日々のできごと。生物準備室より

理科教育、生物教育に関して考えたことをぼちぼち更新。たまに授業実践報告をします。

形成的な評価のために

2017-03-09 18:32:17 | 最近読んだ本

名著復刻 形成的な評価のために

クリエーター情報なし
明治図書出版


1986年に刊行された書籍の復刻版。
復刻版だけあって、時代を考えながら読む必要がありましたが、
現在にも通じることはたくさんありました。 

 

<気になったところだけメモ>

 

P17 2 形成的評価の理念と思考
 L8 「まとめの評価、行き止まりの評価ではなく、そこからまた何かが始まっていくような評価、指導や学習の当面する課題や方向性等を指し示すような評価が、ここでは志向されている。別の言葉で言うならば、教師の側で持っているねがいやねらいの実現を目指す活動の中で、子どもがほんとうに変わっていきつつあるかどうかを見てとり、それを手がかりにして、ねがいやねらいがよりいっそううまく実現していくための手だてを講じていく、というのが形成的評価である。
 そうすると、先に述べた「評価という視点から教育を見直す」ということは、そのまま形成的評価の理念である。」

 

P19 行き過ぎた評価事例

  

P21 実践的な評価研究の手順とポイント

成長保障のためには、揺さぶりや子どもからの追求といった要素が、また、学力保障のためにはまとめと共有化、ドリルと定着化、等々の要素が、指導計画の中に組み込まれていなくてはならないだろう。

 

P27 表2 開・示・悟・入と指導方法・活動例

「『示』だけの教育にならないためのバランス作りのポイント」

「(3)先行学習でのつまずきや、先行学習で形成された整った構え、見方等を的確に診断し、それが当面の学習の障害にならなぬよう十分な手立てを講じているか。」

「(9)やればやったことだけのことがある、と子どもが効力感を持つよう、課題の出し方、言葉かけの仕方、小テスト内容や回数、等々に工夫を凝らしているか。」

 

P31 授業に期待されるもの

(1)「わかる・できる・おぼえるといった基礎学力を身につけさせる面(学力保障)と、体験する・育つ・形成する、といった個人的で人間的な成長の基礎づくりをする面(成長保障)のいずれをも十分に満足するような授業

(2)「計画な見通しと構造性」

(3)「児童・生徒を認知的情意的にゆさぶり、また豊かな体験性を多様な形で包括した授業である。」

(4)「『つもり』の指導、『はず』の指導に終わることなく、それぞれの目標に応じて授業の家庭での達成状況をモニターし」「それに応じて補充指導したり、次の段階での指導のあり方を変えたりする」

(5)「目標や計画を土台にし尊重しながらも、時にはそれを大きく乗り越えて展開する、といった跳躍的な授業である。あらかじめ定められていあるところをそのままなぞっていく、といった無味乾燥な指導や学習ではなく、児童・生徒にとっても教師にとっても授業の中で発見や創造があるような授業、十分な準備の上に立って臨機応変の、そして自由闊達な展開を測る、といった授業」

 

 

P38~ 新しい評価観への転換

・目標の明確化(目標分析:ねがい・ねらい)

・到達度評価(到達度の測定・評価:モニター・チェック)

・形成的評価(評価の形成的機能:次の手立て・今後の指導)

 

P46~ 学ぶ側の論理への「呼びかけ」

「一人ひとりの子どもが自分なりのねがいとねらいを持つようになる」「教える側がそのねがいやねらいをそのまま押しつけたり、教え込んだりしていくということではない。」「教える側と学ぶ側の基本的な違いとそれぞれの独自性を大前提にしながら、それぞれの目標意識を基本的な方向性としては一致させていく。

 

 

P70~ 評価は科学的合理的であればよいか

「評価というと、客観性を持ち、厳密であって、科学的合理的なものである、あるいはそうあらねばならない、と考えられがちである。」

「しかし、こういった科学性合理性が自己目的化したとき、評価を巡っての悲喜劇が生じる」

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<客観テスト法の進歩によってもたらされること>

「学力とは断片的な知識の集積である。という浅薄な学力観がはびこったことである。」「何ごとにもただの一つの正しい(あるいは望ましい)答えが存在する、という汎正解主義的教育風土を強化していかざるをえない」

