茶陶遊人の部屋

日々の日記と、お茶と地元の歴史等を発信していきます。最近はk-popにはまっている韓国好遊人です。

【三夕の歌】に想う…不在の風景、秋の夕暮れを偲ぶ日本人の心、古典に学ぶ!!

2023年10月05日 | Weblog

【秋の和歌 #1】短歌集_詠んで感じる日本の心

枕草子の書き始めに「秋は夕暮れ夕日のさして、山の端にいと近うなりたるに、カラスの寝所へ行くとて三つ四つ二つなど飛び急ぐさへあはれなり」とありますが、「新古今和歌集」にも多く見られ「三夕の歌~不在風景」として有名になっています。

〇「寂しさはその色としもなかりけり真樹たつ山の秋の夕暮れ。寂遠寂しさはその色が特に寂しいというものでもないなぁ~槙の立っている山の秋の夕暮れは色を超えた寂しさであることよ。

〇「心なき身にも哀れは知られけり鴫たつ沢の秋の夕暮れ  西行

出家した身にもしみじみとした情趣は感じられることだ、鴫の飛び立つ沢の秋の夕暮れよ。

〇見渡せば花も紅葉もなかりけり浦のとまやの秋の夕暮れ  定家

あたりを見渡すと色美しい花も紅葉も無いことだ、浦にある苫葺きの小屋の辺りの秋の夕暮れよ。

この「三夕の歌」は全て不在が歌われております。寂連は寂しさを催す色は無いとしながらも秋の夕暮れを、西行は鴫たつ沢の秋の夕暮れ、定家は花、紅葉の不在の中に秋の哀れさを表し「心なき身」「寂しさはその色としもなかりけり(寂連)」と不在がモチーフになっています。これこそ中世的な美の世界ではないでしょうか。日本人の心の底にある美的センスに秋は心を癒します。詫び、さび、の精神の茶道も同じ日本人の心の柱になっております。一服のお抹茶を頂いて秋の夕暮れ(不在)を楽しみましょう。

 

 

 

 

 

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