僕は無神論者として、これからの人生を生き抜くことにした。というよりかねてから、そう考え、行動してきたのだが、教師という仕事を失ってからの数年間に、自分が無神論的に生を生き抜くということさえ、頭に中に浮かんでこなかったのが現実である。その期間は6年に及ぶ。永い空虚な時間であった。生きるための指標を喪失してしまったのであるから、何かに頼る必要が出てきた。前にも書いたが、僕は二つの新興宗教に出会い、一つはインチキ宗教である、と皮膚感覚で感得した。そしてそこから逃げ出した。故影山民夫や歌手・タレントの小川知子が信仰している宗教である。インチキというと言い過ぎかも知れないが、僕の体質に完全に合わなかった。ある著名人が過去の誰それの生まれ変わりであるというようなことを平気で語り合うのである。僕はヘラヘラしていたが、強い違和感も同時に抱いていた。もう一つの宗教は、これは僕を救ってくれた宗教であるから、実名を書いてもいいだろう。それは反対の立場の方もいらっしゃるだろうが、生長の家という宗教である。故谷口雅春氏という天才的宗教教祖というより、宗教的天才的文筆家といまは僕は称したいのだが、彼の「生命の実相」40巻はこの宗教に関わりのない人でも一度は読んでおかれるとよいと思う。結局僕は結論的に言うと、この宗教にも浸りきれなかったが、この宗教空間は実に誠実で良き人々の集まりであった。僕は結局、この人たちに助けられて、無神論者として立ち直ったのである。少しパラドキシカルな言い方だが、それが真相である。僕は無神論者として、これから生き続けるであろう。もう宗教は必要ない。そして、僕はカウンセラーという仕事を続けられる限りやるだろう。何かを完成させるためではない。僕のこれまでの人生で得た洞察の力と心理学の知識と人を信じる強さとを生かしながら、カウンセラーの仕事に命果てるまで繋がっていくことだろう。そして、僕にも唐突な死が訪れ、僕の人生の仕事は終わるのである。無神論者の死は、ある時、無意味にやってくる。そして無神論者は自らの仕事を終える。それでいいのである。これこそが無神論者として生を生き抜く、ということなのであるから。
〇推薦図書「生命の実相」谷口雅春著。日本教文社。40巻。税込みで一冊1000円の本ですから、宗教的名作という観点から見れば読む価値はあると思います。初めから宗教はイヤーという方でもこの本は読めます。それだけの強い筆致で書かれた名作です。
〇推薦図書「生命の実相」谷口雅春著。日本教文社。40巻。税込みで一冊1000円の本ですから、宗教的名作という観点から見れば読む価値はあると思います。初めから宗教はイヤーという方でもこの本は読めます。それだけの強い筆致で書かれた名作です。