古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第九章 将軍家茂公の串本上陸・その三

2011年12月16日 09時39分55秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

第一ページ将軍家茂公串本上陸(上の写真の三行目以下)

解読    御停泊被為遊候ニ付、私手舩之内新造壱艘御迎

      御座舩ニ兼而用意仕置候處、当浦へ

      御上陸蓮生寺へ被為

      成

読み方  御停泊遊ばされ候に付き、私手船の内新造一艘、お迎え

     御座船に兼ねて用意仕り置き候処、当浦へ

     御上陸、蓮生寺へ成させられ、

解説  「被」・・・動詞の上に置いて、受け身や尊敬を表します。「られ」「らる」など読み方は場合に応じて変わります。 「為」・・・これも助動詞で、「せ」「させ」「たる」などと読みます。他に「~として」「のため」「なす」と読む場合もあります。本件の場合は、「遊ばされ」。 「遊ぶ」・・・この崩しは、「方」が扁になり、「しんにょう」が「旁」の側になっています。 「遊」の下に小さく「候」。 「手舩」・・・持ち船。 「御迎、御座舩」・・・古文書現物の状態が悪くこの写真では読めません。  「兼而」・・・兼ねて。 「仕置候」・・・「置」は難しい。右側の長く伸ばしてはねたのが、「候」です。 「處」も難解です。 「蓮生寺」・・・れんしょう寺。大嶋浦の菩提寺です。 「寺」の次は「へ」。 「被為成」・・・成させられ。「お越しになる」「入寺なさせられる」。 下が空いているのは、欠字と言い、次ぎに将軍の行為があるので、はばかって空けています。 串本浦へ上陸するのが目的ですが、水深が浅い為、大嶋側へ停泊したと思われます。