イネという不思議な植物 (ちくまプリマー新書) | |
稲垣 栄洋 | |
筑摩書房 |
「若い読者に」と冒頭にあるように、
軽いタッチで読みやすい一冊でした。
日本で生まれ育った自分にとって、
イネがどれだけ自分の生活の中に溶け込んでいるかに気づかされます。
例えば、
文部科学省の「早寝早起き朝ごはん」国民運動
http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/asagohan/
ごはん、は本来、お米を炊いたものを指すので、
食事、と同じ意味で使われているよね、といった例や、
水田が広がる地域にて、
「何もない風景」と表現しても違和感なく受け入れられる例、等。
単に植物としてのイネという視点だけでなく、
社会的歴史的な役割から話が進み、
そうだよなぁ、ふむふむの連続でした。
ただ、メンデルの遺伝の説明で、エンドウのF1の形質についての内容と、
稲作に必要な共同作業によって培われた日本人の気質の記述で締めくくるところに、
違和感を持ちました。
それでも、
イネとの関わり深さは色々と想起されました。
ピアノのレッスンに行く途中に水田があって、
水田から出てくるカエルが車にひかれているのを避けながら歩いたこと。
就学前、庭に水田を作りたくて、
芝生を掘り起こしたら思いのほか芝の根が深くて抜けなかったこと。
藁でしめ縄を作ったこと。
登呂遺跡の水田跡地で田植えをしたこと。
バケツ稲を授業で育てたこと。
そして最近では、
玄米でも発芽すること。
結構、イネ、気になります。