かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

写真入り 馬場あき子の外国詠 130(ネパール)

2021-01-16 18:07:55 | 短歌の鑑賞


       ホテルから見たニルギリ

※ニルギリはとても崇高で美しい山でしたが、フィルムを使うぼろいカメラの映像をデジカメ で撮って載せているため、美しさが伝わらずに残念です。
 ぜひ、ネットで検索して美しい山の姿をご覧ください。
 一例をあげます、中程にニルギリとダウラギリが載っています。 
       https://cannergy.sakura.ne.jp/theme/mt3.html

  馬場あき子の外国詠16(2009年1月実施)
    【ニルギリ】『ゆふがほの家』(2006年刊)83頁~  
     参加者:K・I、N・I、T・K、T・S、N・T、
         藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:T・H 司会とまとめ:鹿取 未放
                    

──── ネパールのアッパームスタンに「こしひかり」を実らせた
       近藤亨翁をたずねてジョムソンに行った。
(この詞書のような2行は、「ニルギリ」の章全般に掛かる。鹿取注)

130 真夜さめて七千メートルの処女峰の月光を浴ぶむざねと対す

        (レポート)
 今、馬場先生はムスタンの宿にご就寝中、フト夜中に目が覚められた。窓からは眼前に白雪を被った高い峰が月光を浴びて煌々と輝いているのが目に入った。ニルギリは北峰(7061メートル)と南峰(6839メートル)とがある。そのどちらを眺めているかわからないが、これら両峰はいずれも地元住民の反対があって、いまだ未踏峰である。「むざね」と対す……馬場先生は今、何万年前か、インド大陸がユーラシア大陸にぶつかってヒマラヤができた、その生まれたままの姿のニルギリと対峙しておられる。自分の全存在を賭けて対峙しておられる。そこでは人間の小ささ、有限な人間の命など、もろもろの感慨があったことだろう。ここには悠久の地球の歴史と人間の儚い命との対峙がある。(T・H)

          (当日意見)
★レポートの解釈に同感します。インド大陸がユーラシア大陸にぶつかったのは7000万年くらい 
 前だと読んだ記憶があります。最 もヒマラヤが今の高さに落ち着いたのは2000万年前~数万年
前と諸説があるみたいです。 (鹿取)


           (まとめ)
 夜中に目が覚めると月の光に照らし出されたニルギリが見えた。まるで、月の光に呼ばれたような印象を受ける。処女峰であるニルギリが煌々と照る満月の光を受けて神々しく輝いている。一人月光に照り輝く処女峰を眺めていると、山が真実の姿を開示しているように思えたのではなかろうか。〈われ〉は、震撼しながら山の「むざね」とむきあっているのである。「むざね(実)」とは、広辞苑に「身実」の意、まさしくその身、正身、正体などと出ている。
 私は口惜しいことに眠っていてニルギリを照らす満月というものに出会えなかったのだが、同行者が「それはそれは闇の中に浮かびあがる大きな月でした。少し青みがかった黄色の満月だったと思います。窓からではもったいないと、しっかり着こんで外に出てしばらくのあいだ眺めていたと記憶しています」と教えてくれた。(鹿取)






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