4月1日の朝日新聞は天声人語を担当してきた2人の記者のうちの一人、富永格(ただし:56)氏が交代し、かって特派員として駐在したパリへ赴任すると報道した。天声人語担当は6年間に及んだそうだ。おつかれさまでした。毎日書くのは大変でしょう。
天声人語は2人が担当し、もう一人の記者、福島申二(56)氏は留任される。この記者は社会部、ニューヨーク支局などを経て、2007年4月から6年も執筆している。天使人語は朝日の看板コラムなので、この覧の担当記者は敏腕の書き手なのだろう。
級友のひとりも朝日を取っていて、天声人語と投書欄のいつくかは必ず目を通すと言っていた。どの読者も同じだ。
天声人語は起承転結型文章スタイルの模範だ。起は書物から卓抜なキーワードやことわざから枕言葉を拾うことが多かった、承で本論に入る場合が多い。
少しマンネリもとも思ったが、600数文字を丁寧に埋められている。読売の「編集手帳」は約半分の字数なので、いきなり本論に入るので、これはこれで読みやすい。卒業された記者の別れの言葉がが良かった。
”あまたの別れを残して、春がたけていく。出会いなくして別れなし。出会いを悔やむほどの感傷ではないが、小覧との別れは過去との別れとは別物である。最後に、わすれ難き方々について少しばかり。”
と、読者との交流の思い出が書かれ、そのひとり3年前34歳で乳がんに倒れた娘さんの両親ご夫妻との思い出から始まった。
記事が縁となり、この亡くなった娘さんの埋葬祭に参加されたらしい。その後手紙の交流が続いていたようだ。
”34歳で乳がんに倒れたその人は、母親として男の子に走り書きを遺していた。「いっぱいおでかけにつれていってもらうんだよ」。大丈夫、ご覧のとおりです。”
ご覧のとおりです、とはこの男の子の写真でも同封されていたのだろうか。
「いっぱいおでかけにつれていってもらうんだよ」、この娘さんが愛児に遺した言葉が良い。ついウルウルした。
マラソンの円谷選手が遺した言葉、「三日、とろろ美味しゅうございました」。正月に郷里に帰省し、姉夫妻の家庭に招かれたお礼の遺書。両親には、「父上様、母上様 幸吉はもう疲れきって走れません」との遺書が有名になった。
「いっぱいおでかけにつれていってもらうんだよ」、命、終わる時その言や良し 。
これ以上の哀切極まりない遺書はない。印象的なお別れコラムだった。新任地パリでのご活躍を期待したい。
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朝日は4月から編集が変わり、社会面は毎日、読みたくも無い名古屋市市長選の解説等が半分以上を占め、一般社会面記事はほとんど割愛され新聞の用をなさない。独善的過ぎる。