道路交通法では「自転車は軽車両で車道の左側端を走る」と明記されています。自動車社会の我国ではエンジンの無い自転車は車両でありながら、「交通量が多く車道を走行することが危険な場合は歩道を走行してもよい」という附則により、歩行者と同等な扱いをされてきたことも大きな要因になっているのではないでしょうか?
車社会の我国ではよほどの田舎でもない限り、自転車が自動車を気にせずに走行できる道はありませんから、必然的に自転車は交通量の多い車道を避けて歩道を走行し続けることになった訳です。また、自転車が歩行者寄りにみなされていたことにより、自転車に乗る人の交通法規に対する知識が大きく欠如することになってしまったようです。確かに小学生の頃に自転車に乗る時の注意事項などを教わった記憶はありますが、あんな知識で自転車が車道を走ればとんでもないことになったはずです。それは車道を平気で逆走する自転車が後を絶たないことをみてもお分かり戴けると思います。
車の免許を持っていれば、ドライバーがどれほど自転車に気を配るかが分ります。教習所では交差点左折時の自転車巻き込みについては耳にタコができるほど聞かされたはず。実際に車道走行の自転車の巻き込み事故より、歩道から飛び出してくる自転車との接触事故の比率の方がはるかに高いのが実情のようです。個人的には自転車は歩道を走るよりも車道を走った方が安全だと思っていますが、自動車免許を持たず道路交通法の知識のない人にとっては、そうした認識はなかなか持てないかもしれません。かといって、ママチャリに乗るにも免許が必要というのも少々行き過ぎでしょう。ただ、少なくとも自転車は車道走行が原則という考え方を徹底できれば、歩行者ではなく自動車との共存となり、自転車に乗る人でも基本的な道路交通法の知識は必要になるので、法規に関する意識も高くなるのではと思っています。
実際、警察庁が2011年の10月に自転車の原則車道走行を促すことを柱とする自転車交通総合対策をまとめ、全国の警察本部に通達を出しました。基本的な考え方は以下の3点です。1)自転車は「車両」であるということを全ての者に徹底。2)自転車本来の走行性能の発揮を求める自転車利用者には歩道以外の場所を通行するよう促進。3)歩道を通行する者には、歩行者優先というルールの遵守を徹底。賛否両論はあると思いますが、個人的には概ね賛成です。理由は自転車が「車両」であるという認識が高まることによるメッリトが多いと考えるからです。また、多くの自転車が車道の左側端を走行することにより、そこがいかに自転車走行に不適切な場所であるかという認識が広まることを期待しているからです。
自転車走行レーンの拡充が全国的に実施されつつあるようですが、ブルーやグリーンの塗料でペイントされたレーンは費用がかかり過ぎ、距離がなかなか延ばせないのではという心配があります。特に今のような不況下で道路補修もままならない状況では、それを待っていては自転車がいつまでも歩道を走り続けることになります。環境作りは大切ですが、むやみにお金をかければいいというものでもありません。見た目のいいレーンがスズメの涙ほど出きるより、実利のあるレーンがより普及することを強く願っているところです。
まずは法整備をしっかりとして、自転車に対する意識の改革が必要だと私は考えているのです。まずは、自転車は車道走行が基本を徹底する。自転車の歩道走行にはそれなりの罰則を設ける等の法律を整備する。勿論、逆走や無灯火、片手運転等の危険な行為には反則金を課すなどの厳しい措置も必要でしょう。
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