ヤスの雑草日記(ヤスの創る癒しの場)

私の人生の総括集です。みなさんと共有出来ることがあれば幸いです。

○もどかしい!ということを再考してみるとね・・・

2011-01-26 14:19:59 | Weblog
○もどかしい!ということを再考してみるとね・・・
 辞書的定義はさておき、僕の裡なる、もどかしさの定義とは、ある意味簡単極まりない。自分の中には新たなアイディアが湧き起っているのに、また、それをいますぐにでも実行したきことこの上ないのに、いかんせん、自分をとりまく状況がついて来ない。いや、実はそういうことではないのかも知れない。すべては、自分。自分の焦りが、ものごとの進行を遅延させ、それどころか、物事の入り口を狭めているのだ。近頃、自己規定のやり直しをなすべきなのか、と心底、思うようになった。
 かつての、もどかしい!とは、前記したような、まわりが自分の思考のスピードについて来ないという苛立ちそのものだった。しかし、よく考えてみれば、僕のような突進型、突進して傷つき果てて倒れたらそれまで、などと考える人間の方が、いまどきめずらしいのだろうか、とも思う。自分の生きる姿勢こそが潔いと思い込んでいたが、潔さのかたちなどは、幾通りもあってしかるべきだろうな。一見して、以前の僕には、単なる自己保身に凝り固まっているとみえた人々だって、実のところは、その人々なりの潔き生き方を実践しているだけで、それを、僕の勝手気儘な価値観で切って棄てるなどというのは、傲慢の極みだろう。
 あらためて言うが、自分も含めた人間観の見直しの必要性に僕は迫られている。今日は、そういう告白の書だと考えていただければ幸いかしらん。
 このような人間観の見直しという意味において、僕にとって、象徴的な男がいる。長年付き合いが途絶えている大学時代の同級生の一人だ。正直言うと、大学の頃から、つるんではいたにせよ、僕はその男のことが嫌いだった。理由は、とりわけ僕に対して、背伸びをしていて、どう考えても知りもしないことを知ったかぶりするような個性に嫌気がさしていたのだと思う。ずっと昔に暴力という概念すらも棄て去ったはずなのに、何かの拍子にその男の胸倉をつかんだことがある。温厚なもう一人の友人に止められなかったら、ひどいことになっていたと思う。これは象徴的な事件だっただけで、彼との距離感、関係性は、ずっと変わらずにいた。卒業の年の1977年は、結構な就職難の時期だった。僕自身は何とかくぐり抜けたが、(それがよかったのかどうかという判断をすれば、確実によろしくなかったという結論に行き着くが)彼は、楽々と、そう、あの時代に、楽々と、縁故採用にて、大手の通信関係の仕事に着いた。世の中の不条理と不公平さに胸糞が悪くなるばかりだった。どう控えめに見ても、彼はチャラけて見えた。軽蔑の度合いはますます強くなった。
 しかし、いまにして思えば、彼が無理をしながら背伸びすることの苦痛を、僕は理解してやれなかったのだと思う。無論、彼自身にも問題はあったよ。彼は、自分を繕うことが身に沁みついているような男だったから。当時の僕はそのことに苛立つばかりで、何故彼がそういう心境から自由になれなかったのか、ということには思いが至らなかった。彼の人生観のコア―を言い当てるなどということ自体が傲慢だとするなら、いまは、素直に彼の苦痛を理解してやれなかった自分の傲岸さと怠慢さを猛省するばかりである。たぶん、もしいま彼に出会ったとしても、彼の持ち味は昔のままだろう、と思う。しかし、それを責めることなど僕には出来ないし、なによりも、僕自身が自己変革の途上にあるだけのことで、現実は、かつての自分と何ら変わり得てはいないからである。その意味で、お互い様だ。しかし、いまは、お互い様だ、ということくらいには彼のことを認めることが出来るし、彼には彼の変わり得ない事情があったことも推察出来る。そもそも個性化された人格なんて、これは難儀なもので、いくらもがいてもなんともならん、ということだって決してめずらしくはないんだから。
 これまで自分の硬質な個性にあまりにこだわり過ぎて、失ったものも多い。本来ならば、歳喰ったな、などと語り合いつつ酒(僕は下戸なので、ウーロン茶で)でも酌み交わしながら、残り少なくなった生のありように、なにかしらの意味づけをなす試みを、いまはどこで生きているかも知れない、幾人かのかつての友たちと共有できたのかも知れない。また、そういう関係性の混じり合いの中で、お互いに発見すべき人生の真髄に触れ得たのかも知れないのだろう。後悔先に立たず。もどかしい!という言葉を、いま鬱屈した胸から絞り出すとすれば、かつての誤謬に満ちた潔さなど僕はもはや信じてもいない、と誰それに伝えきれない、という意味のもどかしさなのである。今日の観想として書き残す。

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