常連客以外が店にごった返しおじさんが8年前に調子を崩し亡くなった。
それからおばさんが独り身になり店を閉めることとなった時、長寿軒へ出向きおじさんの供養をし、おばさんと色んな話をした。
あのバイトから18年くらい経っていただろうか、全然変わらないおばさんに学生時代の感謝を申し上げお互いこれからもまた頑張ろうねと別れた。
年賀状のやり取りであれから会えてないおばさんが昨晩白血病で亡くなった。
天国のおじさんの元へ行き厨房で元気に働いている姿が浮かぶ。

今日の本番で思い出すと集中できないので、ワザと思い出さないよう我慢した。
本番後、1人酒を飲みながらおばさんを思い出しています。

おばさんの口癖
しんちゃん!やると決めたらトコトンまでよ!
でも身体には気をつけてね!

今頃その言葉が身に沁みます・・・