かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞 228

2022-10-14 14:47:36 | 短歌の鑑賞
     ブログ版 清見糺の短歌鑑賞    
                  鎌倉なぎさの会  鹿取 未放


228 あんまりじゃあございませんかと言いながらてんてきぼうとへんろみちゆく
                 2003年6月作

      何をするにも
   点滴と同行(どうぎやう)二人(ににん)はるさむし

 上に挙げた江國滋の句を意識している。同行(どうぎやう)二人(ににん)は、もともとはお遍路さんが、いつも弘法大師とともにあるという意味で笠などに書き付ける言葉。それを江國はひねってトイレも食事も点滴のコードに繋がれたまま行う不便さに用いた。作者は江國の句を援用しつつ、もともとのイメージの四国遍路と重ねている。もちろんここの「へんろみち」は徘徊する病院内のことである。上句は、癌になどかかって、こんなていたらくでというのだろう。

 ★かつて業病といわれた〈レプラ〉などの患者が「へんろ」としてさすらった
  過去があった。快復の見込みのない自分をかつてのお遍路さんに重ねつつ「へ
  んろみち」を使ったのだろう。(藤本満須子)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 清見糺の歌の鑑賞 225,... | トップ | 清見糺の歌一首鑑賞 229 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

短歌の鑑賞」カテゴリの最新記事