 

 

P74~ 評価観を一新するための課題

(1)目標設定の問題

・達成目標(ex.知識・理解)

・向上目標(ex.論理的思考力・創造性)

・体験目標(ex.発見)

 

P76~

(2)指導と評価との関係

(3)目標と指導計画と実践の関係

(4)評価の方法と時期の多様化

 

P84~ 形成的評価の基本的な考え方

ブルームの「形成的評価」>>>マスタリー・ラーニングのためのもの

達成目標タイプのみ。単元末に実施される補充・深化指導の内容を指示する形成的テスト

 

P96~評価的な活動と効力感

「必ずしも得点化されない評価、記録として残るわけではない評価、成績づけに繋がっていくわけでない評価、そういった『柔らかい』評価こそが必要なのである。『柔らかい』評価によって学習する側と、教育する側の双方に、頑張っているかどうか、成果を挙げつつあるかどうか、を日常的にフィードバックしていくということこそが必要なのである。この意味において、記録やデータとしての評価からは、どうしても脱却しなくてはならないのである。」

 

P100~ 記録やデータから形成的な評価へ

「管理的で第三者的な評価感が支配的」

「結局、指導計画そのものが、体系的にきっちりと作成されなければならない。

「評価がそれのみで考えられるのではなく、どこでどのような評価をし、それをどう生かすか、が指導の流れの中に適切に位置付けられていなくてはならないのである。」

 

P121~到達度テストとその生かし方

 

P154 自由記述式の解答:観点例

(1)見方や考え方、論理の独自性

(2)記述の一貫性、論理性

(3)記述の説得力と実証性

(4)明確な課題意識と将来に向けての追求の発展性

 

 


やり抜く力 GRIT

2016-12-25 17:26:46 | 最近読んだ本

 

やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける
クリエーター情報なし
ダイヤモンド社

 

<読み終わって頭に残ったこと>

遺伝子検査で「才能遺伝子」を調べるか否か(授業配布資料として使えそう)・・・生命倫理の視点を除いても、調べる意味は?
 

内側からグリットを伸ばす

 ①興味

 ②練習

 ③同じ目的につながる目標を生かす・・・究極の目標は変わらない。ビジョンを思い浮かべることができるか。

手応えがないと「学習性無力感」にはまってしまう・・・親として、教員として関われること、推奨されること。マインドセットの重要性。(授業における褒め方、フィードバックの仕方)

外側からグリットを伸ばす・・・課題活動の重要性、周りの人々の支えの重要性。


「やり抜く力」をはかるグリット・スケールが記載されていて、自分の力を測ることができます
子育て研究では「賢明な育て方」診断テストも 

 


ランチタイム・ワークショップ vol.5 単語連想法

2016-11-24 15:31:41 | 学習評価に関すること

秋学期始まって1回目、現職院生5名にお付き合いいただきました。

<単語連想法>

刺激となる単語を元に、連想する単語を挙げていく方法。
連想する単語を書き連ねたり、つなげたりします。


概念地図法(コンセプトマップ)との違いを
しっかり認識してから使用した方が
効果的ということを確認しました。

 


自分や自分の組織が持つ「前提認識」に気づくために

2016-11-02 18:06:47 | 最近読んだ本

先日、「『力のある学校』の探求」を読んだ時に感じた「懐かしさ」はどこからきたのか?

