【裏千家茶道 割稽古】帛紗(ふくさ)の捌き方|茶人 松村宗亮の一客一亭
私達「古典の会」が今、勉強中の古典書が岡倉天心の「茶の本」です。この著作は明治39年天心が43歳の頃、ニューヨークにて英文で出版され、茶道のハウツーを手引きするものではなく、天心の巧みな英語力と豊かな感性を酷使した茶道の精神を余すところなく説き明かしています。茶道は英語で「SADO」「CYADO」としていますが、一般的には「Theseremony」と表現されます。神聖な儀式のように見えるお点前が非常によく伝わる表現です。ところが天心は「teaism」という造語を使っています。この本は「茶碗に満る人の心」「茶の流派」「道教と禅」「茶室」「芸術鑑賞」「花」「茶人たち」の7章からなっています。日本の社会が大きな変遷をたどる中、およそ500年もの長きにわたり継承されてきたという事実は茶道が時代に左右されない普遍的な価値、魅力に満ちていることの証といえるでしょう。特に自然との共生を活用し、禅の影響が強く受けていることを主にしております。「茶禅一味」という言葉で表現されています。茶と禅の本質は同一である、二つは同じ意知をめざしているという意味ですが、私自身も50年以上この茶道を続けている人間としてこの言葉は、茶道のお稽古を重ねていく中で感覚により理解できるものがあると、つくずく感じております。