もう一度思い返してみると、一番懐かしく感じた部分は、
「荒れ」を経験した学校の組織文化 について書かれた部分。

私自身は局所的な「荒れ」と、
「荒れ」から立ち直りつつある学校で勤務した経験があります。
その学校の持つ「組織文化」に懐かしさを感じたみたいです。 

以前、高校勤務の経験しかない教員に、
「荒れ」を経験した中学校の指導体制について、
真っ向から否定されたことがありました。
文化の違いを伝えようとしましたが、
そもそも、そんな学校の文化なんてないと、
文化そのものを否定されました。
その時、言葉で表現できなかったことを、
この本が支えてくれたような気がしました。


 
組織文化とリーダーシップクリエーター情報なし白桃書房


P3
ー文化は、「現在、そこに存在する」ダイナミックな現象であると同時に、さまざまな方法でわれわれに影響を及ぼす、堅固な基礎的構造であるとも言える。
ー文化は、われわれとほかの人たちとの接触によってつねに再構成され、新たに生みだされ、またわれわれ自身の行動によって形作られている。

P7
ー文化から引き起こされる社会や組織内の状況から生みだされるフォース(力)は極めて強力だ。
文化に伴うフォースを理解することによって、われわれ自身のことをより深く理解できるようになる。

 

われわれが、ほかの人たちの行動や価値観の形成に影響を及ぼしているときには、
それを「リーダーシップ」と認識し、
新しい文化の形成のための条件を生み出しているとすると、
リーダーが成功を収めるためには、文化の理解こそ不可欠なものとなる。

文化の理解については、

P438
ー私自身、文化に対してわれわれの感受性をさらに高めるにはどうしたら良いかという質問をたびたび受ける。私の即答は「もっと旅をしてください」というものだ。われわれ自身により多様な文化における様々な経験を付与することを通じて、われわれは文化の多様性を学び、文化に対する謙虚な態度を育むことができる。学習するリーダーは、自分の組織の外でたくさんの時間を費やし、できるだけ数多くの他の文化へ旅することを心がけるべきなのだ。

 また、リーダーシップを実際に発揮するために、

P452
ー自分自身と自分の組織に関して高いレベルの客観性を保つことが求められる。このような客観性を育むためには、自分のキャリアのなかで多様な環境の中で経験を積むことが求められる。そのような環境で彼らは違った文化と比較、対比することが可能となる。将来のリーダーを開発するに当たっては、数多くの組織が海外経験を重視している理由が理解できる。

 


文化を理解するために必要な感受性は、
海外経験までしなくても、
文化の違いを比較・対比するチャンスはあり、高められると思います。


教育制度の違いについて書かれた書籍を、ま、オランダの制度だからねぇ、
IBだから可能だよね、
と最初から別物として読もうともしない、とか、

学校訪問や見学をする時に、〇〇の違いが大きいから参考にならない、
と割り切ってしまうとか、

こんな小さな拒絶も、自分の持つ前提認識が安定したものであればあるほど、
無意識に修正されるものではないようです。




意図的に旅に立たなければ。






 

 


 

 

 


教育にエビデンスを

2016-10-31 10:06:03 | 最近読んだ本

昨年、勤務校の図書館で借りて読んだ本、

「学力」の経済学
クリエーター情報なし
ディスカヴァー・トゥエンティワン

刺激的に、テンポよく、しかも分かりやすかったため、
あっという間に読み終えました。 

イメージとしては、
「一遺伝子一ペプチド説」。

統計学に基づいた結果をエビデンスと挙げています。
しかし、エビデンスといっても問題の本当に一部しか問題を照らしておらず、 
酵素になるまでには、まだまだ、他の要素が必要でしょ?

と言う感じです。
 

著者の言う学力の定義は「学力調査」
学力調査の点数変化、しかも平均点比較で、
教員の質をジャッジ。
しかも、その評価を競わせることで、
何やら学校教育が改善される論調。
そんなにシンプルだったら、苦労しないよあぁ。

(多くのレビュー有り)

 

 

「力のある学校」の探究
クリエーター情報なし
大阪大学出版会

こちらは学校改善研究の一冊。
学力を学力調査で測っていますが、
「学校の力」と「家庭の力」、つまり社会的背景に大きく影響を受ける、
と言う立場で書かれています。 

しかも、ペプチドであることを自覚しています。
ペプチドを組み合わせて酵素を推測する、感じでしょうか? 


刺激はありませんがもわっと押し寄せてくる感じで、 
そもそも研究がまとめられているので、
読みやすくはありません。

 

こちらの本が、「学力」の経済学 のようなテンポで
まとめられた本が出ないかな・・・。 


 ちょうど公立中学校に勤務していた頃、
行われた調査をもとにした研究なので、
何となく懐かしく思える部分もありました。

懐かしんでいるだけでは意味がありませんが・・・。


 


相手に伝わる文章を書くために

2016-10-29 20:10:46 | 最近読んだ本

ナチュラルで伝わる文章を書くためのコツを、
経験や感性ではなく、
システマティックに法則を適応することで

習得するための本。

英文法の前に、日本語で説明されているので、
応用は英作文に限りません。 

理科系のための英文作法―文章をなめらかにつなぐ四つの法則 (中公新書)
クリエーター情報なし
中央公論社

正しさを重視した↑に対して、
日本語として間違っていても、
伝えることを第一目的に説明した本。  

 

 

伝え方が9割

クリエーター情報なし
ダイヤモンド社


どちらも真剣に従おうをすると、
何も文章を書けなくなりそうです 


3日で終わる自由研究@自分で雲を作ろう!!

2016-08-14 22:38:17 | 自由研究ネタ

実際には1日あればできます。

こじつければ、物理・化学・地学分野のまとめ方が可。
小学3年の娘の宿題用なので、「雲」の疑問をまとめました。

1)ペットボトル(炭酸用)のふたに穴をあけ、水を少量(適当)いれる。

2)空気入れの針をペットボトルのふたに刺して空気を入れる。


3)限界まで空気を入れる。この時、ペットボトルはあたたかくなっています。

4)ふたをとる(または空気入れの針を抜く)と、中の空気が外へ出ると同時に雲ができます。この時、急にひんやりします。

   

 

 気温の差を、簡単な温度計?で比較しても面白いかな?と思いましたが、
感触で温度差を十分に感じられるので深入りはしませんでした。 

3)の空気が沢山入っている状態(気圧が高い)は地上の様子、
4)の急激に空気が少なくなる状態(気圧が低い)は
上昇気流によって水蒸気が地上から上空へ移動した様子に対応します。

気圧が低くなる→膨張→温度が下がる→水滴(雲粒)が現れる、という流れで、
おお!ボイルシャルル!!という感じです。

参考図書も図書館で借りたので、
今年の自由研究にかかった費用は、
ペットボトル飲料にかかった90円のみです。

うーん、りーずなぼー!! 

 

気象予報士わぴちゃんのお天気観察図鑑 雲と空
クリエーター情報なし
いかだ社

 

 


ランチタイム・ワークショップvol.4 運勢ライン法

2016-07-29 14:57:56 | 学習評価に関すること


次回は秋学期が始まる10月に実施します。
vol.1-4の内容は時間の都合が合うようでしたら実施します
お声がけくださいm(_ _)mm(_ _)m

ランチタイム・ワークショップ vol.3 描画法

2016-07-29 14:54:21 | 学習評価に関すること

学校づくりと学級経営 最終レポートに向けて

2016-07-24 23:02:17 | 最近読んだ本
勉強するのは何のため?―僕らの「答え」のつくり方
クリエーター情報なし
日本評論社

マインドセット「やればできる! 」の研究

クリエーター情報なし
草思社

 

インクルーシブ教育ってどんな教育? (インクルーシブ発想の教育シリーズ)
クリエーター情報なし
学事出版
グループのちからを生かす―プロジェクトアドベンチャー入門 成長を支えるグループづくり
クリエーター情報なし
C.S.L.学習評価研究所
学校でしなやかに生きるということ
クリエーター情報なし
フェミックス
日本の学級集団と学級経営―集団の教育力を生かす学校システムの原理と展望
クリエーター情報なし
図書文化社
認知行動療法を活用した子どもの教室マネジメント-社会性と自尊感情を高めるためのガイドブック
クリエーター情報なし
金剛出版


全部読んでない本もあります。
課題提出は間に合いました・・・